328日(金)ソワレ サントリーホール

 1つ1つの音の“煌くような美しさ”に魅了され、今回が3度目になる、辻井伸行さんのピアノコンサート。

 初回は佐渡裕指揮BBC交響楽団との共演(震災で延期になったものを2年後に実施)、2度目は「コンポーザーフェスティバル」、そして今回は待望のピアノソロのショパンとリスト。


 座席の場所が、弾いている“指”が全く見えないことは予想できたのですが、少しでいいから見たかったな…。表情はよく分かり、弾き始める前の指の微かな動きとか、ペダルを踏む足などがよく見えました。


 1部はショパン:ノクターン第20番「遺作」・ノクターン第18番・アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズ・ピアノソナタ第2番「葬送」


 2部はリスト:エステ荘の噴水・ペトラルカのソネット第104番・「愛の夢」第3番・「ラ・カンパネラ」・イゾルデの愛の死・グノーの歌劇「ファウスト」からのワルツ。


 大ポロネーズ、ファウストのワルツの若々しい力強さは新しい発見でした。一方の「愛の夢」の優しい響きは、夢心地。生で聴きたい!という夢が叶いました。

 圧巻は「ラ・カンパネラ」。ただ幸せな気分でした。


 ツアー最終日ということもあって、アンコールは4曲も。

ノクターン第8番(ショパン)・神様のカルテ(辻井伸行)・革命(ショパン)・モミの木(シベリウス)。4度目は客席もどよめきましたが、辻井さんは本当に楽しそうにピアノに触れて、見ている方も幸福感いっぱいでした。


 演奏に熱が入ると、合間に“くしゃっと丸めたハンカチ”で無造作に汗を拭い、そのままポケットに突っ込むのが、微笑ましい感じでした。


 演奏後に立ち上がる時の嬉しそうな表情…ピアノの神様に愛された天性のピアニスト…と、その演奏が聴けたことに感謝した、素敵な演奏会でした。