中川です。
モッチーこと持永昌也さんが3/23に亡くなった。
知らせを受けたのは27日の夜。驚かなかった。というか、やっぱりそうだったか。という感じだった。
死んでもおかしくない数値だとは随分前から聞いていたし、去年の後半から入院の間隔が狭くなっていたので覚悟はしていた。今回の入院もしてすぐに本人のFacebookに書き込んだけど珍しく返事がない。どうしたものかと思っていたら22日に麻美ちゃんから連絡があり、いよいよ悪いみたいで日中電話で話したらかなり悪そうだったというので、すぐにLINEしてみた。余力があれば連絡くれるだろうと思っていたら本人から23時半に電話がかかって来たので驚いた。
「どんな感じ?よくない?」
大分弱っている声でかなり良くないこと。医者に弟さんを呼ばれたこと。ここ2、3日で危ないと言われたこと。見舞いに来てもひどい顔だから会いたくないし、そもそも来ても会えないこと。を言われた。
「そうなんだ。まあ行けそうになったら行くから頑張って。辛い?」
「なんか心臓もかなり…(声が小さいのと電波がとぎれとぎれで聞き取れない)。まあ2、3日では死なないと思うけど(これは本人が最後に発した冗談なのだろうか?)、偲ぶ会でもなんでも…(聞き取れない)」
「わかった。偲ぶ会ね。まあとにかく頑張って」
「うん」
「時間も遅いんで、あんまり(話すの)良くないでしょ」
「うん」
「じゃあ」
これが最後の会話だった。時間にして2分程度。2、3日経ってもどこからも連絡ないので(亡くなったという連絡も)ちょっと変だなと思っていたらまさか本人の意思で密葬になっていたとは。
変なところで格好つけるからみな気持ちの整理の仕方に困っている。らしいと言えばらしいのかも知れないけれど。
持永さんは僕にとってイメージリングス(イメリン)の忘年会に行くと酔っ払って何かの映画に悪態をついている酔っ払いのおじさんだった(念のために書いておくと本業は映画ライターです)。
そのイメリンのしまださんが6年前に亡くなった。
親しく話すようになったのはここ4、5年だと思う。
まだそれほど親しくない時に僕がいない飲み会での悪評がこちらにも聞こえて来てそれを本人に言ったら、「中川究矢、殺す」「中川究矢の情報網が怖い、死にたい」となんどもSNSに書き込んでいた。僕としてはわざわざ「殺す」と言って来てくれる人もいないので光栄に思っていたし、週に一度くらい持永さんに「殺す」と言われると元気でいられるような気がした。共通の友人も多いし、しまださんが亡くなってからは毎年夏に追悼上映をするようになっていたので会う機会も増えた。こちらが主催する新年会にもよく来てくれた。僕が編集とプロデュースをした「KAZUYA 世界一売れないミュージシャン」という映画を僕が引くくらい絶賛してくれ、麻美ちゃんのアートワークも激賞してくれた。
モッチー曰く「KAZUYA〜」は生命力映画らしい。札幌の50歳過ぎの全く売れなくてヒモとして生きているミュージシャンのドキュメンタリー映画がモッチーには最高の生命力映画として映ったみたいだった。
そうこうしている内に「殺す」とも「怖い」とも言われなくなり普通に仲良くなってしまった。なんとなく物足りない気持ちもあったけれど、こちらの関わる映画にいちいちイチャモンをつけながら隙なくチェックしてくれるので面倒だけどとてもありがたい存在だった。
最初に入院した前の日に西山真来さん主演の「乃梨子の場合」を前売り券を持っているからということで僕にスケジュールを合わせてくれてポレポレ東中野で一緒に見た。そしたら次の日に入院してしまったので、自分が最後に会った人になったら嫌だし、前売り券を持ってきてもらったから見舞いに行くかと思って、西山さんと梅澤くんを誘ってお見舞いに行った。それ以降も西山さんはちょくちょくお見舞いに行ってくれてたみたいだった。
去年の夏に阿佐ヶ谷の一軒家(シェアハウス)に引っ越して一度うちに遊びに来た(一応僕にドキュメンタリー企画の監督をやらないかと話に来た)時は二階の日当たりが気に入ったみたいでそこでゴロゴロし出して、ハウスのメンバーがトトロが居付いたと言って笑っていた。年末の「TEN GOODBYES」の上映の時も最前列で見てくれてトークをケラケラ笑いながら聞いてくれていた。
とにかくそんな持永さんが亡くなってしまった。
寂しいけれど、ただ、これだけは言いたい。最後に話した時、弱々しかったけれど、そんなに悪い感じはしなかった。悪いというのは体調ではなく。
だから悲しむというのはないし、どうか他の方も悲しまないで欲しいと思う。
こちら側の世界にはいなくなってしまったけれど「あのさあ死んじゃったんだけど〜」とそのうち電話がかかってくるんじゃないかという気がいつもしている。もちろんそんなことはないんだろうけれど。
持永さん、しまださんによろしく。
僕らはもうちょっとこちら側で頑張ります。