特別枠は1.1兆円 | 公会計の動向

特別枠は1.1兆円

 毎日jpが7月26日に掲出した「概算要求基準:苦心の「政治主導」演出 各省庁に原案提示 」〔坂井隆之〕は、政府が26日の予算編成に関する閣僚委員会で、23年度予算の概算要求基準の原案を決め、各省庁に提示したと報じる。27日の閣議決定を目指すもので、民主党の提言に沿って、成長戦略などに充てる「元気な日本復活特別枠」を設定しつつ、一方、厳しい財政状況の中、財源確保のめどが立っていないことから、特別枠の規模については「1兆円を相当程度超える額」とし、党提言の「2兆円」の明記を見送ったと記事は伝える。仙谷由人官房長官は26日の閣議後会見で、特別枠設定の狙いについて「経済成長や国民生活の向上を実現するため、政策効果の高い新たな政策に重点配分する」と語ったとか。財務省を中心に当初検討していた原案は、▽社会保障費などを除いた経費約24兆円について各閣僚は、22年度予算比で一律1割削減、▽削減額の範囲内で、成長戦略やマニフェスト(政権公約)関連事業を上乗せ要望できる、とし、党提言の「特別枠」は明記していなかったが、23日、原案を各省に提示しようとした野田佳彦財務相に官邸が「待った」をかけたとか。「一律1割削減」に対する各閣僚や与党内の不満が高まる中、仙谷氏が「財務省の指示であるかのように概算要求基準が示されるのはよくない」と判断したためとか。週末の再調整の結果、盛り込まれたのが特別枠の設定と「政策コンテスト」の実施であり、「最終的に首相の判断によって配分を決める」こともあえて明記し、「政治主導」の予算編成を強くアピールする形になったとの由。しかし、1割削減など基本的な枠組み自体は、「当初の案とほとんど変わっていない」(財務省幹部)とのこと。特別枠の規模についても、党要望の「2兆円程度」を明記せず、一律削減で約2.4兆円を確保したとしても、そのうち1.3兆円は社会保障の自然増吸収分で、国債費を除く歳出を前年度(71兆円)以下に抑えることはすでに決まっているため、残りは約1.1兆円しかないとのこと。池田元久副財務相は、基準原案の各省への提示が23日から26日にずれ込んだことについて「形の上で政治主導を見せるというか、官邸、党も関与して丁寧にやった」と明かしており、基準の書きぶりで政治主導を演出せざるを得ない苦しさが見え隠れすると記事は評する。玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は「最終的な予算編成の中で2兆円は確保できる」との見通しを示したが、そのためには一層の無駄削減などで財源を捻出しなくてはならず、政治主導で各省庁の抵抗を封じ込める必要があり、菅官邸の求心力が問われることになると記事は評する。