「林檎は、真っ直ぐ落ちるはず!」? | 単焦点フォトグラファー
単焦点フォトグラファー
Taken with GRDⅢ

サー・アイザック・ニュートンの逸話で林檎が落ちる話しがありますね。
(実は、作り話らしいのですが…)
どんなことがあっても地上では、横方向からの力が働かない限り、
絶対真っ直ぐ落ちるに決まっています。

じゃあ、なんで「はず!」なんて言うんだ?などと言わず少々お付き合いを。

何もしていないはずなのに、真っ直ぐに落ちない林檎があります。(これはキモい!)
先日の『「構図を学べば、トイカメラ!」? 』に絡む話しです。
誰でも体感できる重力なのですが、写真になると意識をしていません。
本日のキーワードは下記の2点。事前によく理解することをお奨めします。
 重心線(対象物の重心点を基準に天地に伸びる真っ直ぐな線)
 重力線(写真の天地方向に伸びる真っ直ぐな線)

私たちは、写真を見るときに重力を無意識で感じています。
勿論、写真の上下(天地)方向に平行な重力線が流れているはずです。
(ナイアガラの瀑布のような感じです。)
「当たり前じゃないですかっ!」なんて思います?

掲載の写真を、見て頂きましょう。
実物は地面に対して垂直に「杭」が立っていました。

中央最上部の「杭」は本来の対象物が持つ『重心線』と写真の『重力線』が一致しています。
では、中段左の「杭」を注目してください。
本来の対象物が持つ『重心線』を指で書くと判ります。安定するはずの『重心線』と
写真の『重力線』が一致しません。
もう一つ、最下部の「杭」に注目してください。
本来の対象物が持つ『重心線』を想定すると、
画面手前から奥へ『重心線』が存在します。
(写真自体にアイスピックを突き刺したような、方向感覚です。)

写真の中で、完全に重力方向が狂っています。
広角レンズは特に、このような現象が顕著に起ります。

レンズの『歪み』が描写の『歪み』だけではなく、重力感覚を歪めてしまいます。
高低差のある立体物が散在すると特に強調されます。
(立体物がなければ、ここまで重力の『歪み』を感じることはありません。)

先日の『お題「香辛飯屋」 』の左上にある「サラダ」に注目してください。
この「サラダ」の本来が持つ『重心線』を指で書いてみましょう。
おかしいのが判りますか?
撮影時には、テーブルにちゃんと配列していました。
(『重心線』と『重力線』が一致していました。当然ですけど…)

カメラを傾けると、その傾き量に応じて重力感覚を歪めてしまいます。
「傾けても問題がない時」、「傾けた時に気を配るべきこと」など、
理解をするほうが、有利ですね。
(グルメ系の写真などはカメラを下へ傾けますので、気を付けましょうね。)

これを無視して「構図が、こうあるべきだ!」なんて、馬鹿馬鹿しいと思いませんか?
福笑い級の写真しか撮れないことに、気が付かないんでしょうね。


- あとがき -
お題「香辛飯屋」 』の写真は、やはり師匠には通用しませんでした。
カレーやナンの皿に関しては、全体像を入れないことで正しい立体感覚をほぼ消失させています。
(『重力線』を想像しにくくしています。)
それでも注意深く見ると判ってしまうのですが…
サラダには、気が回りませんでした。