羽生選手、練習開始 | ロンドンつれづれ

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羽生選手が、そろそろ練習を開始しているという。

なんと、ジャンプも少しずつ始めたそうだ。

さすが、若さ。回復が早い。

確か、12月の28日か29日に入院か手術だったはずだから、まさに1ヶ月、4週間が過ぎたところ。

でも、50歳を過ぎて手術した私だって、手術して3週間たたないうちに泳ぎに行ったりしたんだから、ハタチの若者ならもうきっと大丈夫。


最初の予定よりも早い退院だったのじゃないかしらん。そして、練習開始も。

きっと病院にいる間もリハビリを頑張っていたんだろうし、リンクにのってしまえば、「おとなしく」なんてしていられないに違いない。


2014年は、羽生選手にとって、本当に激動の1年だっただろう。オリンピック、世界選手権で金メダルを連取して、怒涛のアイスショーをこなし、メディア・アテンション、受賞の嵐と天皇陛下の御茶会まで出なくてはならず…。

体調を崩して練習もままならない状態で、フィンランディア欠場、そして中国杯での事故と負傷。つづくNHK杯では、練習不足と筋力低下もあっての不本意な成績。


しかし、本人の強い気持ちと運が彼をグランプリファイナルへと運んだ。

バルセロナでの復活はまさに劇的であり、2014年の羽生結弦物語を完璧なフィニッシュへと導いた。

しかし、それだけでは足りず、全日本後の緊急手術というおまけ付きで年末、年始へともつれ込んだのである…。

羽生選手のファンは、狂喜乱舞したり、心配で眠れなかったり、心乱れて泣き明かしたり、またホッとしたり、感動で胸打ち震えたり、また心配のあまりツイッター中毒になったり…。

もう2年近く前に、「なんてドラマチックなスケーターだろうか」と記事に書いた記憶がある。(どの記事だったか忘れてしまったが)

羽生選手のファンは、色んな意味で、一時も安心させてもらえないのである。

常に変化し続け、進化し続け、進化し続けたいために究極の努力を重ねる天才には、感動の結末や、思いもかけないことが次々と起こるのだ。

こういう人は、確かにいる。

のん気で、ほどほどで、現状に満足していて、テキトーに物事を進めている人は、あんまりドラマチックな人生を送らないだろう。そして、周りも予測のつきやすいそんな人にはあまり振り回されないで済むのである。

でも、人生全力投球して、さらなる上を目指して疾走するようにして生きている人には、人の何倍ものスピードでいろんなことが起こる。そして人の何倍ものスピードで成長し、進化していくのに違いない。そこが面白くて、こちらは目がはなせないんだけれども。

アクシデント・プローン、とは言わない。 が、やっぱり、ドラマが起こりやすい人生の運び方なんじゃないか、とは思う。



さて、世界選手権。

どういうプランを練ってあたってくるんだろう。

グランプリ・ファイナルの演技は、今シーズンではきっと一番納得できた演技だったに違いない。それでも、彼の中では「完璧」ではなかったはずだ。ジャンプの構成だって、オリジナルのものからは変えてある。



入院と療養で、筋肉の量はかなり減っているはずだ。リハビリをしていたにしても、氷の上に乗って使う筋肉とは違う。

まずそれをビルドアップし、ジャンプやスピンを、元のレベルまで戻す。スケートが氷を押す感触を取り戻して、タイミングをつかむ。

多分、私達が考えているよりは複雑なプロセスがあるに違いない。

そんじょそこらの身体や技術じゃない。研ぎ澄まされた、トップクラスのアスリートである。



でも、時間はあるはずだ。



彼なら。

きっと戻してくる。

というか、超えてくるだろう。バルセロナの彼を。




楽しみで、ワクワクするのである。



見せてもらおうじゃないか、また新しい羽生結弦を。



彼はきっと期待に応えてくれるだろうから…。それを力にして成長してしまう選手だから…。