オーバーズドルフのリンクは、ネーベルホルン杯も行われるが、2014年にもババリアン・オープンというフィギュアスケートの試合が開かれている。
そして、ネーベルホルン杯にはかつて、ブライアン・オーサー、ブライアン・ボイタノ、カート・ブラウニング、イリヤ・クーリック、田村岳斗、ステファン・ランビエールなどというそうそうたる選手が名を連ね、最近ではトマシュ・ベルネル、ミハル・ブレジナ、ジェイソン・ブラウン、コンスタンティン・メンショフ、織田信成、町田樹、羽生結弦といったトップクラスの選手が出場している。
リンクは、いくつか前の記事でご紹介したが、歴史の感じられる建物の中にメイン、サブ、そしてカーリングと3つのリンクがあり、アダルト世界選手権の期間中は、試合はメインリンクで9時から10時ぐらいまで行われ、その間サブリンクではつねに練習、そしてカーリング場でも選手の練習する姿がみられたが、どうじにパブリックセッションも1日2回、2時間ずつ行われていたので、私も滑ってみたのである。
下は、メインリンクで競技する選手。
こちらは、サブリンク。この時は、ペアの選手たちが練習していた。
カーリング場はこの二つのリンクよりはずっと狭いが、一般滑走の時間に、選手たちが10名ほど入って練習。
私は試合会場でまさか一般滑走があるとは思わなかったので、自分の靴を持っていかず、どうしても滑りたかったのでおもわず、貸し靴で滑ることに。
この真ん中の事務所のようなのが、貸し靴コーナー。
かりた靴は、ひどかった・・・。 しかも、日本人は足がちいさいので子供用しかなくて。
だしてきてくれたとき、おもわず「ホッケーじゃなくてフィギュアのブーツ」といったら、「ほら、ここにぎざぎざがあるでしょ」と。
「・・・・・」
でも、チョイスはないので、これで滑ることにした。
この靴は、超コワかった・・・。
もちろん、こんな靴でジャンプやスピン、その他のことを試そうと言う気にはなれない。
ドイツに来て激しく転倒、骨折なんてしたらたいへんである。職場のボスになんて説明しよう。
なので、この日はおとなしく、まっすぐ前に走行するだけにした・・・。 だって、ちょっと後ろ向いてバック走行しようとするだけで、著しく安定を欠くのである・・・。 トウだけではなく、エッジもほとんどないし・・・。氷の上をツルツル滑っちゃう感じ・・・。
と同時に、普段どれだけシャープなエッジやトウピックにたよって滑っているのかあらためて実感した。
ところで、ひとつほめたいのは、ここのリンク、氷の質がとても良いことである。
こんな靴だというのに、少し押すとススーっとかなりのスピードですすむ。氷が硬くて、ドライな感じ。エッジがめり込んで氷が解けているような、あるいはごつごつの粗目の上を滑っているような、そんな感じがなく、硬質の滑らかな表面をすーっと行く感じ。
氷の質はともかく、靴はやっぱりひどかった・・・。 前に、貸し靴で滑ったアイスダンサーの友人Mちゃんが、「あれはいて滑っている一般の人、すごいです。尊敬します」といっていたが、なんとなく意味がわかった・・・。
もうちょっとお金を払ってもいいから、せめてひとサイズずつ、もっとましな靴をそろえておいてくれないかな。どこのリンクにいっても思うけど。高くても、ましな靴で滑りたいっていう人、いると思うけどな。
やっぱり、道具は大事だ。
そんなに難しいことを色々やる私ではないが、そろそろ靴を買い換えようかなと思っていたのに、決心が付いた。
90ポンドという破格な値段のスケート靴をネットで購入し、3ヵ月後に列車の網棚に置き忘れてなくした私は、2番目のスケート靴としてロンドン・スケートセンターにいって、トリプルジャンプも跳ぶかわいらしいスケーターのルーク君にすすめられるまま、靴とブレードのセットになった初心者用のものを買った。
以来、人から「どこの靴?」と聞かれるたびに、「えーと・・・」と靴を持ち上げては調べて答えていた。
今はやっと覚えた。
靴はリスポート、ブレードはジャクソンのウルティマ・アスパイアーである。
先日、またロンドン・スケートセンターにいって、そこの主人のアレックスと話したら、「アスパイヤーなんて、ほんの初心者よ。ゴールドシールはどう?」というから、「ゴールドシールは上級者用でしょう。とんでもない。コーチはコロネーション・エースがいいんじゃない、って言ってくれた・・・」というような話をした。
結局、コロネーションエースのパラボリック、そしてレボルーション・タイプをシェフィールドのジョン・ウイルソン社に直接注文することにした。1ヶ月かかるそうだが、待つのもまた楽しい。
初心者から中級まで使えて、軽く、ショックを吸収するということで、初老の私の足腰や膝には優しいのである。少しでも軽くなれば、スパイラルの時、足がお尻より上に上がるかもしれない。
また、パラボリックにすると刃の中央を細めにカットしてあり、スピンの時にセンターがとりやすいというではないか!
自分のヘタクソ加減を道具のせいにはしたくないが、道具が良くなればもう言い訳はきかない。
自分を追い詰めるためにも、少し高くつくが、いいものを買うことにした。とはいえ、上には上があるので、上級スケーターたちの靴やブレードには及びもつかないが。
しかし、こうやって、へたくそでも大人スケーターがいい靴やいいブレードを購入することには意味がある。
今回も、オーバーズドルフの会場に、EDEAのセールスや靴の中敷の会社が来ていたが、フィギュアスケート関連の老舗が生き延びるためには、トップスケーターや若い人たちだけがお客でいたのでは足りないのである。
ゴルフもテニスも、一般の人たちが道具にお金をかけて買うことで、一流の会社が生き延びて、トップ選手たちのための素晴らしいラケットやクラブの開発ができるのである。
この会場だけで400人もいる大人スケーターは、フィギュアスケート業界にとって、潜在的に大きなマーケットなのではないか。お金だって、若い人よりも持ってるだろうし。
スケートを習い始めて2年。そろそろ、いい靴とブレードを手に入れてもいいころかもしれない、とコーチも言ってくれた。 へたくそだからと遠慮していることはない。
わたしも、いい靴と、いいブレードでますます練習に気合を入れることにした・・・。そして、スケート業界に貢献しようではないか。
オーバーズドルフの試合会場で、EDEAの靴を吟味するアメリカのスケーター。
靴を試しているスケーター。
靴の中じきの会社。その場であつらえてつくってくれる。
これはほしかったけれど、靴を持っていかなかったので残念ながらあきらめた。
リンクのショップには、スケート関連のアクセサリーや練習着が。
ジョン・ウイルソン、レボリューションの説明
https://www.youtube.com/watch?v=2bXYrpiwhr0
ジョン・ウイルソン、パラボリックの説明
https://www.youtube.com/watch?v=xIyGMuQDgqg