「『中判写真は立体感があるよね』は、半分嘘!」? | 単焦点フォトグラファー
単焦点フォトグラファー
Taken with ZENZA BRONICA S2 + Zenzanon 100/2.8 on Kodak Ektachrome E100VS

中判写真の醍醐味。それは、なんといっても「ライトボックスでポジ鑑賞」ですよね。
うんうん。やっぱり、立体感が違いますよ! (← 一度覗いて、はまったクチです。)

じゃあ、なんで「半分嘘!」なんて言うんだ?などと言わず少々お付き合いを。
中判以外のユーザーであっても、参考になるはずですので、少々お付き合いを。

中判フィルムを愛好している者として、この記事は書きたくない記事だけど…。
本当なんだから仕方ない…
『藪睨みの写真講話』は、自分に不都合な内容でも公開していきます!!

立体感、空気感、、、もっともらしく聞こえます。
(こういう事、言ってるとプロっぽいもんね。  ぽいぽーい!
「中判で写真を撮っています!!」という自己陶酔に浸る あっきー なのですが…。
『事実』は少し違うようです。

ちょっとヒトの眼球について、勉強しましょう。

実生活において、私たちは視覚からの情報で立体を把握し、
階段をスムーズに昇り降りできますし、キャッチボールもできます。
 なぜ、対象物との距離が把握できるのか?
 それは両目を使っているからです。(専門的には「両眼視差」)
 右目と左目に入る画像の微妙な違いを脳内処理で立体として距離感などを把握します。
 それは経験として蓄積されるので、眼帯をした時にも
 大きく立体感を失うことなく実生活ができるようです。(まだまだ研究段階ですが)
 つまり、脳内で三次元画像に変換しています。
両目で見ているときは脳内で「両眼視差」が機能しているおかげなんです。

では、
冒頭文ですが、「ライトボックスでポジ鑑賞」をする際、
フォトルーペを使います。単眼で覗き込む道具です。
そうです! 片で見ているのです。
  「立体感がスゴイポジフィルム」をプリントすると立体感は損なわれます。(両目で見るからです)
  「透過光と反射光の違いだよ」は間違い!(単なる写真も立体的に見えるんです。後述します。)

両目で見るときは、三次元視覚で平面写真を鑑賞します。(「両眼視差」がオン状態)
3D情報が溢れる中、視野に入る写真に具体的な凹凸がないため遠近感を強く感じることが出来ません。

片目で見るときは、二次元視覚で平面写真を鑑賞します。(「両眼視差」がオフ状態)
2D情報しかない為、対象物の大きさ、消失点や経験的蓄積などから脳内で3D情報に変換します。

なので、
ライトボックスでフォトルーペを使えば立体感が出るのは本当です。
脳内で3D変換しているので、そのように感じるのです。
なおかつ、中判の大きなフィルム面はフォトルーペで見ると
視覚視野いっぱいに写真が広がるので外部情報は遮断され、効果は絶大です。
(そういう意味で、35mmフィルムのポジ鑑賞は工夫が必要です。でも、ちゃんと立体感がでてますよ。)

普通の写真を「立体感」で見たければ、四つ切り(できれば)以上にプリントして
近距離から片目で鑑賞しましょう。
慣れも必要ですが、立体感が増大します。(脳が3D変換しているので当然です。)
中判だけの「立体感」でないことは明らかです。(ちょっと残念…)

カメラ雑誌掲載の小さな写真をみて、「いい写真は立体感があるよね」なんていう人は、
下段記載の機種情報を見てバイアス(偏り)を持つ人種です。世に言うスペック信者ですね。
ろくな写真を撮ったことがない輩ですので、そのような方の写真批評を真に受けないほうがよろしいかと思います。
(そんな人に「立体感」の具体的説明を問うてみてください。あやふやな事しか言いませんから。)
ただし、そのような方々がメーカーの収益を支えておりますので、感謝はしなければなりません。
私たちが安価に写真を楽しめるのは、そのような方々のおかげなのです。

 - あとがき -
平面画は、両目より片目で見るほうが遠近感が感じられます。
このことは、近年3Dテレビで研究が盛んになっておりますが、
その研究者の間では広く知られている事実です。