2016年8月15日(mon)
箸別駅に続く、手前の更地の端には、古い木造の建物が辛うじて残っている(写真左)。これは駅の待合室だったという説もあるが、更地は円形になっているため、それは駅のロータリーで、木造の建物はバス停だったのではないかという説もある。
階段を登ると、そこは留萌本線の線路に当たる。おもむろに右側をみると、その先はプラットホームに続く。線路と歩道との境がなく、石コロが足元に転がり、ここは本当に日本の駅なのかと疑ってしまうほどの雑な感じの造りだ。
プラットホームは、これまでもみてきた木製デッキ。車両1両分にも満たないホームを所有する棒線駅だ。(写真/ホームの手前から増毛駅方面を望む)
箸別駅は昭和38年(1963)箸別仮乗降場から始まり、昭和62年(1987)に駅に昇格している。これまでの仮乗降場から発した留萌本線の駅と同様に営業キロ設定がされたのは平成2年(1990)と、3年もの空白が生じている。(写真/ホームから留萌駅方面をみる)
待合室は階段を登った左側に位置しプラットホームの反対側にある。しかしその造りは、阿分駅や朱文別駅と同様に板張りのバス停のようだ。しかし、雪が降り積もった朝には誰が雪をかいているのか。また疑問が生じてしまう。しかしこの区間の廃線が3月のダイヤ改正を待たずに12月5日と決まったのも、結局のところ本格的に雪が降る前に閉じたいということなのだろう。
待合室の入口には、昔懐かしい裸電球がある。しかし電球はおそらくLED仕様でサイズも大きく、笠の大きさにつり合っていない。でも切らすことなく列車に乗降する人々の足下を照らそうとした人の思いは伝わってくる。そんな目立たない地味な仕事も、廃線とともに終わりを告げる。
次は終点・増毛駅。思えば今こうして留萌本線留萌駅~増毛駅間を旅しているのも、元はと言えば映画「駅 STATION」に端を発している。その映画の舞台になったのが増毛駅。廃止寸前の留萌本線の駅を巡る旅も、いよいよその終着駅に向かう。(写真/箸別駅のホーム上の駅名標)