意味のない形容詞は使わない | IT企業のPR

意味のない形容詞は使わない

仕事柄、外資系IT企業のプレスリリースによく接しますが、訳しても意味のない形容詞で飾り立てたプレスリリースがよく見受けられます。


以前、David Meerman Scott が2006年の1月から9月までに北米で配信された388,000本以上のプレスリリースで、どれだけ意味のない形容詞が使われているか調査 を行いました。事前にジャーナリストやPRのプロにアンケートをとり、プレスリリースで頻繁に使われている意味のない形容詞をあらかじめピックアップして、それらの言葉が使われているか調査が行われました。その結果、74,000本以上で少なくとも一つ以上の意味のない形容詞が使われていることが判明しました。


意味のない形容詞で最も多く使われていたのが、「next generation」(次世代の)。次に多かったのが、「flexible」(柔軟な)、「robust」(堅牢な)、「world class」(世界クラスの)、「scalable」(拡張性のある)、「easy to use」(使いやすい)、「cutting edge」(最先端の)、「mission critical」(ミッションクリティカルな)、「market leading」(市場をリードする)、「industry standard」(業界標準の)、「groundbreaking」(画期的な)、「interoperable」(相互運用できる)、「best of breed」(最善の)などなど。


こういった意味のない形容詞を頻繁に使う企業は、BtoBのIT企業に多いと言われています。この原因について、Scott氏は、これらの企業でリリースを書く人たちが、リリースでとりあげる製品が、顧客が抱える問題をどのように解決するのか分からずに書いているか、顧客の立場で分かりやすく説明する丁寧さがないため、こうした意味のない形容詞で飾り立てて、あいまいな内容のリリースになっているとのことでした。


こうした形容詞のみならず文章自体が、ターゲット顧客が現実に直面している課題をどのように解決してくれるのかまったく分からない書き方をしているリリースが多いのが現状です。これを解決する方法として、Scott氏は、まずターゲットとなる顧客をよく理解することからはじめ、それぞれのターゲットが抱える問題、課題、ニーズを把握することが大事であることを教えています。これによって、やっとリリースを書く準備が整ったことを意味し、顧客の立場にたったリリースを書くことができます。