羽生選手NHK杯フリーBユーロ解説翻訳 | ロンドンつれづれ

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羽生選手、NHK杯フリーのブリティッシュ・ユーロスポーツの解説を翻訳しましたのでごらんください。 下の動画の画面右下のセッティングで、サブタイトル(字幕)のJapaneseを選んでごらんください。

 

Bユーロスポーツ、解説はサイモン・リードとキャサリン・ウイティカー。 

 

 

サイモンはジュニアの時からの羽生選手ファン、キャサリンも、すごく応援をしてくれているようです。

 

夫とも話しましたが、羽生選手の強みは、その多様性。 パリの散歩道からショパンから、ミュージカルから三味線からプリンスまで、色んなジャンルの楽曲に合わせた振り付けを、すべてこなしてしまうところではないか、と。 

 

フィギュアスケートはバレエにも似て、音楽の役割が凄く大きいので、選曲の段階ですでにプログラムの出来がきまってしまうようなところがあります。 まずは踊りやすい、人の心に残りやすい曲を選び、それをフィギュアのエレメンツに使いやすい部分を切り張りして編曲する。(時間制限がありますから、かなり難しいのです) そしてその音にジャンプやスピンなどのエレメンツやつなぎの部分をはめ込んでいって、振り付けをするわけです。

 

振り付けも、スコアや体力を考えれば、エレメンツを偏って入れると息が続かないとか、あるいは後半に入れた方が高得点とか、でもそうはいってもジャンプが全部後半だと見ているほうはなんだかバランスが悪く見える、とか、色々あるでしょう。

 

そういうことすべてに、きっと羽生選手は自分の意見もしっかり言いつつ、振り付けやコーチの先生たちとすりあわせをして、プログラムをしっかり自分のものにして滑っているのだと思います。自分の能力でできることをすべてプログラムの中で見せつつ、芸術作品としての側面を大切にする。 その中で、ひとつひとつの曲のもつテーマや雰囲気をしっかり表現することで、観客の心を捉えることができる。 単なるエレメンツの羅列であれば、見ているほうは感動できないわけで、テクニカルを音にはめて並べるだけでは芸術作品にはなりえません。

 

いろんなジャンルの曲を提案してもらい、自分のコンフォート・ゾーン(得意分野)からも敢えて出たところで勝負をする。それを若いときから繰り返すことで、範囲が広がってきたのではないでしょうか。どのプログラムを見ても同じように見える、というスケーターさんもいますが、羽生選手はきっちりと演じ分けています。また、「演じる」だけではなく、「自分」をしっかり作品の中で出してオープンにすることで、観客を自分の側につけることのできるスケーターさんだと思います。 

 

ダンサーでもスケーターでも、表現者は自分を他者とシェアする勇気が必要なのでしょう。 バレエやアイスダンサーなど、その才能がないと、まったく駄目でしょう。 作品に入り込んで、役になりきれる人。自分を投入して開ける人。でもそれが出来るには、まず表現できるだけの卓越した技術がないと無理でしょうが・・・。難しいことをしているな、と見ているほうに感じさせないでいて、その技術を駆使して表現したいことを自在に表現できること。言うは簡単ですが、いったいどれほどの時間と練習を積んでいるんでしょうか。たった2分半、4分半のなかに込められたメッセージを伝えるために・・・。

 

 

2週間後のフランスはマルセイユでのグランプリファイナルまで、羽生選手が風邪をひかないよう、怪我をしないよう、お祈りしております!

 

そして、ファイナルではフェルナンデス選手、チャン選手など強豪が待ち構える中、ベストをだして納得の演技で魅せてもらえることを楽しみにしております!