駅前の商店街は多くの地方都市同様に閑散としている。雪が多いため、なおさら沈んだ気にさせる。しかしすれ違いざまに二人の女子高生があいさつをしてくれる。何かの間違いかと思っていると、スポーツ刈りの男子生徒も同様である。都会にはない地方ならではの人の温かさにふれ明るい気持ちに変わる。

 

 

駅の近くの跨線橋から秋田内陸線の鷹巣駅(写真右)に到着する列車を待っていると、逆にJR鷹ノ巣駅から秋田駅行きの特急つがるが出発する(写真中央)。特急列車は雪煙を舞い上げ、あっという間に加速して行く。

 
 
秋田内陸縦貫鉄道の車両は
カーブの向こうから突然その姿を現す
 

やがて時間通り、秋田内陸線の気動車が現れる。ディーゼル音を響きさせながら力強く終点の鷹巣駅をめざす。前面の台車には雪がへばり付き、厳しい条件の中を走ってきたことを物語る。(写真右の線路が奥羽本線)
 
 
もし当初の予定通りだったなら
この良質な温泉に巡り会うことはなかった
 

飛行機の中で、鷹巣駅から4駅先の合川駅の近くに日帰り温泉「さざなみ温泉」があることを思い出し、タクシーを利用することに決めていた。その温泉は駅から約600㍍の程の場所にあり、外観は何の変哲もない建物だ(写真)。観光客を呼ぶ訳でもなく、地元の方の憩いの場となっている。
 
 

この温泉は塩分が強く、お湯が口にふれただけでしょっぱい。まるで海のようだ。鉄分も多く野生的な泉質で私の好みでもある。旅先で予定を変えると残念なことも少なくないが、今回は大正解。私自身のまた行ってみたい温泉ランキングにランクインすることは間違いない。