ディケンズ 『オリバー・トゥイスト』 | Pの食卓

ディケンズ 『オリバー・トゥイスト』

どうやら映画化に伴って、岩波文庫から復刊するらしいです。


そんなわけで、今日はディケンズの 『オリバートゥイスト』 を紹介。

チャールズ・ディケンズ, 北川 悌二
オリバー・ツイスト (上)
チャールズ・ディケンズ, 北川 悌二
オリバー・ツイスト (下)

『オリバー・トゥイスト』 の話をする前に少々作家ディケンズについて補足

ディケンズは19世紀イギリスを代表する作家ですが、

それと同時にポウに次ぐ、探偵小説黎明期を支えた推理小説作家でもあるのです。


イギリス初の長編推理小説は、ウィルキー・コリンズ 『月長石』 と言われています。

実際そうで、ディケンズはコリンズと文通し、その推理小説という小説の構造に興味を持ちました。

そこで生まれた純粋な短編推理小説が、ディケンズのHaunted Down 『追いつめられて』 です。


最も注目すべき点は、ディケンズの 『バーナビー・ラッジ』 とミステリの父ポウとの関係でしょう。

『バーナビー・ラッジ』 は言わば歴史小説の形をとった推理小説なのですが、

その 『バーナビー・ラッジ』 の第一話が雑誌に掲載されたとき、

それを見たポウがトリックを見破り結末を言い当てたことはあまりにも有名。


ディケンズは他にも、史上初の人間性を持った探偵役バケット警部の出る 『荒涼館』 や、

未完の長編推理小説 『エドウィンドルードの謎』 などなど、多くの推理小説を世に出しています。


彼の最も初期の推理色の強い作品 『バーナビーラッジ』 の発表された年は 1841年

世界初の推理小説と言われるポウの 『モルグ街の殺人』 の発表年も 1841年

この符号をどう解釈するかは自由ですが、ディケンズが推理小説作家でもあったことは確かなのです。


そのディケンズの名作 『オリバー・トゥイスト』 が新しく映画化されたようです。

以前にも 『オリバー!』 という題名で映画化はされているのですが、

より原作に近い内容になっているのではないでしょうか。


そして、その映画化に伴い、岩波から文庫で再出版されるもよう・・・

訳は北川悌二さん。北川悌二さんの訳は味わいがあり、原文を想起させる興味深いものですが、

いかんせん今の人には受け入れられる訳では無いと思います。

むしろ中村能三訳の方が・・・なんて思いますが、欲張りは言っていられません。


映画を見る前に一読いかがでしょうか?