コードネームU.N.C.L.E. | 今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

今日もこむらがえり - 本と映画とお楽しみの記録 -

備忘録としての読書日記。主に小説がメインです。その他、見た映画や美術展に関するメモなど。

 

2015年 イギリス

ガイ・リッチー 監督

原題: A Man From U.N.C.L.E.

 

 

「007」とも「キングスマン」ともまた一味違った、イギリス発スパイもの。「0011ナポレオン・ソロ」という60年代のテレビシリーズのリメイク映画だそうです。祖母の影響で自分の世代より古い海外ドラマと時代劇をよく知っている私ですがこれは知らなかったー。まだ世界が鉄のカーテンに分断されて西と東で冷戦状態だった時代、ベルリンの壁も現役だった時代にある得ない組み合わせ・・・本来敵同志のソ連とアメリカの凄腕スパイが手を組んで国際犯罪組織による核兵器拡散を防ぐために遁走します。さらにはイギリスまで加わっちゃう。

 

設定だけでも十分面白そうだし、キャストも豪華な美男美女揃い、さらにガイ・リッチー監督となれば否が応でも期待が大きくなりますが、その期待を裏切らない面白さでした。テンポもよいし展開も面白いし、お洒落でスタイリッシュ。いかにも大金ぶちこんだ必要以上に派手なばかりのカーアクションや爆破やSFXがないのも好感触、あくまでもストーリーと演技と展開で魅せる姿勢が好みです。勿論ユーモアも忘れていません。どこをとってもワクワクしか見つからないような楽しい素敵な映画でした。

 

CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)は宿敵KGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)と協力しあい、核兵器の大量生産を可能にする技術を開発した天才科学者の娘ギャビー・テラー(アリシア・ヴィキャンデル)を守りながら、開発中の新型兵器とその設計データを奪取するため彼女の父親の行方を追います。

 

ソロとクリヤキン、どちらも劣らぬ美形かつ超スゴ腕スパイ。それに自信家というところまでは共通でどちらがより上回るか甲乙つけがたい二人。でもそれ以外は所属組織だけでなく、性格からファッションの好みから何から何までまったく正反対でまさに水と油の二人。スーパー遊び人でチャラ男のソロに、超堅物で体育会系ノリのクリヤキン。お互い反感しかもてないし、信用ならないから盗聴しあったり、ギャビーの衣装選びで喧嘩したり、笑っちゃうほど張り合ってばかりですがそこは元男子、思いっきり喧嘩してぶつかり合った後は絆が生まれるものです(笑)。

 

お互いディスりあって揚げ足とりまくる二人ですが、いつしか最高のバディ(本人同志は認めたがらないでしょうけど( *´艸`))、相手のピンチは見過ごせないどっちもいいヤツ。最初はクリヤキンがピンチ状態に。うっちゃって自分だけスマートに逃げようとするけど結局助けるソロくんですが、その前に絶体絶命のクリヤキンを横目に優雅に他人様のワインを楽しむシーンは楽しくて見どころのひとつです。

 

・・・が、このシーンには日本人にとって思わぬ罠が。スタイリッシュで優雅な60年代イギリス・スパイ映画を観ているはずが、突然「ヒロシです・・・」のテーマ曲、ペピーノ・ガリアルディのChe Vuole Questa Musica Staseraが・・・(笑)。いえ、ガリアルディもガイ・リッチーもヒロシも誰も悪くありません。優雅で美しい旋律だし、シーンにピッタリなんです・・・が。誰も悪くありませんが・・・ねぇ?(笑)お陰で必要以上にユーモラスなシーンに見えてきます・・・ププっ。

 

ヒロインのギャビー役は「ジェイソン・ボーン」でも出演していたアリシア・ヴィキャンデル。まったく本当に可愛い。そういえば、キーラ・ナイトレイの「アンナ・カレーニナ」のキティ役も彼女でしたね。あれも可愛かった♪今回は、ディオールやYSLなどの豪華な60年代ファッションに身を包んだアリシアがいっぱい見られて、それもまた楽しみの一つです。

 

美女とファッションでいえば、悪女役のエリザベス・デビッキもさらにゴージャス、負けていません。とびきりゴージャスで傲慢で冷酷な悪者っぷりがとってもお似合いです^^。

 

高名な建築家とそのフィアンセという設定で行動するクリヤキンとギャビー。必然一緒に過ごす時間が長くなるので(泊まるスイートも当然一緒)、親密さと信頼が生まれ、やがて恋愛感情に発展しそうですが、何分相手がソロではなく堅物クリヤキンだからなかなかにもどかしく、ニマニマしながらハラハラする二人の関係もお楽しみポイントのひとつ。

 

そして、後半にはさらに新たなるサプライズ爆弾投入!個人的に一番のハッピーサプライズ、なんとヒュー・グラント登場。きゃー(笑)。登場声を聴いて「えっまさか?!」と思って画面を食い入るように見つめてしまいました。いつものモテ男オーラを封印して寡黙で知的な役作り。うーん、素敵。

 

ところで。敵対する米ソが共通の脅威を前に協力関係を結ぶ・・・のはいいとして、量産型兵器を裏社会の武器商人から奪うのはいいとして、その後どうするつもりだろう?だって、”自分以外の誰か”に渡したくない、言い換えれば自分が欲しいってのが本音ですよねーえ。第三者の手に渡すな、の絶対命令は第二段階、KGBはCIAに、CIAはKGBに渡すな、自国へ持って帰れって当然思うよね?と当然気になるところ。案の定、最終的には「必要があれば、殺せ」とお互い秘密命令を受けていたソロとクリヤキン。せっかくいいバディになれたけれども所詮はお互い対立する立場。果たして二人の出す結論は。

 

いかにも続編できそうなのに、まだその予定はないんですよねー。続編熱望。それも是非ヒュー様がお仕事引退する前に続投でお願いします(≧◇≦)。