F-14 トムキャットのダメ槍 ~AIM-54フェニックス~ | Barたまブログ   ФAlfaromeo+Volvo+BuellФ

F-14 トムキャットのダメ槍 ~AIM-54フェニックス~

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一度書き出すと止まらないオタクネタ。「1日1回!トムキャット」ですが、これを語らずばトムとは呼べず!なモノを語ってませんでした。それは・・・


AIM-54

フェニックス・ミサイル


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これです。

このミサイルってば艦隊の守護神であるトムキャットの存在そのもの。まず何と言ってもトムキャット専用。トムのFCSにしかコントロール出来ません。トムの胴体下パイロンにしか搭載出来ません。しかも1発477千ドル(約60,000,000円)とも言われる超高級品。それがトム専用。他には転用出来ず。主力のホーネットも搭載出来ず。なんつぅ無駄。
またそれがトムっぽくて好きなんですが、余りに高価&没汎用性で、既にトムといっしょに退役してます。

フェニックス・ミサイルには通常のA型に加え、エグゾセなどの巡航ミサイル撃墜に対応したB型、耐ECCM能力を追加したECCM/Sealed型の3タイプがあります。
このミサイルの最大特徴は超長距離アクティブレーダーホーミング空対空ミサイルであること。最大射程210kmとそりゃスーパーな性能を備えています。因みにF-5やF-4ではスタンダードなAIM-9 サイドワインダー射程18km、現在F-15はじめ撃墜実績No.1のAIM-120 AMRAAMでさえ最大射程50km程度と言われてますから、いかに広範囲の空域をカバーしてるか分かるってモンです。要は情報戦ですから、トムが高性能なフェイズドアレイ・レーダーとそれを生かすフェニックス・ミサイルを搭載しているっちゅう事実だけでも、相手には脅威だったんですねぇ。

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更にトムキャットが搭載していたAN/AWG-9レーダー(F-14DはAN/APG-71に換装)も、索敵能力距離200km以上を誇り、追尾も同時24目標が可能。トムキャットは最大6発のフェニックス・ミサイルを搭載出来ますから、6つの目標に対して200km以上離れた場所から同時攻撃可能だったんですねぇ。これもこのフェニックス・ミサイルがあったればこそです。

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ところで、空対空ミサイルの射程距離って不思議に思ったコトありません?だって空対空ちゅうことは相手も飛行機デショ?ロックオンされりゃ、全速で逃げるだろーし、相対してるのか、追尾してるのかでも相手との距離は変化しますよね。ここ、今日のポイントです。

空対空ミサイルを発射する瞬間を想像してみましょう。場所はそーですねぇ、ソマリア沖南東のアラビア海。
哨戒中のP3Cオライオンから敵性航空機補足のシグナルが入ります。愛機トムキャトの機首をそちらに向け、敵機確認します。FCSの兵器選択をAIM-54にセットし、AN/APG-71レーダーに補足した適性航空機を確認直後、攻撃開始の指令が。相対距離180kmでロックオン。操縦スティックの赤いレバーを上げて、

FOXワン!!言ってみてぇ~
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FCSからパイロンに指令を送られたフェニックス・ミサイルが機体から離脱、1秒程度のタイムラグがありロケットエンジンに点火します。ドドドドバァーと飛翔を開始するフェニックス。白い筋が一直線に敵機に向かいます。ロックオンされた敵機は右往左往しますが、アクティブホーミングのフェニックスから逃れられる筈もありません。更に1,300m/s以上のスピードを誇るフェニックス。右に左に執拗に敵機を追廻し、遂に着弾!

Bingo!!

さて、この興奮する想像(夢想?)ですが、大きな勘違いがあります。ワイも最近まで認識してませんでした。いったい何なんでしょう?!


ミサイルってば発射んときロケットに点火しますよね?当然、個体燃料使うワケですが、大型ミサイルのフェニックスでさえ全長3.9mです。んな大量の燃料積めるワケありません。更に小型のAIM-7 スパローなんぞ、ホント微々たる燃料しか積めないでしょう。なモンでロケット点火しても燃焼してるのはほんの数秒なんですよ。つまりですね、

ミサイルのロケットは直ぐ止まる!

これですわ。

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つまり近距離で発射しない限り、敵機に到達した時点でミサイルのロケットエンジンは燃料切れで既に停止してるんですなぁ。これって当たり前に思い付くとこなんですが、意外に盲点。推進力を失った後は、揚力や本体さえ空気抵抗となり速度低下して行きますわな。しかも重力に引かれ高度は落ちて行くワケです。ミサイルは操縦翼の揚力で姿勢制御するため速度低下すると機動も下がります。逆に、まだロケットが燃焼している状態だと、急旋回にも対応できるだけの速度があり、またミサイルの機動によって失われた速度も回復することができるので、命中率も高くなるワケです。

以上のことからミサイルが十分な機動を確保している時間は燃料の搭載量の問題から、かなり短いと言えます。更に最大射程で目標を攻撃しようモンなら、

当たれば儲けモノ

程度になっちまうワケです。ミサイルには性能保証に「絶対必中圏」なる距離があるそーで、そこまで接近してから発射してね!と推奨してるんですな。

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で、肝心のフェニックスですが、何故に長距離攻撃出来るかと言うと、こーゆー機動するんですねぇ。

ロケットエンジンに点火 → 発射後、直ぐ高度を取るよーに機首上げ → 数秒の燃焼で出来るだけ高高度へ → ロケットエンジン停止 → 滑空 →目標に斜め上から突撃 → 設定距離で信管作動 → 爆発

ミサイルってば水平に飛翔するイメージがありますけど、フェニックスは「高いところから降って来る」と表現したほーが正しいんですわ。つまり滑空して来るワケです。ちゅうことは、1回目の最接近時をかわせれば、リカバリーするのは殆ど無理ってコトなんです。つまり・・・・

フェニックスの長距離攻撃は殆ど当たらない

となるのかも?
PS2エースコンバット・シリーズで、あれだけ長距離攻撃に威力を発揮していたフェニックス、ぢつはダメ槍?!なのかも知れません。
注:無論、近距離では有効と信じたい。

因みに良く聞くエグゾセやトマホークなどの対艦巡航ミサイルは、エンジンがジェットエンジンですからエンジン稼動させながら飛びます。なので航続距離も伸びますが、速度が遅いちゅう欠点があります。 ←なのでロケット・ミサイルで撃墜出来るんです。


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余談ですが、トムキャットは
自分で撃ったミサイルに撃墜されちゃったバカ
が居ます。(実話)ミサイルはAIM-54 フェニックスではなく、AIM-7 スパロー

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↑パイロン吊下の下のやつ。上はサイドワインダー


AIM-7は、遠距離の場合、フェニックスと同じようなミサイル機動を行います。つまり発射直後にポップアップを行い空気の薄い高空を滑空しながら飛行する事によって射程距離を伸ばすんですねぇ。

とある日、トムキャットがAIM-7 スパローの試射を行っていました。標的が遠距離だったんでしょうなぁ。トムから切り離されたAIM-7はロケットを点火し、設定通りポップアップし高度を稼ぐ行動を起こしました・・・・。そーです。発射直後にポップアップしたモンですから、頭上に居るトムのドテっ腹に

当たってしまった ←Bingo!と言ったかは不明

んです。 
その程度予測出来なかったんでしょうか。なんておバカ。

sparowe


この事故の後、各戦闘機のパイロンに吊下されているミサイル類は、切り離し用火薬量を増やし、下方に打ち出してから点火するよーになり、再発防止としましたとさ。

ちゃんちゃん。







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