ポスドク研究者のアメリカ生活

ポスドク研究者のアメリカ生活

2008年に日本で博士号取得後、ポスドク(年単位契約研究者)として渡米。
2010年グリーンカード(永住権)取得。2011年日本の奨学金に採用&娘誕生。
2012年異動。育児、日常、就職活動等を綴っています。

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結果は、各サブまとめで報告したように下記の通りでした。

応募過程に関する詳細は各サブまとめを読んで頂ければと思います。


[企業]


オファー: 1

ポジション: Scientific staff (常勤職)

部署: Research and development (R&D)

応募件数: 44


[国研]


オファー: 1

ポジション: ポスドクフェロー (2年)
応募件数: 5


[大学]


現地面接(最終結果待ち): 1
ポジション: Assistant professor (Tenure-track/Principal investigator(PI))

州立/私立: 州立

研究/教育重視: 教育 (Teaching school)

応募件数: 18


今年度の就職活動はこれまでに学んだことを総動員して、企業、国研、大学とすべての職種に応募しました。

その結果、渡米後3年半にしてようやく常勤職の初オファーをもらうことができました。


そして、大学の最終結果がまだ届いていないものの、これまでの記事でこのブログ当初の目的であった、米国で常勤研究職を得るまでに必要な情報を一通りカバーできたと思います。よって、就職活動に関する詳細な情報の提供は一段落したものとさせて頂きたいと思います。


これからは、就職活動関連の詳細情報にはこだわらず、さらに気楽な感じのブログにしていければと思っていますので、今後ともよろしくお願いします。

今年度の就職活動サブまとめ最後は、大学編。

結果は、


現地面接(最終結果待ち): 1件


北東部の州立大学でした

(教員は研究をして論文を出していますが、どちらかというと"Teaching school"(教育重視校)に分類される大学だと思います)。


応募数は18校。
昨年10月頃から二週間に一度程度、公募をチェックして応募。
研究計画書は、国立研究所Bに応募したもの をベースに。
応募大学のレベルは途中から中堅未満に絞りました。


下記が現地面接に呼ばれた大学からもらった予定表です。

ほぼ、この予定通りに進みました

(面接前日の飛行機が悪天候により2時間遅れて、予定のタクシードライバーに会えず、ホテルに着いたのが3:00AMだった こと以外は)。


********************


[Day1]

22:50 Arrives airport. Picked up from airport and taken to hotel by XXX Taxi Service.


[Day2]

7:00 Picked up from hotel

7:30 – 8:15 Breakfast with Prof. XXX
8:30 – 9:30 Meeting with Dean XXX in Dean’s office
9:40 – 10:00 Meeting with Prof. XXX (Office/lab), tour of instructional labs (Prof. XXX)
10:10 – 11:00 Guest lecture (Teaching demonstration)

11:05 – 11:45 Meeting with Prof. XXX, lab tour (Instrument 1, 2, 3, etc.)
12:00 – 1:10 Lunch at XXX with Prof. 1, 2, 3, 4
13:15 – 14:10 Research seminar in Rm XXX “Title”
14:15 – 14:45 Meeting with Prof. 1, 2 (Conf. Rm.); Meeting with Chair (Chair’s office)
14:50 – 15:25 Meeting with Search Committee Prof. 1, 2, 3, 4
15:30 – 16:00 Meeting with Prof. XXX (Rm. XXX)
16:05 – 16:45 Unscheduled; tour of town, back to hotel Prof. XXX

18:30 Dinner with Prof. 1, 2, 3, 4, 5


[Day3]

8:00 Picked up at hotel and taken to the airport by XXX Taxi Service.


注) Prof. 1, 2, 3...というのは人数が分かりやすいように数字にしただけで、それぞれの数字が同じ教員を示すものではありません。XXXもしかりです。


********************


企業での職探しに続き、大学での職探しにおいても永住権を保有していることは有利に働きました(というか、現地面接に呼ばれた大学の公募では米国で働く権利を有する者という条件がありました(つまり、大学はビザサポートしない))。


なお、選考プロセスにおける電話面接、現地面接の詳細は以下です。


[電話面接]


どこの大学でもある程度決まった質問をするようです。自分は、同じ時期に教員応募をしていた知人から質問リストを入手し、事前に答えを準備して面接に臨みました。面接では本当にそのリストに載っている質問がほとんどでびっくりしました。実際にされた質問のいくつかを下記にリストアップします(さらに詳しく知りたい方は、cooyouさんのこちらの記事 が参考になります)。


*Why us? (なぜ我々の大学なのか?)

*Funding source (競争研究資金はどこから得るか)

*What can you & want to teach? (どのような授業を教えられるか、また教えたいか(新しく開講するのも含め))

*Instruments needed for research (研究にはどのような装置が必要か)


[現地面接]


大学での現地面接は初めてでしたが、教員との面接、研究発表はさほど負担を感じませんでした。教員との面接は、これまで自分の所属大学に招待講演に来た人たちと話した経験が活きました(大学に招待講演に来た人との話については、cooyouさんのこちらの記事 を参照)。また、研究発表はこれまでの企業面接での発表、そして学会発表の経験が活きました。


ちょっと不安だったのは、授業デモ。これは実際の授業を担当するというもので(50分)、事前に教科書と分野を伝えられて、あとはよろしくと。現在所属している大学の学部生に教科書を借りて、せっせと勉強して、板写ノートを作りました。当日は、生徒が思ったより協力的で、話もきちんと聞いてくれたので、すごくやりやすかったです。


現地面接は、全体を通して個人的には楽しむことができました。

全部終わった後に連れて行ってもらった夜ご飯は特においしかったです

(とはいっても食事中も研究の話が飛んできたりして気は抜けないのですが)。


*後日談: 面接を受けた大学の教員Aに、自分が現在所属する大学の教員Bを知っている人がいたのですが、面接直後に、教員Aから教員Bに自分に関する情報を得るための連絡があったようです。自分は教員Bを直接知らなかったので、教員Bは自分の現在の担当教員に話を聞いたようです(現在の指導教員から聞きました)。やはり、研究の世界は狭いですね。自分の研究能力から日常態度まであらゆる情報が筒抜けです。


下記が時間的な流れです。


2012年5月下旬 最終審査中 -> メールで問い合わせて確認

2012年4月下旬 現地面接 -> 当日は終日予定有り, 前後で合計2泊

2012年4月上旬 現地面接の日程決定 -> 面接当日に研究発表と授業を受け持つことを伝えられる

2012年4月初旬 正式に現地面接に招待される (メール) -> 電話面接から三週間

2012年3月下旬 現地面接に招待決定 -> メールで問い合わせて確認

2012年3月中旬 人事部(HR)関連書類を直筆の署名入りで郵送

2012年3月上旬 電話面接 (11:00-11:30AM, 面接官3人(教授))

2012年2月下旬 電話面接の連絡(メール) -> 応募から二か月

2012年1月中旬 応募終了 -> 募集シーズン終了につき

2011年9月中旬 応募開始

下記は選考プロセスの各ステップにおける数的情報のまとめ。

最終結果待ち: 1件(州立大学)
現地面接: 1件(州立大学)
電話面接: 1件(州立大学)
応募: 18件


[結果]


結果: 最終結果待ち

州立/私立: 州立
学生数: 15,000名
ポジション名: Assistant professor (Tenure-track)

勤務地: Pittsburgh area, Pennsylvania
給料(9ヵ月分): 米国の大学ポスドク初任給の1.5倍 -> いまポスドクとしてもらっている日本の奨学金より少し少ないくらい


*企業同様、現地面接への交通費、宿泊費、面接中の食費は全て大学持ちです。

今年度の就職活動サブまとめの第二弾は、国立研究所編。

結果は、


オファーを受けた国研: 1件 (ポスドクフェローシップ)

現地面接を辞退した国研: 1件 (通常のポスドク)


応募数は5件。

オファーを受けたものを含め、選考過程で電話面接以降に進めたのはすべてポスドクでした(常勤職応募は一件のみ)。なお、国研の常勤職を得るためには、その国研でのポスドクを経たほうが可能性が高くなることもあるようです(たとえば、最近Natureに掲載された"Postdoc or not"という記事によると、米国国研によっては常勤職の8-90%もをその国研のポスドクから採用するとのことです。Nature 483, pp.499-500 (2012))。またオファーレターと一緒に届いた資料をみていたら、内部者のみ応募可能というポジションが国研によってはあるようでした。


不思議だったのが、永住権の効果が一番少なそうだったこと。実際に自分が応募したポジションのいずれも永住権が必要なものはありませんでしたし、選考過程にもさほど影響はなかったように思います。国関係の施設で働くためには最低でも永住権が必要なところが多いので、これは意外でした。


最終的にオファーを受けたポスドクフェローシップの応募書類の準備には丸々三ヵ月掛けました。受け入れ研究者と数日に一度のメールのやり取りをしながら、研究計画書、履歴書、推薦状、そして受け入れ研究者が選考委員会でおこなうプレゼンに必要な情報を入念にかつ完成度をできるかぎり上げて準備しました。対して、受け入れ研究者と数回しかやり取りをしなかった国研Aのポスドクフェローシップは採用されませんでした。そう考えると、国研のポスドクフェローシップの合否は受け入れ研究者が自分をどれだけ本気で欲しいと思ってくれているかに大きく左右される気がします。


オファーを受けるか否かを返事するまでの猶予期間は約一ヶ月。企業の場合 と比べるとだいぶ日数に余裕があります。また、オファーを受けてから実際に働き始めるまでの期間は二ヵ月。こちらは企業の場合とだいたい同じようです。


下記が時間的な流れです。


2012年5月下旬 通常ポスドク(国研OR)-現地面接辞退
2012年5月下旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)採用決定&正式オファーレターが届く
2012年5月中旬 通常ポスドク(国研OR)-正式に現地面接に招待

2012年5月上旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-ファイナリスト(17人)に選出される -> 最終的には7人採用

2012年4月下旬 通常ポスドク(国研OR)-電話面接&合格 -> 現地面接に招待される(一ヶ月後以降)

2012年4月中旬 通常ポスドク(国研OR)-電話面接の連絡 -> 応募から4ヵ月弱

2012年4月上旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-応募

2012年3月下旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-履歴書完成

2012年3月中旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-推薦状が揃う

2012年3月上旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-研究計画書完成

2012年1月下旬 ポスドクフェローシップ(国研A)-応募 -> 受け入れ研究者とのやり取り数回(メール)

2012年1月上旬 ポスドクフェローシップ(国研LA)-応募書類の準備開始

2011年12月下旬 通常ポスドク(国研OR)-応募

2011年12月下旬 通常ポスドク(国研B)-応募

2011年12月中旬 ポスドクフェローシップ(国研A)-応募書類の準備開始

2011年7月中旬 常勤職(国研B)-不採用 -> 研究計画書提出から三週間

2011年6月下旬 常勤職(国研B)-研究計画書提出

2011年6月上旬 常勤職(国研B)-研究計画書請求 -> 応募から二週間

2011年5月下旬 常勤職(国研B)-応募


下記は選考プロセスの各ステップにおける数的情報のまとめ。

採用: 1件(ポスドクフェロー(2年))
現地面接: 辞退1件(通常のポスドク)
電話面接: 1件(通常のポスドク)
応募: 5件


[結果]


結果: Offered a position

機関名: 国研LA
ポジション名: Director's postdoctoral fellow

期間:2年
勤務地: Santa Fe, New Mexico
給料: 米国の大学ポスドク初任給の2倍


*オファーを受けた場合、引っ越しに掛かる費用はペット移動費を含め全て国立研究所持ちです(企業の場合同様、事前に家を探しす際の渡航費、ホテル代、レンタカー代、食費から実際の引越しの際の家財の移動費、車の移動費、そして引越しの際にホテルに泊まる場合にはその費用まで)。

今年度の米国における就職活動の全体まとめは後ほどするとして、その前に企業、国立研究所、大学に分けてそれぞれのサブまとめをしたいと思います。


まずは企業。


結果としては、

オファーを受けた企業: 1社


そして、仕事内容は研究開発でした。


がむしゃらに100件以上応募した2009年のときの就職活動とは大きくことなり、今回は44件。

そのほとんどを年末休暇の一週間半程度で応募したことを考えると、約半年かけて100件程度応募した2009年とは効率がだいぶ違った気がします(自分に適した仕事の見つけ方も含めて)。


そして2009年のときと違うのは永住権をもっていること。

オファーを受けるのに確実に有利にはたらいたと思われます(実際公募には永住権を有することが条件に入っていました)。

ただ、オファーを受けた会社で話を聞いた新人外国人は、永住権無しで採用されたとのことだったので、採用の絶対条件ではないこともこれまた確かのようです。


最後に2009年と違うのは、そもそも企業による公募の全体数が明らかに多いこと。

つまり景気が2009年と比べたら明らかに良いこと。

下記の米国労働省のデータからも明らかです(逆に2009年に自分が就職活動したときは最低)。


ポスドク研究者のアメリカ育児&就活日記

単位: 千
職種: 農業以外
地域: 米国全域
出典: U.S. Department of Labor, Bureau of Labor Statistics

ということで、分かったことは以下。


日本で博士号取得後、渡米して3年半あれば、それなりの米国の常勤研究職に就くことが可能。

そしてそれは景気と、保有ビザの種類によって大きく影響される。


なお、選考プロセスにおける各種審査は、過去に経験したものとほとんど同じでした。
よって、過去の経験は非常に活きました(つまり経験も重要のようです)。


オファーを受けた後の手続きで、少し気を付けないといけないと感じたのが、受けるか否かの返事をする期限と働き始める時期。


返事は通常、数日から1週間以内と短いようです。周りの話を聞いた感じでも、これは企業で一般的な日数のようでした。自分の場合は、がんばって1週間弱でした。もっと待ってほしい場合には、現地面接の際にそれを伝える必要があります。もっとも、これがあまり長いと来る気がないんじゃないかととられ、選考で不利になる可能性があります。


働き始める時期も、もし具体的にこの日以降でないと働き始められないというのがある場合には、現地面接のときに伝える必要があります。自分の場合には、どれだけ遅くても2ヵ月以上は待てないと言われました。


ちなみに、給料に関してもこのタイミングで交渉します(逆にオファーを受けるまでは給料の話は一切しません。もし先方から聞かれてもあまり明確に答えないのが一般的です)。通常であれば、数千ドル程度なら上げてもらえますが、上げた分だけ採用後に求められるものが多くなるので、バランスが重要です(仕事を受けるときはそのままの額で受けて、その後の働きぶりで昇給を要求するというのが賢い方法なのかもしれません。これはポスドクとして海外で働き始める時にも同じような気がします)。


上記の情報が今後、米国で常勤研究者を目指す方の参考に少しでもなればと思います。


下記が時間的な流れです。


2012年2月下旬 オファーを受けるか否かを返事(中堅企業) -> 正式オファーから一週間弱
2012年2月中旬 正式なオファーレターを受け取る(中堅企業)

2012年2月上旬 採用されたと電話連絡を受ける(中堅企業) -> 現地面接から一週間

2012年2月初旬 現地面接(中堅企業) -> 相手は技術者

2012年1月下旬 電話面接審査通過(中堅企業) -> 電話面接から数日

2012年1月中旬 電話面接(中堅企業) -> 相手は技術者

2012年1月中旬 知能テスト審査通過(中堅企業) -> テストから数日

2012年1月上旬 オンラインによる知能テスト(中堅企業)

2012年1月上旬 書類審査通過1件(中堅企業) -> 応募から一週間

2012年12月下旬 年末休暇を利用して集中的に中堅企業を中心に応募 (>30件)

2011年9月 大手企業にざっと応募して反応をみる (10件程度)

下記は選考プロセスの各ステップにおける数的情報のまとめ。

採用: 1件(中堅企業)
現地面接: 1件(中堅企業)
電話面接: 1件(中堅企業)
応募: 44件


[結果]


結果: Offered a position (2009年に就職活動を始めてから初)
会社名: 製鉄業関連会社g社
社員数: 3,000名 (R&D: 200名)
ポジション名: Scientific staff (R&D)
勤務地: Cleveland, Ohio
給料: $三桁k(年二回のボーナス含む) -> 米国の大学ポスドク初任給の2.5倍

年間売上: $1 billion (1,000億円程度)


*現地面接への交通費、宿泊費、面接中の食費は全て会社持ちです(日本でも同じかもしれませんが)。

*オファーを受けた場合、引っ越しに掛かる費用はペット移動費以外全て会社持ちです(事前に家を探しす際の渡航費、ホテル代、レンタカー代、食費から実際の引越しの際の家財の移動費、車の移動費、そして引越しの際にホテルに泊まる場合にはその費用まで。もし家を持っているようであれば、その売買まで世話してくれます)。

TJことTrader Joe's でキムチが売り出されたとのことで早速買ってみました。

外見はこんな感じ。$1.99。
ポスドク研究者のアメリカ育児&就活日記

中身はこんな感じで見かけは普通のキムチ。
ポスドク研究者のアメリカ育児&就活日記

そして普通においしい。
パッケージをチェックしてみると、Made in Korea.
そりゃおいしいはずだ。
お勧めです。