この夏、はじめて覚えたこと | スコ猫くまきち日和+

この夏、はじめて覚えたこと



夏の帰省前には、ずいぶん具合が悪いと聞いていたトムばあちゃん

ボクの顔をみた途端、これじゃイカンと思ったのか

毎日、毎日、マグロのタタキを要求し、みるみる元気になって行った。

それでも最初は寝てばっかりだったけど、そのうち散歩にも出るようになった。





ボクはトムばあちゃんが心配で、どこへ行くにもついて行った。




こうしてトムばあちゃんは、この夏の酷暑を乗り越えた。

お年寄りの病気には、ボクのよーな元気な若者のオーラが効く

ボクはそう確信したね


この夏の帰省も毎日が刺激の連続だった。

クゥおばちゃんにフゥーされたり、グレチ兄貴と近づいたり、

猫らしいこんなワザも覚えた。

 

トムばあちゃんとクゥおばちゃんのご飯……



盗んで食べるのって、不思議においしい


11歳以上のシニア用だって?

そんなバカなっ

春からずっと、療法食のカリカリしか食べていなかったせいか

ちょこっと盗んだシニア缶のおいしいこと♪




姪っこや甥っこや、そのお友達にもいっしょに遊んでもらった


そして、お外に出れば

いろんな猫の匂いがした。



グレチ兄貴だけじゃなく、トムばあちゃん、クゥおばちゃんだけでもない

この家の庭に遊びにきた猫たちが

必ずチッコしていく場所をボクは見つけたんだ


そこで、たくさんの猫たちのチッコの匂いを感じているうちに

ボクの尻尾はプルプルっと上がった。

そして、まっすぐ後ろに、キレイな弧を描いてチッコが飛んだ。

はじめての、本物のスプレーだった。

誰かに教わらなくても、自然にできるものなんだね

ボクはこの夏、真のオトコ道をもう一段、上った。

叫び (←ぷれこ) お願いだから、家のなかではしないでねー





そんなボクを

トムばあちゃんはいつも遠くから

そっと見ていた。

何を考えているのかはわからないけど

なにかを伝えたいかのように

じっと見ていた。


トムばあちゃん

ぷれこが19年前

線路脇のマンションの植え込みで拾った猫


ぷれこが足の手術をしたとき

トムばあちゃんも車に跳ねられたかなにかで横隔膜が破れて大手術になり

動けないぷれこと

動けないトムばあちゃんは

いっしょに療養生活を送ったそうだ。


気位が高くて

ゼイタクで

わがままで

自分がいちばんじゃないと気が済まない


トムばあちゃん

今度、ボクがまた遊びにいくまで元気でね

20歳の大台をめざそうねっ






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