勝谷誠彦氏 = 三尋狂人 | 町工場のおじさん

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町工場で働くおじさんの発言

三尋狂人で検索すると以下のような文章がありました。

http://www.burikko.net/people/article01.html

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大学生をおおうロリコン症候群
岩田薫
(『潮』1982年9月号)

下記の文章は雑誌「潮」の1982年9月号に掲載されたルポライター・岩田薫氏による、当時の大学生を中心とした少女愛好の新しい流れ=「ロリコン」についてのルポです。

1982年夏というと、「レモン・ピープル」は創刊間もない頃、「漫画ブリッコ」はまだ刊行される前ですから、一般メディアとしてはかなり早くにこの事象を取り上げられたものと言えると思います。

内容的には当時から続く(今も残念ながら続いている)ステレオタイプな考察が中心となっており、いくつかの事実誤認もありますが、なんといっても蛭子神健氏、そして故・青山正明氏という「伝説的な」人物の若き日の活動が描かれている所が非常に興味深いです。


大学生をおおうロリコン症候群
女子大生と対等につきあえない!

 都の西北、早稲田の杜に、その名も「童貞同盟」という変なサークルが発足したのは、今年の四月のことである。同サークル、正式の名を「早稲田大学童貞同盟・性風俗浄化刷新特別委員会」という。

 彼らは発足にあたって「清水総長!僕らを男にして下さい」と大書きしたタテカンを大隈侯の銅像の横に立てた。曰く、「我々は名誉ある童貞を守り、童貞の地位向上をはかり、処女を狼どもから守り、ファッションとしてセックスする男・女どもに鉄槌を下すものである」

 六十人の会員を率いる幹事長の石田誠君(第一文学部三年)はこう語る。
「昨年、某ミニコミ誌が調査したところ、早大生は、卒業時でも三分の二が童貞という結果だった。新入生となると、八~九割が童貞です。結果として、恥ずかしがりや、引っ込み思案の軟弱学生が増えている。僕らは、彼らに勇気を与えようとこの会を発足した。もっぱらの活動方針は、童貞道(童貞としての生き方)探求と、会員を女子大生の魔の手から守ることの二つにあるんです」

 この「童貞同盟」が発足してから二か月たった今年の六月、今度は、都内十二大学の女子大生十五人の手で、「ナイス・ミドル研究会」なる会が作られた。
「軟弱な男子学生はもうたくさん。憧れのナイスミドルにこそ学ぼう」との主旨で発足した同会は、渡哲也、露口茂、小林旭、藤竜也等”危険な香り”のする中年男を理想の男性に選び、彼らの所属するプロダクション、レコード会社へ会員が日参し、ポスターや色紙を収集するという”活動”に励んでいる。

「サテンに入っても何をオーダーしていいか迷ったりしちゃって、とにかくいまの男の子ってハッキリしない。優柔不断でそのくせ、すごいケチなのよ。私たちはもうそんな同世代にほとほと愛想がつきたわけ。それよりか、ニヒルで一匹狼的な度胸を持つナイス・ミドルのほうが、よっぽど魅力がある。できれば、彼らと親しくおつきあいしたい……そんな主旨でこの会を作ったんです」(幹事役の山本由美子さん=仮名=法政大文学部二年)

「童貞同盟」と「ナイス・ミドル研究会」、この二つこそは、最近の学生気質を象徴する、典型的なサークルの代表といえよう。男は弱くなり、女はそれに反比例して強くなった……これが八〇年代のキャンパスのまぎれもない現実である。

 結果として、女子学生と”対等”のおつきあいができない男子学生はどこへ逃げ込んだのか。そう、その回答をこそ、もっか大ブームを迎えている「ロリコン」の中に見いだせる――。

ロリコン。正式な名を「ロリータ・コンプレックス」という。日本語に訳せば、少女偏愛、少女嗜好とでもいうのだろうか。語源の起こりは、一九五五年に東欧生まれのウラジミール・ナボコフが書いた小説『ロリータ』に由来する。この小説は、五十歳の大学教授が十二歳の少女に惹かれ、性愛におぼれるというセンセーショナルな内容の作品だが、これにちなんで美少女を偏愛する男性を「ロリコン」と呼ぶようになった。

 キャンパスでロリコンが流行しだしたのは、ニ年近く前のことである。学生の童貞率の増加と相まって、同年代の女子学生に話しかけることはおろか手もにぎることができない男子学生が、しだいに勢力を伸ばすようになった。一説には共通一次試験による影響で記述式テストに不得手となった学生が、女の子との交渉を持つ際にも、生意気で理屈的な同世代を避け、「素直に言うことをきく」歳下の少女へと目が向くようになったのではないか、とも言われている。

はんらんするロリコン・マンガ

 ロリコン・ブームの直接の火つけ役は、学生の手になるマンガ同人誌である。

 東京では、これらのマンガ同人誌の展示即売会ともいうべきコミック・マーケットが年に三回開かれている。千冊とも二千冊ともいわれる出展雑誌の中に、数年前から、アニメの主人公の美少女や、少女マンガのかわいい主人公をそのまま切り貼りして紹介した同人誌がちらほら現われるようになった。

 「コミック・マーケットではいまや、ロリコン専門の同人誌だけでも二、三十誌あって盛況です。例えば、そのうちの一つに『幼女嗜好』というのがある。これを出している蛭児神健という青年は、コミック・マーケットの中でロリコンの市民権を訴えた最初の人間といっていい。なにしろ、彼はハンチングにサングラス、それにマスク、レインコートという格好で『にィーさん、おもしろい同人誌があるんですがね』と展示即売会場で声をはり上げた。これがひじょうに受けて、いまではダミーが出るまでになった……」(フリーライターの三尋狂人氏)

 このマンガ同人誌界におけるロリコン人気に目をつけたのが、既成のマンガ雑誌を刊行する出版社である。中でも『少年チャンピオン』は、内山亜紀という作家を起用、ロリコン・マンガを連載させて圧倒的な支持を集めた。ちなみに、ロリコン・マンガ家としては、この内山亜紀に続いて、吾妻ひでお、谷口敬らがもっか活躍中。いまでは、『レモン・ピープル』(あまとりあ社)『ヘイ・バディー』(白夜書房)といったロリコン専門誌まで発行されている。

 その一方で、今度はロリコン・ブームを側面から紹介、分析する単行本が刊行された。今年五月に出た『ロリコン大全集』(群雄社出版)と七月発行の『ロリコン白書』(白夜書房)がそれである。

 前者は、前出のロリコン同人誌ブームの火つけ役蛭児神健を監修者に起用、少女の着せ替え人形を付録につけ、美少女ヌード、ロリコン用語の基礎知識、女子高生座談会等の記事が満載されている。後者は、「ロリコン同人誌ベスト集成」をキャッチフレーズに、マンガとアニメの同人誌からロリコンに関する図柄と記事を転載したもの。このうち『ロリコン大全集』の発行元である神田の群雄社出版を訪ね、編集部の山田博良さん(四十二歳)に話をきいてみた。山田さんは開口一番、ロリコン青年の平均像を次の四つの要素にわけて説明してくれた。

 その四つとは、1.女性を知らない(童貞)2.性格が女性的3.悪いことができない小心者4.学校での成績はトップクラス。

「本来なら、社会のエリートコースの本流に乗っかっているであろう連中に、ロリコンは多いんですよ。たとえば東大生。美少女のモデルやタレントの出るTV・CMをすべてビデオ録画し、リストを作製している東大生なんてのもいるんです。

 われわれが出した本が若者に受けるのは、大人の女性にはない”純真さ”を美少女の中に求めているからだと思いますね」

偏差値の高い大学に多い

 国立大学や偏差値の高い私大にロリコン学生は目立つ、との指摘の何よりの証拠を掲げよう。東大一のユニーク・サークルとして知られる「アイドル・プロデュース研究会」が調べた、東大生のアイドル像を問う意識調査の結果がそれ。

(結果は別表のとおり。拙著『キャンパス・ビジネスの傾向と対策』=学陽書房=所載)

表1 東大生の求めるアイドルの条件
イメージカラー
1 白 83
2 純白 41
3 ピンク 31
4 ライトブルー 27
5 赤 25

総数380

ボディスタイル
1 スリム 430
2 グラマー 145
3 小柄 101
4 太め 48
5 ふつう 44

総数1010

アイドルをイメージを動物にたとえれば
1 ネコ 82
2 リス 32
3 犬 31
4 鹿 25
5 鳥 19

総数362


表2 東大生が推す次代のアイドル
1 杉田かおる 85
2 伊藤つかさ 82
3 松本伊代 49
4 薬師丸ひろ子 45
5 柏原よしえ 31
6 横須賀昌美 29
7 川島なお美 25
8 松原留美子 18
9 淡谷のり子 18
10 小林信恵(湘南高) 15
なし 191

総数795


 「アイドル研」は、”自分たちの手でスターを作り出そう”を売り文句に五十五年の五月に発足。これまでに二回ほど素人の女子中・高・大学生を出場させての「東大生が選ぶアイドル・コンテスト」を華々しく駒場のキャンパスで開いてきた。前出の意識調査は、このコンテストを開催するに際して、参考にする意味あいでおこなわれたものである。結果を見てもわかるとおり、「スリムで白い色の似合うネコのようにかわいい女性」を彼らはアイドルとしてとらえているのだ。つまり、ロリコン志向以外の何ものでもない。次代のアイドルとして彼らの多くが推した伊藤つかさ、松本伊代、薬師丸ひろ子などの名から浮きあがるのも、美少女嗜好といっていい。

 現に、昨年十二月に開かれた「第二回アイドル・コンテスト」では、千二百人もの応募者の中から、十四歳の中学一年生の少女=武田久美子をグランプリに選出し、ロリコン志向の根強いことをうかがわせた。

「会を作った動機自体にも、ふだん女の子と接する機会の少ない東大生にナマ身のピチピチギャルを見せようって思いがあったわけです。だから、コンテストの審査方法も実にかわってたんですよ。例えば相撲のシコ。ジョギパン姿の女の子が東大相撲部の下に土俵入りするという、その姿を競うものでバカ受けでした」(「アイドル研」二代目代表の和田雅樹=法学部三年)

 もうこれはビョーキといっていい状況にある、とはいえまいか。

 東大以外の大学では、このロリコン症候群はどんな症状を見せているのだろう。ここにもう一つ面白いデータがある。筆者が各大学のキャンパス・マガジン編集部に協力を仰いで今年六月にまとめた「ロリコン度調査」の結果がそれ。それぞれのミニコミ誌編集者に自らの大学を採点してもらう形式をとったが、なかなかバラエティに富んでいて楽しい。(表3参照)

表3 各大学のロリコン状況
大学名 ロリコン度 学内状況
東大 ☆☆☆☆☆ 「東大アイドル・プロデュース研」が売り出した武田久美子は13歳
一橋大 ☆☆☆☆☆ 近所の女の子の写真を定期入れにはさむ男子学生が続出
学習院大 ☆☆☆☆ 大学近くの公園で小学生とベンチに坐ってだべったりする光景をよくみる
早大 ☆☆☆☆☆ ロリコンに市民権を与えた大学といわれるほど、ロリコン学生多し。童貞率も7割
慶応大 ☆☆☆☆☆ 趣味の域を出てロリコンを実生活でチャレンジしている学生も
中央大 ☆☆☆ キャンパスは山の中。女性が少なく、ロリコンに逃避するしかない?!!
明大 ☆☆☆ 学生相談室にもロリコンの相談がチラホラ
関西大 ☆☆☆ 工学部にロリコン学生が何人も。機械いじりが高じて少女偏愛に?!!
立命館大 ☆☆☆☆☆ ロリコンの巣窟。ロリコン・マンガの回し読みがはやっている
同志社大 ☆ 女子大生にもてるのでロリコンは少ない。ただし一部に伊藤つかさ、松本伊代の熱烈ファンが
京大 ☆☆☆☆☆ 「セーラー服研」などというサークルもあるほど、ロリコンが浸透中

 この表からまずわかることは、東大、一橋、早、慶、学習院、立命、京大といったエリート校にロリコンが浸透しているという事実である。

 たとえば、一橋大。ここでは、最近、自分の下宿や自宅の近所の小学生の女の子の写真をこっそり盗み撮りし、定期入れにはさんでおくのが、ひそかに男子学生に流行っている。

「犯罪を犯したっていうか、実にいけないことをしてるって快感があるんです。あのパンティーをかぶったOB田中康夫の性癖もなんとなくうなずけますね。いわゆる”ださい、もてない、なさけない”の三重苦に悩む大学生のはけロとして、絶好の精神安定剤になっているんじゃないでしょぅか」(キャンパス誌『一橋マーキュリー』編集部の中田勇君=三年)

 学習院となると発病寸前だ。キャンパス誌『少年学習院』のスタッフの話によれば、高田馬場のビッグボックス近くの公園でビールを飲みながら、近所の幼稚園の女の子とベンチにいっしょに座ったり、肩車やだっこをしたりして遊ぶ光景がよく見られるという。「おじさ~ん」と呼ばれたりすると、もう背筋に寒気が走るほどうれしいんだそうだ。

 関大の工学部のように、ふだんいつも機械いじりばかりやらされているため、スイッチひとつで動いてくれる機械とよく似た歳下の女の子を好む傾向が出た、などという場合もある。

「工学部ともなると忙しくて、同世代の女の子と遊ぷ時間がない。だから、だまっていても言うことを聞いてくれる女の子がいいんですヮ。考えを持たないで、こっちの言うことを聞いてくれる女の子ちゅうたら、幼女しかいまへんがな」(キャンパス誌『ホットコーナー』編集部の丹羽寿宏君=社学四年)

 京都大学は”西の東大”といわれるほどロリコンのメッカとして名高い。東大の「アイドル研」に匹敵するような異色サークルがここにもある。その名を「セーラー服研究会」。同会は、女子中・高生のセーラー服の比較研究に励んでいるほか、松田聖子、松本伊代、薬師丸ひろ子等々の連絡協議会(コンサート情報など)的な役割も果たしているとか。

 四年の歴史を持つ同会の最大の年中行事は、毎年秋の学園祭に先立つ”仮装行列”で、男の実行委員十数人にセーラー服を着せ、市内をねり歩かせることで、これは今や恒例行事となっている。

「女子大生から使い古しのセーラー服を借りてくるんやけど、みんな好意的やね。僕らはひとつのファッションとしてセーラー服のよさを見直したいと考えているんですヮ」(同会代表の西田直久君=理学部五年)

 いやはや、すっかりロリコン・シンドロームは定着したといってよさそうだ。

小学校の前で待つ大学生

 さらにビョーキの形態が一歩進んだ学生たちへと話を移そう。

 舞台となるのは、早稲田大学。同大学では、すでに昨年十月の時点で、学生の手になるロリコン研究誌が刊行されている。タイトルを『別冊アニコム・少女愛好家のために』。発行元は、五十三年四月に発足した「早大アニメ同好会」である。同会にはもっか三十人の会員がつめ、1.既成アニメ作品の上映会2.自主製作アニメの公開3.同人誌『アニコム』の刊行、の三つを活動のメインとしている。『別冊アニコム』は、この三番目の活動の一環として、同会会員の中で一部の関心ある有志の手により編集されたものだ。

「ロリコン同人誌は、ほとんどがアニメのかわいい主人公を紹介したりしたもので、決定的といえるものはなかった。それで、この際ぼくらの手で総集編的なマガジンを出そうじゃないかと同誌を発行することになったんです」同会会員の寺田融君=法学部二年)

『別冊アニコム』は、昨年十月の初版をすべて売り切り、今年二月に第二版を刊行するほど大反響を呼んだ。すでに千二百~千三百部を売りさばいたというから、ミニコミ界のベストセラーといっていい。内容的には、まず表紙に続く第一ページに「この本では十四歳以下の女の子以外は”少女”と呼ばない」とロリコンの定義を打ち出したことが注目される。

 で、少女愛好学(ロリコン論)、アニメのヒロインたち、少女用タンポン図解、かわいい女子小学制服、都内十七小学校の制服ガイド、幼女少女大事典等々の記事が満載されている。実に微に入り細をうがった本格版の内容なのだ。

「中でも『小学校の制服特集』は、学校へ会員がわざわざ出かけて写真を何枚も撮り、それを参考にイラスト化したもの。その後いろんな出版社が似たようなことやってますが、ぼくらがこの分野では一番初めに手をつけたといえるはず。ぼくらに言わせれば、ロリコンってのは、何もいやらしいことではなく、もっと気楽で明るいものだと思いますね」(会員の寺田洋一君=第一学部二年)

 いい歳をした大学生が小学校の正門前で、女の子相手に写真を撮っている図は、さぞかしおかしいにちがいない。だが、まだ驚くのは早いのだ。早大には、女子中学生と”親しく話す”ことを目的とした「ふくらんだ袖の会」なるサークルまであるのだ。

 こちらは、「早大少女マンガ研究会」の別組織という形をとって、今春発足したばかり。もっかの会員は一年生が四人。「『少女マンガ研』はその名のとおり、少女マンガを読んで研究する会なんですが、会員の中に一人、女子中学生がメチャ好きな男がいて、会の結成をシャレのつもりで呼びかけたところ、本当に発足することになってしまった」(同会副会長のよしむらみさか君=政経一年)

「ふくらんだ袖の会」とは、セーラー服の袖のふくらみに何ともいえぬういういしさを感じるロリコン学生の意識を代弁して命名されたもの。

 同会の活動は、放課後、「録音ウォークマン」を下げた会員が都内の中学校へ出かけ、花の女子中学生と”会話”を交えることにある。もちろん、うさんくさい大学生と見られては彼女らに逃げられてしまう。そこで、彼らは”クサイ芝居”に打って出るのだ。

「あのォ、すいません。駅へ行くにはどういったらいいでしょぅか」

 こうやって道を尋ねた際に彼女らが答えたしゃべりをウォークマンに録音、あとでテープを仲間の前で再生して、その声の質や感度を競いあっては悦に入っているのだ。「かわいい子を選ぶのがコツなんです。ハデなサーファーカットはダメ。制服を着ていかにも中学生らしい子がいい。ただし、女子中学生と会話を交えるとはいっても、ぼくらは別に彼女らを性愛の対象とは考えていませんね。むしろ彼女らを守る親衛隊志向のほうが強い。”妹願望”といっていいのかも知れない」(前出、よしむら君)

 彼らもまた”清純”志向だというのである。

慶大の”偏執狂ライター”

 清純なるものへの学生の憧れが根強いことはわかった。が、この意識は、一歩間違うとへンタイの領域まで踏みこむ可能性があることを知る必要があろう。

 その格好のサンプルとなるミニコミがここにある。ズバリ、その名を『突然変異』。発行するのは慶応大学の学生が中心となって運営する「突然変異社」。

 同誌では、昨年刊行の第二号で「六年四組学級新開」なる記事を組み、「ワタシ奴隷志願で~す」との見出しのもと、小学生の女の子からのメッセージを写真入りで載せて好評を博した。

「いえ、うちの雑誌がイコール、ロリコン雑誌と見られるのは困るんです。ライターの中に一人偏執狂的なロリコン人間がいて、たまたま彼に記事を書いてもらっただけなんですよ」(同誌編集部の西村照夫君=文学部四年)

 その”偏執狂ライター”と新宿の喫茶店で会った。彼の名は青山正明君(法学部四年生)。見た感じでは、ごくふつうの青年である。

 彼がこの世界へ足を踏み入れたのは、中学生の頃。チャイルドポルノに興味を抱いた彼は、ヨーロッパから雑誌をとり寄せては一人楽しんだという。いまは、前出のロリコン商業誌『ヘイ・バディー』に「六年四組学級新聞」の続編を連載しながら、一方でロリコン関係の単行本を引き受ける学生ライターである。

「大学へ入った頃かな。小学生のズック靴、あるいは一度かんで捨てられたガム、それに使用ずみのナプキンなどにひじょうに興味を感じちゃって……。で、それらを収集してきては自室でオナニーにふけるという生活を続けていた。ナプキンは、運動会の時に学校のトイレへ入って集めてくるんだけど、PTAのものかもしれないなんて迷いが生じたりして、なかなか苦労する。子供との直接的セックス?やろうとは思うけど、なかなかできない。絶対みつからないという機会があれば、やってもいいと考えているけどね」

 何とも過激な発言である。彼に言わせれば、最近の大人の女性は「パッと厚化粧したりしてついていけない部分がある」というのだ。それで彼はロリコンへと向かったのだろうか。が、これだけで、問題を片づけるのはどうもしっくりしない。というのも、彼は実生活では、ちゃんと同年代の女性と同棲中なのだ。相手の女性は、彼のロリコン志向を知っているというから驚く。最近の若い女性は何とも進んでいるというか、理解があるというか……。

マザコンの逆噴射

 なぜ、こんなにまでロリコン学生がキャンパスに急激に広まったのだろうか。確かに、昔から日本ではセーラー服願望、フェティシズムといったものが大人たちをとらえてきた経緯がある。が、それらは、せいぜい五十をすぎた中高年男性の、一種の病的な遊びといってよかった。現在流行しているロリコンは、二十代、それも性的には最も開放された大学生に愛好者が目立つ点に問題がある。

 若者からの電話による性の悩みの相談を受けつけていることで知られる、「大慈彌クリニック」(東京・池袋)の大慈彌俊英院長は、こう分析する。

「今の若者は(核家族化が進んで)長男族が圧倒的に多い。その一方で、母親自体にも一人娘で育った甘えん坊タイプが目立つ。結果的にマザーコンプレックスが男子学生のかなりの連中に巣くってしまった。私は、ロリコンっていうのは、このマザコンの逆噴射だと思いますね」

 長男族が増えた点がロリコン・ブームの背景にある、との分析については、作家の吹上流一郎氏も同意見だ。氏は、「男がやさしくなった時代の何よりの証拠だ」と指摘し、こう続ける。

「つまり、男の子はやさしすぎて同年代の女の子に対し主体性を持てなくなっている。一対一でわたりあえないからこそ、年下の女の子に”指導的”な立場に立つことができる、ロリコンの世界に足を踏み入れているのだろう。ついこの間も、心身症の人が集まっているグループの会合があって、たまたまのぞいたところ、出席者の大部分が長男族で、ひじょうに驚いたのを覚えている」

 ロリコンが心身症の一段階である根拠はどこにもないが、教育ママ→受験戦争→共通一次……といった図式で、現代の大学生が育った社会状況を関連づけたとき、なにやらロリコンが蔓延する理由もわかるような気がするとはいえまいか。