計算機将棋関係者のみならず、少なからず世間で話題となった人間対計算機の平手の対局が9月18日に行われた。最先端計数将棋学で採り上げないわけにはいかないのだが、いかんせん計算機同士の将棋と異なり、人間側のインタビューを取りようがないので、解説が難しいところである。そこで棋譜中の各手の詳細については、私は専門家ではないので語らないことにし、個人的に思うところと謎電の解図内容のみ書く事にする。


結果として橋本五段の勝ちで、「そりゃそうだろうなあ」というのが正直な感想なのだが、棋譜を見て「序盤といえども計算機は侮れない」という印象を専門棋士の方々に持たせることが出来たのではないかと思うところである。そういう意味では、橋本博士、TACOSが負けたにせよ good job ですよ。次回から「専門棋士同士では使わないような手」は出てこないのではないかと。定跡形にせよ力戦手将棋にせよ、何か棋理に反しているような序盤から計算機が勝っても負けても、妙に納得がいかないような気もする。


さて、左図からの謎電の必至解図の結果は、▽38飛▲48金引▽同飛成▲同金▽88飛までの5手必至。余必至として手順前後が成立し、▽38飛▲48金引▽88飛▲同角▽48飛成もある。本譜は、▽18飛▲48金引▽同飛成▲同金▽66香だが、これでも必至で、仮に▲78飛(58飛、98飛でも同じ)と受けても▽68金以下27詰がある。もしこの27手の詰手順を橋本五段が読んだ上での▽66香ならば、専門棋士というのは恐ろしいものだと思う。実際どうなのかは不明だが、感覚的に「詰がありそうだ」と感じただけだとしても、その方が怖いかもしれない。TACOSは王手ラッシュぽい手を見せているので、それを読み切っていたと思われる。


なお、謎電が▽88飛の手を解としているのは、単に少ない探索量(解図パラメタが小さい、という意味)で解けているからである。


(追補) よくよく図を見れば、橋本五段が指された▽66香は自陣への敵角の利きを遮断しており、実戦的な必至の掛け方の手本と言える。▽66香が必至上がりだと確信した上での手なら、終盤といえども人間は侮れない?