■最優秀選手(MVP)---

一位 関本大介
二位 小島聡
三位 伊東竜二

一位は関本を。内容は評価されていても、良い戦績が出ない時期をかっさらうように、最近は勝ち星を上げまくっている。
DDT、ZERO1と外様の完全無欠王者っぷりを遺憾なく発揮。特に上半期におけるDDTでの絶対王者として君臨した功績は大きい。
鈴木健.txt氏のブログにも綴られた「興行が終了して1時間以上が経ち、帰り仕度を整えた関本が大日本の若手勢とともに会場をあとにする時、DDT勢の前を通ったところで万雷の拍手が送られたという。」この一文が物語るように、観客ばかりかプレイヤーからも「絶対感」を与え続けたことが分かる。
年始から岡林と共に全日本プロレスへ繰り出すことを皮切りに、次はいわゆるメジャーの場で文句のない実績を作ってくれることを期待。

二位には小島を。全日本を後にし、上半期は三冠奪取→三日天下、と輝かしい活躍とまでは言えなかったが、夏にG1出場を表明すると、好試合を連発した上で、新日本史上初となる外様での制覇を皮切りに、秋にはIWGPヘビーまで奪取し、フリーなのに「顔」と言える異常な活躍っぷりを見せた。
三冠&IWGP獲得と似たように、大人しいと思っていたら急にドがつくほど大躍進した下半期だった。
あ、考えてみれば三冠もIWGPも獲った一年だったのか。スーツをスマートに着こなすに値する素晴らしい実績だ。

三位には伊東を。昨年は若き王者・宮本裕向が長期に渡ってベルトを保持。WX、アブ小、貴、邪鬼と名立たる前王者たちを相手に防衛を重ね、完全制圧かと思われたところをストップしたのが、怪我での欠場を乗り越え、葛西戦で死線をくぐり抜けた伊東だった。
今年の防衛戦は三回行われ、竹田、石川、アブ小と死闘を繰り広げた。次世代、怪物、機運を相手に、完璧にシャットアウト。伊東という時代はまだまだ続きそうだ。

次点にはアブ小を。タイトルまで後一歩!という状態が5年も続いている。ピープルズ度数が今でも臨界点を超えそうなのに、これ以上引っ張られたら、いざ獲った時に失神騒ぎになりそう。



■最優秀試合(ベストバウト)---

一位 伊東竜二vs石川修司(2010年10月17日・大日本プロレス・後楽園ホール大会)
二位 葛西純vs竹田誠志(2010年12月19日・大日本プロレス・横浜文化体育館大会)
三位 マッスル坂井vs男色ディーノ(2010年10月6日・マッスルハウス・後楽園ホール)

一位は大日本vsユニオンの代表戦とも言えるカード。
ユニオン絡みは泥臭いですが、人間味が溢れて決壊しているので、感情移入のしやすさ、という点ではずば抜けている。
石川の重みがデスマッチの場でもよく生きた。アブ小のソレとはまた違い、引きも押しも重い。ガラスへのスプラッシュマウンテンは圧巻だった。

二位はこの試合。正直、個人的にはこの文体のメインを喰った試合だったと思う。
デスマッチはどれも同じようで全然違う。この試合とメインは、スリムクラブと笑い飯ぐらい違う。
カミソリという「引いちゃう」アイテムなんだが、会場にプロレスの盛り上がりがしっかりと起きるのは、臆せずに受けるからだと思う。でもやっぱり、それは異常なことだ。プロレスラーだからこそ実現ができているだけの話で。

三位にはこの二人を。鈴木みのるが出てくる一つ前の試合です。


■新人賞(だいたい3年目まで)---

一位 朱里
二位 岡林裕二
三位 鈴川真一

一位は文句なしだと思います。大日本贔屓になりがちですが、こればっかりは朱里かと。
マッチメイクの行方や話題数などと、試合、注目度と実際ライブで何を見せたか。バランスを考えて一位に。

二位は岡林。新人とは思えない身体、といえばそうだが、逆に「フレッシュな新人」というありがちなフレーズが似合う人なんて今日び日本にあまりいなくなった。大日本の石川はそれで言うと、もう珍しいのだ。
関本とのタッグで全日出場は同様に楽しみだ。

三位は期待をこめて。



■最優秀タッグチーム(軍団・ユニットもOK)---

一位 ゴールデン☆ラヴァーズ(飯伏&ケニー)
二位 アポロ55(田口&デヴィット)
三位 045邪猿気違’s(葛西&邪鬼)

BAD INTENTIONS、バラモン、ノーリミット、高山&佐野、九龍など結構迷った。ユニット、タッグは昨年に比べて本当に豊作だったのでは。

一位・二位が今年のマットを、ひたすら内容で見せた「顔」だと思います。四人が残した試合はプロレス界の宝となるべき。
特に飯伏とケニーという二人のレスラーが出会って本当に良かった。素直にそう思う。

三位は滑り込みでタッグ王座栄冠となったジャンキース。
蛍光灯デスマッチの後の有刺鉄線デスマッチ、という難題をクリアしてしまうのが、スキルだと思う。



■最優秀興行(シリーズも可)---

一位 マッスルハウス10 ~負けるから即引退させてくれSP~ 2010年10月6日 後楽園ホール
二位 DDT 両国ピーターパン2010 ~夏休み ああ夏休み 夏休み~ 2010年7月25日 両国国技館
三位 アンソニー・W・森引退興行 2010.12.02 東京・後楽園ホール


一位は、プロレス史上最もハッピーな閉幕となったこの興行。「プロレスにおける終わりとはこうだ!」とマッスル坂井なりの提示だったのでは。
でもやっぱり、寂しい。

二位には、最優秀興行の常連となりそうなDDT両国大会。
今年は特に選手一人一人がテーマを考えているのが本当によく分かった。伏線が飛びまくるこの混沌とするリング上で、他とどう差別化するのか。プロレスだけではなく、この時代を生き抜くのにすら参考になる不思議な団体だ。

三位にはアンソニーさんにサヨナラの意味をこめて。

■最優秀団体---

一位 マッスル
二位 新日本プロレス
三位 DDT

一位はマッスル。数ではありません。

二位はここんところ本当に面白い新日を。ここまで新日本が柔軟な姿勢を見せて取り込み始めると、TAJIRIがよく言う「役目を終える」団体がいくつか出てきそうだ。
ようつべ、ツイッターなどネットとの関わりでも目立った。

三位は絶対トップ3に入ってくるDDTを。外せない。
今年も豊富なアイディアをたくさん出力し、メディアを賑わせるだけでなく、一人一人の選手が小さなメディアになり、それを団体が吸い上げて結構な規模を誇る媒体となっていっている。怖い。さすがはサークル黄金時代で実績を持つ大社長だ。



■最優秀マスメディア(書籍・番組・映画など)---

一位 「ザ・グレート・サスケの飛ぶ教室」(エンターブレイン)
二位 Gスピリッツ SPECIAL EDITION vol.1 アントニオ猪木 (タツミムック)
三位 USTREAM

一位は聞き手・編集にマッスル坂井が携わった一冊。話題がとっ散らかっている割には読みやすい(kamiプロ編集の力か)。
とにかく興味深く、あっという間に読みきり、読後はテンションが上がる作品だった。

二位はアントン本を。Gスピ素晴らしい。でもこういう媒体があるだけで喜んでいてはダメだ。

三位はユースト。最近、時代がプロレスに追いついてきた気がする。その一つがユースとの19時女子プロとかだったりするのでは。