渡部朋彦です

さて、さて・・・何をかきますか・・・

私は「俳優」として、この10年、レオニード・アニシモフというロシア人演出家と仕事をしています。

アニシモフは「スタニスラフスキー・システム」の研究家でも有ります。

皆さんご存知かどうか分かりませんが、このシステムは1900年代初頭にロシアの俳優・演出家であったコンスタンチン・スタニスラフスキーが発表し、その後の世界中の俳優・演劇人に影響を与え続けているメソッドです。20世紀演劇界最大の発見と言っても過言ではないでしょう。

これは簡単に言えば、

俳優と俳優、そして俳優と観客の間で、言語を超えたエネルギーの直接的な交換状態、ハートが開花し光の相互放射の状態が起きる時、演劇は瞬時に人間の心を癒し浄化し、意識の成長を促す。この状態を実現する為に、俳優はどう訓練し、演じなければならないか。

を研究したメソッドです。

心理療法の世界で、クライアントの潜在意識内部に重い蓋を被せて抑圧されている心傷体験に、意識的に向き合い追体験することで、負のスキーマ・トラウマをクリーニングする方法がありますが(催眠療法など)これと同じように、演劇の「カタルシス効果」は瞬時に多くの観客の心の抑圧の浄化を可能とします。
但し、それは俳優の内的技術、心の技術が良く訓練され発達している場合に限る訳です。
この構造を解明しようとした試みがコンスタンチン・スタニスラフスキーによる取り組みであり、その結実がスタニスラフスキー・システムです。
このシステムは別名「有機的自然の法則」と呼ばれ、演技に限らずあらゆる創造的な行為に共通する人間心理の根本法則といえます。
 
10年前に出会った時から、アニシモフは
「本当の芸術的な演劇は言語の壁を容易に越え観客の心を浄化し、意識の成長を助ける高いエネルギー状態を実現する」
「その為に俳優は顕在意識を通して、潜在意識に働きかけ、超意識と繋がる事が出来なければならない」と説き、俳優を訓練してきました。

私は、唯々圧倒的な演技力を求めて、彼の指導のもとに実践と訓練を積んできた訳ですが、その結果、日常では経験したことのない特別な「状態」を舞台上で、或いは観客席から何度も経験することになりました。そうして私の目的もすこしずつ変わっていきました。個人の演技力だけでなく、作品の持つ、ある「質」に興味が向かい始めます。

それは、今まで私が見てきたほとんどの演劇と違う、不思議な瞬間です。

静かで、余計なものが何も無く、ともすれば見落としてしまいそうな地味な瞬間ですが、何物にも換えがたく「美しい」一瞬。

一瞬なのに、「永遠」という言葉を思い起こさせるような、しみじみと心に流れ込んでくる「時間」・・・言葉で上手に捕まえることの難しい、時間と空間を越えた、ある「質」。

今日では余り抵抗無く広く受け入れられるようになった語彙かもしれませんが、「エネルギー」「意識」「精神」「宇宙」などの存在を私が少しずつ受け入れるようになったのもこの10年の経験の積み重ねの中でのことです。

私が一生掛かってでも、観たい、生み出したい演劇は、そういう「質」をもった演劇。

そしてそういう「質」を一人でも多くのお客さんに届けたいと心から思います。


そんな訳で、

観客としての観劇で、場所の提供で、金銭の提供で、声援で、どんな形ででも、この目標と活動を応援してくださる方、大いに募集中です(^_^)

★お知らせ!!★
私の所属する劇団東京ノーヴイ・レパートリーシアターが、今月14日に、ちょっと面白そうな「公開講座」を企画しました。
2011年は、日本人の心に大きな不安を与えた年になりました。今回の企画は、「心」をに目を向け、不安と上手に付き合い、不安を乗り越えて進む方法を知るきっかけを、演劇以外の方法でも提供できればと考えたものです。
演劇には興味は無いし、スピリチュアルも胡散臭くて苦手だけど「田口ランディーとロシア人演出家の対談で「心の使い方」を話すというのは面白そう」なんて人に、一人でも多くこの情報が伝われば良いなと思っています。
どうぞこの情報の拡散にご協力お願い致しますm(_ _)m。

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作家、田口 ランディさんと、ロシア功労芸術家レオニード・アニシモフ
二人の『心』の専門家の、深イイ話

~公開講座 “こころの上手な使い方”~

目には見えないけれど、誰もが持つ『こころ』。
苦しい時、不安な時に、もし『こころ』を上手に使う方法を知っていたら、今よりも楽に、より幸せに生きられるはず!

「心」や「精神」に踏み込み、読みごたえのある作品で老若男女を問わず人気の作家
田口 ランディ女史をお迎えし、
ロシア発の俳優教育法として世界中の演劇・映画界に影響を与え続け、心理学の世界にも大きな影響を与えている「スタニスラフスキー・システム(有機的自然の法則)」について、ロシア功労芸術家・演出家のレオニード・アニシモフ氏が紹介しながら、
お二人の専門分野である、『こころ』を、上手に使うことについてお話し頂きます。

~公開講座 “こころの上手な使い方”~
田口ランディ氏×アニシモフ氏の深イイ話
【日時】12月14日(水)19:00~21:00 (開場18:30)
【場所】北沢タウンホール:東京都世田谷区北沢2-8-18(下北沢駅 徒歩5分)
【料金】一般¥3000、学生¥2000
【予約・お問合せ:東京ノーヴイ・レパートリーシアター】
☆お申込みフォーム
http://tnrt.cart.fc2.com/?ca=25
☆電話/FAX
03-5453-4945(平日10~17時)
☆メール
info@tokyo-novyi.com
【主催】NPO法人 東京ノーヴイ・レパートリーシアター
HP:http://www.tokyo-novyi.com/
携帯版HP:http://www.tokyo-novyi.com/mobile/mobindex.htm