「ストロボは、明るく写すのが目的ではありません!」? | 単焦点フォトグラファー
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Taken with GRDⅢ

暗いシーンには欠かせない機能です。カメラの感度を上げてもザラザラした写真しか撮れません。
これでは、正直ガッカリ…。明るく綺麗に写したいですよね。

じゃあ、なんで「明るく写すのが目的ではありません!」なんて言うんだ?などと言わず少々お付き合いを。

ストロボは確かに光量を増大する道具には間違いないのですが、プロにその感覚はありません。
外付けストロボをお持ちでない方も、活用方法を最下部に記述しておりますので、お付き合いを。

本当の役割は大きく別けて下記の2点
:肉眼で見る視覚の再現(教則本で書いてあるシンクロ撮影です。ですので、当講話では省略します。)
太陽(時間)の再現(← この理解を促す教則本は、ほとんど出会ったことがありません。)

ストロボを使う被写体は主に人物、小物、料理などが多いでしょう。

料理について。
 テーブルの上のメニューは何が並んでいますか?料理にも色々あります。メニューの持つイメージも様々です。
 その料理を食べるはずの時間帯にイメージを合わせることが重要です。
 太陽の角度・方向を決めると違和感のない写真が撮れます。
 (歳のせいか、朝から“すき焼き”は見ただけで、胸焼けします…)

小物について。
 使うシーン(時間)が特に決まっていない場合が多いですね。
 「太陽の角度・方向を決められないじゃないか!」っと思った方!
 あなたは、大正解!
 そんな場合は、、、
 時間感覚の喪失を演出します。影が出ない(時間が判断できない)写真で
 存在感を際立たせるのに役立てます。
 ブツ撮りの世界は、「時間感覚の喪失」を演出することが多いですね。

人物について
 身に付けている服装によって判断するとよいでしょう。
 (パジャマを着て、南中の太陽を再現しても大マヌケです。これに違和感のない人はAVの見すぎです。
 また、水平より下から太陽が照りつけることはありませんので
 下からの照明(反射光を含む)には気を使ってください。
 さらに、
 ポートレートでは心理学的アプローチを実践しています。
 照明を落とした部屋では、ヒトの瞳孔が大きく開いた状態です。
 その、大きな瞳孔のまま写真に写す事をしています。
 (詳しくは、「瞳孔」and「心理学」で検索するとわかります。)
 ストロボは発光時間が長く光るものでも1/5,000秒程度です。
 人体の反射速度を余裕で超えていますので、「大きな瞳孔」のまま撮影が出来ます。
 さらに、さらに、
 漫画などでお馴染みの眼の描写。黒目に白い描写を加えた少女漫画的演出!
 写真でも「キャッチアイ(キャッチライト)」として採り入れる事もありますね。(好き嫌いは別として)
 また、時間の演出をせずに「時間感覚の喪失」を演出するパターンも
 非常に多くあります。

その他様々なライティングテクニックが存在します。
テクニックを身に付けることは否定しませんが、本当の使い方を知らなければ、意味がありません。
(多灯ライティングも主源光(太陽)は1つです。他のライトは影の演出に利用しているだけです。)

「ストロボ=太陽」という観点で、撮影を重ねてください。
教則本の作例より、いい写真が撮れます。レベルが低い教則本を、すぐに見抜けるようになりますよ。

- 重要 -
記事中の「太陽の再現」は、もう一つ理解しなければならないことがあります。
太陽光の特性は「面発光」です。これに対しストロボは「点発光」となり
そのまま使うと、明らかに自然界とは異なる影のつきかたをします。
つまり、不自然な影が生成されます。
ですので、バウンス発光(壁や天井へ向けて発光し、その反射光を利用)を
常套手段とし「光を拡散」させます。

カメラ内臓のストロボでも工夫次第です。
あっきー は、喫茶店などで出てくる白いコースターなどを45°に翳して
天井からのバウンス発光を作ります。
天井の色は「白い」ところで撮影してください。
内臓ストロボでも、いい写真が撮れます。