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新聞の未来

メディアコンサルタントとして有名なJeff Jarvis氏のブログに、世界新聞協会(World Association of Newspapers)のために彼が執筆した「2020年の新聞」と題するエッセイ が掲載されていました。


これは、Jarvis氏の視点で、2020年までに今の新聞がどのような形になるか考察しているエッセイです。彼の結論としては、新聞は、もはや単なる紙という形ではなく、コミュニティが必要とするニュースを収集して、共有することを可能にする大きなネットワークの一部として重要な役割を果たすようになるだろうと言われています。


今や新聞は特に若い世代を中心に読まれなくなっています。Phil Meyerは、「消え行く新聞」という本の中で2040年にはアメリカの新聞が消え去ると予測しています。こうしたことを踏まえながら、Jarvis氏は今の新聞が2020年にどのような姿になるであろうかと考察しています。


Jarvis氏は、新聞が本来持つ価値とはジャーナリズムであり、紙という形にこだわるのではなくジャーナリズムをいかに維持し、将来まで栄えさせていくかという視点が肝要であると主張しています。また、そもそもジャーナリズムの本質とは、コミュニティが知識を得るのを手助けし、豊富な知識を得たコミュニティが目的を達成できるように導くことであると言われています。


では具体的にどのようにしたらそれを実現できるかについて、Jarvis氏はネット上での「リンク」が重要な役割を果たすと主張しています。リンクによって、情報を最初から調べなくても、より詳しい情報をしっている人にリンクすることによって情報を調べるができます。また、リンクによって、情報を一から調べたりする手間やコストを削減し、自分が得意とする分野にリソースを集約することができます。


つまり、Jarvis氏は、将来の新聞は、オンライン上で自分が最も得意とするコンテンツに力をいれ、その他のコンテンツについてはリンクにすべきであると主張しています。また自社のコンテンツをオープンにしてどんどんGoogle Newsなどの外部からリンクを貼らせることが大事であると述べています。


また、オンラインで生き残るための収益をどのように得るかについては、これまでの広告会社との関係を上手に活用して大きな広告ネットワークを構築することを薦めています。具体的には、自社が作成するコンテンツや他が作成するコンテンツに広告を掲載する仕組みです。そのためには、Googleがそうであるように、広告を掲載するコンテンツの量を増やさなければなりません。


こうしたコンテンツを書くジャーナリストの多くは、自社で抱えるジャーナリストではなく、独立して様々な媒体のために記事を書くジャーナリストになるだろうと予測されています。実際に新聞社などから解雇されたジャーナリストが自分で会社をおこし、得意とする分野で記事を書きながら生計を立て始めているそうです。


また、プロのジャーナリストだけでなく、アマチュアの市民による記事を増やしていく必要性も述べています。これにより、より地域のコミュニティに根ざした情報を収集する媒体としての機能を果たすことができます。


結論としては、冒頭でありましたように、新聞は従来からのビジネスモデルでは生き残れず、ジャーナリズムをいかにコミュニティに伝えるかという発想で、情報をアグリゲートしたり、アグリゲートされるような仕組みを構築していくことが求められているようです。