即回収返金という安易な対策は双方の首を絞める!? 異物混入問題 | 神戸大学 教養原論「情報の世界」講義(大学院工学研究科 森井昌克 教授)

神戸大学 教養原論「情報の世界」講義(大学院工学研究科 森井昌克 教授)

2006年,2007年度,実際に開講された講義のブログです.今年も講義はありませんが,引き続き「仮想的」に書かせて頂きます.非常勤講師や講演の依頼は、メールにて直接、連絡をお願いします。

異物混入、情報開示どこまで 回収基準引き下げ、悩む食品各社

外食、メーカー、小売りなど食品を取り扱う各社は、日本マクドナルドのチキンナゲットへのビニール片混入など相次ぐ食品への異物混入問題を受け、混入事実の情報開示や自主回収の基準引き下げを検討する。これまで各社が独自に基準を設けて対応してきたが、一連の問題が示すようにインターネットなどで消費者が公表する場合も多く、会社基準を理由にした非開示が「不都合な情報を隠している」ととられる懸念が強まっているからだ。しかし基準引き下げの明確な指針はなく、各社は試行錯誤を迫られている。 ..........

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回収基準の引き下げについては慎重になるべきであろう。異物混入が発生した際の対応全体の問題であり、回収が最善の策ではないからである。

今回、マクドナルドの対応が極めて遅く、それを批判する記事が多くみられる。確かに迅速な対応は必要であるが、それは一概に混入した事実の迅速な公表を指すわけではなく、極めて迅速な初期調査と社内対応を整えることであろう。異物混入の過程によっては、生産あるいは店舗側にまったく責任がない場合も有り、これを十分に説明できる日頃からの信頼を築いておく必要がある。そのためにも消費者が納得する、異物混入に対する対応過程や方法を公開し、そのアナウンスに努めなければならない。

このような問題が大きく取り上げられるたびに「危機管理」の必要性が叫ばれる。会社にとっての危機管理は、結局のところ、消費者(顧客)の危機管理に反映されるのである。


Yahooニュース!オーサーコメントより