若竹七海 『クールキャンデー』 | Pの食卓

若竹七海 『クールキャンデー』

最近、風邪を引いたのか、咳が出てきたので、咳が酷くなる前に眠ってしまう作戦中。

おかげさまで推理小説をほとんど読みすすめられていません。

『湖底のまつり』 の世界に迷い込んだ夢をみたりと、ちょっと危ないわけですが、

まあ、元気にやってます。



本日紹介しますは 若竹七海さんの 『クールキャンデー』 です。



coolcandy
若竹 七海
クール・キャンデー
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「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた中学生の渚。だが、愉しみは儚く消えた。ストーカーに襲われ重態だった兄嫁が他界し、さらに、同時刻にそのストーカーも変死したのだ。しかも、警察は動機充分の兄良輔を殺人犯として疑っている!はたして兄のアリバイは?渚は人生最悪のシーズンを乗り切れるか。
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「14歳の少女渚の味わう最悪の夏休み」 を描いた推理小説。

この読後感、若竹さんの作品ならではの感です!

そっけなく積まれた物語が、最後の最後で反転大崩壊・・・

毎度のことではあるけれど、若竹さんの作品には驚かされてばかりです。


さて、今回の 『クールキャンデー』 ですが、

おそらく ≪葉崎シリーズ≫ に入るのかもしれませんね。

舞台は鎌倉近辺の葉崎市でした。


じりじりと照り付ける日差し、蒸し暑さ、ギラギラと照り返す波。

そんな雰囲気の中、氷のように冷たい事件が起きるわけです。

渚の熱い行動力で事件は徐々に溶け出し、最後には核だけが残る。

その核のキツイことキツイこと・・・


小説内の各所各所に、この結論に達するにふさわしい条件が描かれているわけですが、

どうしてそれに気が付かなかったのか、若竹さんのうまさに感服。

「あ、そういえばそうだったね」 と思わず呟いてしまいました。


読み終えて一見単純な推理小説かと感じてしまうかもしれませんが、

小説内にちりばめられた言葉を収集し分析すると、

この話のおもしろさがどんどんにじみ出てくる!!

するめみたいだ! ・・・なんて言うと一気に魅力がなくなりますね;


味があるんですよ。


何よりも嬉しかったことは、『クールキャンデー』 の中である小説が出てきてました。

その小説とは、泡坂妻夫さんの 『湖底のまつり』 でした!

何とも奇遇、現在読んでいる小説がタイムリーに出てきたので、飛び上がる嬉しさ!

泡坂さんも若竹さんも本当に最高の作家さんです。


紹介しようにも中編小説なので紹介しづらいわけですが、

賞味一時間、とても楽しく読みきれました。


時間が無い人、若竹さん好き、夏が好き、そんな方は買いだと思います!