前回は、

脳科学で扱う「情動」という用語

について書いてみました



情動とは、感情の一部で

一時的な反応のことを指すのでしたね



拙ブログ『情動って、感情とはどう違うの?』





さて、



情動を研究するのに

身体反応とリンクさせるという

アプローチがあって

私も注目しています




先頃、

このアプローチでの情動の研究論文が

発表されましたので

簡単にご紹介します



Nummenmaa L, et al. (2013)
"Bodily maps of emotions"
Proc Natl Acad Sci USA
doi: 10.1073/pnas.1321664111






タイトルは「情動のボディーマップ」


フィンランドの研究者による論文です



実験では、被験者に

怒り、恐怖、嫌悪、幸せ、悲しみ、驚き

不安、愛、抑うつ、軽蔑、誇り、恥、嫉妬

を感じさせる言葉や動画を見て

自分の身体のどこがどう反応したか

を答えることで、

情動と身体の反応を関連づける

といったものです




情動を引き起こさせる刺激は

4つの実験のそれぞれで

違った形で与えられています



実験1は、以下の単語そのものを提示

怒り、恐怖、嫌悪、幸せ、悲しみ、驚き

不安、愛、抑うつ、軽蔑、誇り、恥、嫉妬



これをフィンランド語、

スウェーデン語、台湾語の

それぞれの話者を対象としています




実験2は、上記の単語を想起させる

短い物語を読んでもらいます



実験3では、動画を見てもらい、


実験4では、上記の単語を想起させる

顔の表情を見てもらいます




被験者がどうやって身体反応を

答えるかといいますと、

コンピュータ画面に提示された

全身を表すシルエットの片方に

強くなった、もしくは速くなった部分を、

もう一方のシルエットには

弱くなった、もしくは遅くなった部分を

マウスでペイントします



そして、両者を統合して

強くなった方をプラスとして

その度合いを

黒から赤、そして黄で表し、


弱くなった方をマイナスとして

黒から青で表すことで

視覚的に表します




情動の種類によって

全身の反応がどうだったかを

ボディーマップとして表現した

というわけです



こんな感じです



感情のボディーマップ




同じ情動では、文化的な違いを超えて

共通のパターンが表れたそうです



例えば、


「幸福」では、全身が黄から赤に

「抑うつ」では、全身が真っ青



「怒り」と「誇り」では、

ともに胸から上が黄から赤ですが

「怒り」の方は、手が黄になっています


拳をにぎる感じでしょうか




論文によると、

情動が体性感覚野に表現され

それが気持ちの変化に影響を与える

とのこと



今回の実験では、身体反応を

被験者自身の主観に頼っているので

今後、客観的に評価することで

情動との関連がより鮮明になるでしょう



情動や感情は身体あってのもの

と私も考えます



「悲しいから泣くのではなく

 泣くから悲しいのだ」



なのかも。。




(おしまい)






文:生塩研一





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