オンラインコミュニティに必要なのは感情的な報酬 | IT企業のPR

オンラインコミュニティに必要なのは感情的な報酬

先日たまたま見つけた「Engagement Economy」というe-bookを読んで、いくつか共感するところがあったのでご紹介したいと思います。

このe-bookは、著名なゲームデザイナーであるJane McGonigalによって書かれました。Jane McGonigalは、TEDでも素晴らしいスピーチをしています。

彼女は、このe-bookの冒頭で、人々から数多くのアテンションを得て、たくさんのアイデアを集めることに成功しながらも、それらのアイデアを実現させることができずに閉鎖にいたってしまったオンラインコミュニティのケースを事例にあげて、人々からのアテンションを得るということよりも、どのようにしたらコミュニティに所属する人々が活発にエンゲージして価値のあるものを生み出していけるようにするかということが重要であると述べています。

様々なオンラインコミュニティを作りだしても、参加する人々がエンゲージできる仕組みがないと、どんなに広報活動などを通じて人々のアテンションを得たとしても、そのコミュニティは結果的に廃れていってしまう運命にあることを強調しています。

では、このようなことを避けるためには、どのような仕組みがオンラインコミュニティにあれば、参加者が活発にエンゲージできるかという点について、ゲームデザインの分野から多くのヒントを学ぶことができると著者は述べています。

例えば、インターネットを介して複数の人が同時に参加して行われるMMOオンラインゲームが最近特に海外で人気を博していますが、長時間プレイされているMMOオンラインゲームを研究する経済学者Edward Castranovaの研究によると、人々がこれらのオンラインゲームをプレイする最大の理由は、現実からの逃避や競争のためというよりは、「ポジティブな感情」を得るためにプレイをしているそうです。プレイすることにより、「自分が何か具体的なことを成し遂げられる」、「自分には力がある」、「自分が成功したことを認められる」といったポジティブな感情を得ることができるので、ゲームをプレイしているそうです。

つまり、ここから学べるレッスンとして、オンラインコミュニティを継続させるには、参加する人々が達成感の喜びなど何らかのポジティブな感情を得ることができる仕組みを用意することが大切であることを示唆しています。

また、オンラインコミュニティに参加することによって、具体的にどのような良いことが達成されるのか明確にすることが大切であると述べています。参加することによって、どのような目標を達成できるのか、達成することでどのようなメリットがあるのか、参加者が明確に理解できるようにする必要があると述べています。

また、人々によって、ポジティブな感情を抱かせるのに必要なインセンティブに違いがあるので、参加者の様々な感情的なインセンティブの違いを考慮したタスクを提供することで、より多くの人のエンゲージを奨励することになると説明していました。

このようにゲームデザインの分野から、オンラインコミュニティのエンゲージメントを活発にさせるヒントを学ぶことができるというのは、自分にとって新たな視点でしたが、確かに、多くの人々のエンゲージメントを必須とするゲームデザインの分野から、様々なヒントを学べるというのは道理にかなっていると思いました。

今回紹介したJane McGonigalは、ゲームを通じた問題解決能力を通じて、現実の世界の諸問題も解決できるのではないかという信念のもと、ゲームデザインに取り組んでいます。彼女がTEDで講演した内容の要約が日本語で紹介されているのでぜひご参考にしてください。