<出会い2> | 男の本音 ~自分を見つめ直すために~ 

<出会い2>

歩道橋の上でオレとT子(マエカノをこう呼ぶことにしました)は佇んでいた。
風は温かくもなく冷たくもない、そんな5月の夜であった。


毎晩とは言わないが、俺たちは結構電話をしていた。
メールは使えない携帯だった。互いのキャリアが違ったからショートメールもなかった。
でも別に俺たちは付き合ってはない。
周りから見たら明らかにそういう感じだが、付き合ってはなかった。
オレは「好き」とは一言も言っていないのだ。そしてT子からも。


歩道橋の真ん中で手すりに手をかけ、夜の風に吹かれながら俺たちは他愛もないことを話していたが、話がふと途切れ、そして沈黙に。。。

無意識に手と手が触れ、2人の距離がなくなる。
はっきりは覚えていないが、たぶんオレはT子の肩を抱いていたのだろう。



そして、


自然に、

 
ごく自然に・・・


キス


熱いキス




俺たちの横を通り過ぎる人のことなど全く気にならない。
口唇と口唇で、舌と舌で、お互いを感じあっていたような感じだ・・・



そういえばこの歩道橋、実は会社の近くだったりする(苦笑
誰かに見られていた可能性がかなり高い。
まぁまだ配属されていない俺たちの顔を知っている社員はほとんどいなかっただろうが・・・

「こんなこと、配属したら出来ないね」

そして俺たちは笑いあった。



この歩道橋の後も、俺たちはほぼ毎日電話していた。
オレからもかけ、T子からもかかってきて。
研修の帰りに一緒に2人でよく飲みにも行った。




あれは5月も中頃、慣れないスーツの上着がとっても邪魔に感じる、そんな時期であった。
2人で飲んだ帰り、日比谷公園のベンチで酔いを覚ましているとき、T子が突然マジなトーンで話し始めたのだ。