そういえば、阿仁合駅に到着したときに、駅舎の反対側の桜が満開だった(写真)。まだ時間があるので、ここで二度目の花見に興じようということに話がまとまる。日本酒は先ほどのものがまだ余っている。



阿仁川と秋田縦貫内陸鉄道との間にある阿仁河川公園の桜はまさに満開。比較的近年に植えられたようだが、芝生広場もあり開放的なスペースになっている。せせらぎの音や野鳥の声が園内に響き渡り、気持ちがいい。


満開のソメイヨシノの
公園で
花見の二次会に興じる

公園からは阿仁合駅の三角屋根が桜越しに見える。以前にも紹介しているが、このデザインは北緯40度に位置していることがモチーフになっている。あと何年かすれば、もっと桜が大きくなっていて、この桜越しの景色も見られなくなるのかもしれない。


レジャーシート敷いて、再び花見酒を味わう。たまに風に乗ってソメイヨシノの甘い香りが運ばれてくる。突然、列車の音が聞こえたので、慌ててカメラを構えると、堤上の鉄路に臨時列車らしい列車が行く。後に調べると角館駅から鷹巣駅。そして奥羽本線に乗り入れて弘前駅まで行く、臨時快速弘前お城とのさくら号のようだ。この列車の存在を知って、ぜひ乗りたくなる。


ぽかぽかして最高の陽気の上に、酔いも回りついうとうとしてしまう。気がつけばsigenaさんの姿はなく一人取り残される。そろそろ列車の時間が近づいている。もう戻らなくてはと思っていたらsigenaさんが散歩から帰って来る。私が寝ている間、どんな発見があったのか楽しみでもある。(写真/阿仁合駅の側線に停留している車両が出番を待っている)


ついこの前まで雪の中をかき分けて活躍していたラッセル車も、さすがにこの時期になれば出番はないはずだ。大きな仕事を終えて寛いでいる。1年中働く客車を横目に余裕の表情が感じられる。


気がつけば谷あいの阿仁合には夕暮れに向かう気配が漂う。ややアンダー目にダイヤルを合わせると、信号灯が日陰になった山肌に浮かび上がり旅情をかき立てるような景色に映る。許されるのなら、ずっとここに佇んでいたい。そんな気持ちになる不思議な空間だ。

■sigenaさんの散歩の様子はこちら>>>


理想の花見 in 秋田 Vol.7に続く