特急しなののオレンジを
水鏡に写したくてしばし畦で待つ


食堂すしやを後にして、以前本編で紹介した生坂村まで差切峡沿いのコースを進む。途中には坂北荘もあるので、場合によっては一風呂浴びるのもいいかもしれない。国道沿いを進むと篠ノ井線に特急しなのが姿を現す。水田に映り込む車両を捉えようと構えるが、今一つ思っていたようには写らない。
 

 

火の見櫓

道端に古い火の見櫓がある。これもまたレトロな雰囲気が漂い気になる被写体だ。よく見ると電燈が昼間でも付けっ放しになっている。以前は夕方になると誰かがスイッチを入れていたのだろうが、付け忘れもあって今は常夜灯にしてあるのだろう。LEDになったのもその要因かもしれない。地方では若者が都会に出てしまい、消防団の成り手がいないと問題視される。もし日中に山火事が発生しても、この半鐘を連呼する人は果たしているのだろうか。

 

緑萌える渓谷へ突入する
匂い立つ木々の呼吸を全身で受けとめる
 
差切峡

前回も利用した坂北荘で風呂に入るつもりが何とラフティング体験の生徒たちが多数押し掛けているため断念し、差切峡のゾーンに入る。旧道のトンネルからは輝く緑が映え、思わず息をのむ。

 

 

差切峡

この時期のポタは本当に気持ちがいい。暑くもなく、寒くもなく。湿度も高くないから爽やかな空気が漂う。緑の枝の袂では思わず深呼吸して新鮮なフィトンチッッドを身体いっぱいに取り込んでみる。

 

差切峡

渓谷の底には麻績川の水面が岩に当りしぶきを上げる。たとえ僅かな時間だけでも水辺に佇んでいれば、体内に新鮮な酸素が行き渡り、身体が生まれ変わったように軽くなる気がしてしまう。

 

新緑の葉は太陽の光を通して輝きを増す。奥の葉などは平等に扱われず充分に光合成ができないのではないか。果たして均等に光の恩恵を預かることができるのかどうか気になるところである。
 


聖高原駅前食堂 すしや Vol.4に続く