”不安”がどういった理由で生じるのかによって、
以下の5つに分類されています。
1.パニック障害
2.全般性不安障害
3.社会不安障害
4.強迫性障害
5.外傷後ストレス障害(PTSD)
「パニック障害」では、急に不安に襲われることで、呼吸が苦しくなる等の身体症状が現れます。また、”いつ不安が襲ってくるかわからない”ということが更なる不安を呼ぶこともあります。酷い場合には失神を起こすこともあります。
「全般性不安障害」では、何かを考え始めた時、何かが思い浮かんだ時に、それに対する不安が払しょくできなくなります。そのため、何かが起きそうだという不安にずっと囚われることになります。これにより震え、肩凝り、口の渇きなどを起こします。
「社会不安障害」では、他人からの視線を気にするあまり、極度に緊張し、人前で話ができない、字を書けない、飲食できない等の症状が現れます。また、こうした緊張を避けるために、人前に出ること自体を避けることもあります。
「強迫性障害」では、極度に汚れを嫌う潔癖症や、火の元・戸締りを異常に気にする病的な疑念、”ゴミ屋敷”のようにゴミを不条理なほど集めてしまう溜め込みなど、症状は様々なものとして現れます。
一般的に、他者から見ると苦痛や不安を和らげたり、何かの達成感を得られるとは考えにくいものに対し、病的に固執するもの、と考えることができます。
「外傷後ストレス障害(PTSD)」では、過去のトラウマの記憶が突然甦る”フラッシュバック”や、同じことを繰り返さないよう過剰に回避するようになること、自分を守るために感情や興味・関心が乏しくなるといった症状があります。
不安障害の薬物治療によく用いるSSRIでは、
それぞれ適応症は効果のあるものを区別して記載しています。
※SSRIの適応症
『レクサプロ(一般名:エスシタロプラム)』・・・うつ病・うつ状態、(効能追加(申請中):社会不安障害)
『ジェイゾロフト(一般名:セルトラリン)』・・・うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害
『デプロメール(一般名:フルボキサミン)』・・・うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害
『ルボックス(一般名:フルボキサミン)』・・・うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害
『パキシル(一般名:パロキセチン)』・・・うつ病・うつ状態、パニック障害、強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害
よく似た薬ではあるものの、SNRIやNaSSAには、「不安障害」に対する適応がありません。
「不安障害」では、薬物療法と併せて
認知行動療法が有効なケースも多々あります。
認知行動療法は、最近では慢性的な不眠症などに対しても認知行動療法は最優先すべき、という意見もあり、広く治療の一環として行われるようになっています。
認知行動療法では、考え方を矯正したり、あるいは不安をそのまま受け入れることでそれに固執しなくなるような考え方を身に着けることができます。
不安を無理に排除せず、あるがままの自分を受け入れる考え方を養う「森田療法」を積極的に導入している医療機関も増えています。
薬では治せない”不安の根本”を解決できる方法であり、なおかつ副作用もない治療方法のため、なかなか治らず困っている場合には、一度主治医と相談してみることをお勧めします。