前回は、

音楽を聞いても全く快感を感じない

「音楽無快感症」という症状があって

それに関する論文が発表された、

ということで、イントロ的な

(というか、ほとんど脱線した)

話を書きました



拙ブログ『音楽で心が全く動かない人がいるなんて!(1)』






前回の冒頭で、

論文のタイトルに「無快感症」とあり

快感を引き起こす脳のシステムの

報酬系について触れました



飲み食い、金銭的な報酬、音楽など

快感を引き起こす要素を

まとめて報酬と呼んでいて、

報酬系はどの要素でも共通に働くと

考えられてきました



しかし、

最近の研究では共通点もあるけれど、

個々の要素によって

脳の活動部位も少し違うのではないか

と認識され始めています



今回ご紹介する論文は

後者のスタンスです




さて、

論文の中を見てみましょうか



Mas-Herrero M, et al. (2014)
"Dissociation between Musical and Monetary Reward Responses in Specific Musical Anhedonia"
Current Biology 24(6) 699-704.





実験の参加者を抽出するため

1029名の大学生に

BMRQというテストを受けてもらいます



BMRQ(Barcelona Musical Reward Questionnaire)は、

今回ご紹介する論文の著者らが考案した、

音楽に対する快感度を評価するテストです



BMRQの結果に従って、


音楽に快感を覚えるグループ

10名、平均23.0歳


音楽への快感は平均的なグループ

10名、平均20.6歳


音楽に全く快感を覚えないグループ

10名、平均24.7歳


の計30名に参加してもらいます



各グループの被験者に

いろいろなタイプの報酬として

食べ物、性、音楽、お金、運動、薬物

に対する快感の程度を聞いたところ、

音楽に全く快感を覚えないグループは

音楽だけ、低いスコアだったのです



快感を覚える基本的な報酬系は

機能しているのに、

音楽に対してだけ快感が得られない

音楽無快感症であることがわかりました




続いての実験では、

音楽を聴く課題に取り組んでもらいます



被験者に聴いてもらったのは

以下の12曲


バルセロナ by 、フレディ・マーキュリーとモンセラート・カバリエ

誰も寝てはならぬ by プッチーニ

カルミナ・ブラーナ by オルフ

パッヘルベルのカノン

鳥の歌 by カザルス

エリーゼのために by ベートーベン

ついに自由に by ジンマー&ジェラード

白鳥の湖 by チャイコフスキー

River Flows in You by イルマ

シンドラーのリスト by ウィリアムズ

四季より「春1、アレグロ」 by ヴィヴァルディ

四季より「夏3、プレスト」 by ヴィヴァルディ



クラシックが多いようですが

フレディ・マーキュリーもあり

映画音楽もありで

いろいろなジャンルを網羅しています



聴いている音楽の感情的な側面について

幸せな曲か、悲しい曲か、

怖い曲か、穏やかな曲かの

区別がつくかどうか調べたところ、

音楽に全く快感を覚えないグループ

も含めてどのグループの被験者も

ちゃんと区別できていたのです




そして、

流れている音楽について

心地よさを10段階で

不気味さを5段階で評価してもらうと、


音楽に快感を覚えるグループは

心地よさも不気味さも

強く感じていましたが、


音楽に全く快感を覚えないグループは

その両方とも感じ方が弱いという

結果が得られました




ここまでは、

音楽等に対して被験者本人がもつ

主観に基づくデータでしたが、

脳や身体は

どのように反応していたのでしょうか?




この続きは、次回に。





(つづく)





文:生塩研一





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