越後湯沢駅構内で買った爆弾おにぎりをバックパックに仕舞い、日本酒を購入して準備は万全だ。これから上りの臨時列車に乗るが、まだ土樽駅で降りるか、終点の水上駅まで行くのか迷っている。映像に収めようとしている6085高速貨物列車は、土樽駅の方がきれいに撮れそうだが、2時間近くも無人駅に滞在しなければならない。
それはあまりにも時間を持て余す。そう考えて水上駅まで行こうと考えてはきたが、爆弾を抱えたことで強気になる。無人駅のホームで爆弾おにぎりをつまみに一杯やるのも悪くない。そう思い始めている。(写真/スハ43系等の同系列の客車がスキーの休憩用に設置されている越後中里駅を通過にて)
土樽駅か水上駅か。どうしようか迷いながら窓の外に目をやると、そこにあるものが目に飛び込んでくる。その構造物を身近で観てみたい。そう決めると、迷うことなく土樽駅のホームに降り立つ。(写真/次の土合駅に向かって発って行く列車を見送る。真上には関越自動車道が通っている)
2年前の夏、ブロ友さんのsigenaさんと降り立った土樽駅に、再び訪れようとは思いもしなかった。あの時は、上越線の松川ループ線を見つけるため、この駅から越後湯沢駅を自転車でめざしたのだ。
駅前には、熊のかたちをした警告板がある。今年は信州でも熊の目撃情報は多い。特にこの時期、冬眠に入る前が危ない。しかし念のため熊除けの鈴は持ってきている。
ふと群馬側を見上げると、手前の山肌は紅葉が始まり色づき始め、その背後の三国山脈の山にはもう雪が凍りついている。斜面が北側なので、晴れ間になっても雪はすぐには融けない。早くも冬の気配を、ここ関越の県境で感じとる。
sigenaさんと自転車に乗って土樽駅からスタートした緩やかに下る県道を再び進む。しかし、今度は徒歩なので目的地まではそれなりに時間が掛かりそうだ。早足で歩き始めると、関越自動車道を飛ばす車のエンジン音が山間にこだまする。これなら熊も寄ってはこないだろう。