監督が呼んでいる、と蓮に言われ連れて来られた先は、
何故か蓮の控え室だったーーー。
「あのぅ…?敦賀さん……?
監督は、いいんですかーーー?」
キョーコは不思議に思い、蓮に尋ねると…、
「あぁ。大丈夫だよ。
ーーー嘘だから。」
キュラキュラスマイルでさらっと嘘だと言う蓮に対し、キョーコの肩から怨キョが一匹飛び出した。
(おおお、怒っていらっしゃるーーー!)
「君は、もう少し警戒心を持った方がいいね……。
いくら知り合いとはいえ、簡単に人気のないところに連れ込まれるなんてーーー
それに、誰かに聞かれたり、見られたりするのもマズイとは思わないーーー?」
「うっーーー、は、はぃ………。」
キョーコは冷や汗を流しながら縮こまる。
「もし、俺が来なかったら……、
あのあと、どうなってたと思うーーー?」
「ーーーえ?」
どうなってたと言われても、どうもならなかっただろうと思うキョーコは、返答に困っていた。
「不破に、キス、されてたかもしれないよーーー?」
「ーーー。
ええっ!!?
そんなっ、アイツに限ってそんなことっーーー」
「ない、とは……
言えないよねーーー?」
今度は蓮がキョーコを追い詰める。
「忘れたのーーー?
バレンタインに、アイツに何されたかーーー」
控え室の中の壁際までキョーコは追い詰められ、蓮の両腕によって逃げ道を遮られる。
「二度目はない、からねーーー?」
最後にキュラキュラスマイルでにっこりと蓮は微笑み、キョーコを解放した。
そのままキョーコは壁に沿って、ぺたんと座り込む。
「あぁ。それからーーー
君を見る男の視線に気を付けて、っていうのは、俺も同感かな…。」
「………へぃ?」
キョーコは思わず情けない声を出してしまった。
「君は、自分のことをよく分かっていないようだから………。
いい?前にも言ったけど、
何か困るようなことがあれば、真っ先に俺に言うんだよ?」
キョーコは、以前同じセリフを言われたあとのことを思い出し、少し複雑な面持ちで返事をした。
「ーーーはぃ………。」
⇒ Intertwined love (8) へ続く