今年も今日で終わり。
一年のヲタ活リストアップします。
現場に行ったのが119本、どれもとても楽しかった。
今年は特に、酒井法子さんや水野あおいさんなど、数十年ぶりに間近で会えたアイドルさんがいて、とても感激したことが記憶に残っています。
いずれにせよ、アイドルたちに加え、日頃親しくさせていただいている方、ツイートや書き込みを見てくれている方のおかげで、充実した一年になったと思います。
あらためて、感謝申し上げます。

01 1/3  初すきいろ"鷹" (透色ドロップ) 渋谷O-Crest
   1/4  アップアップガールズ(2) ライブ Zepp Haneda (配信視聴)
02 1/7  甘橙(イートイン、セカイシティ、PANDAMIC、開歌) 下北沢ADRIFT
03 1/7  透色ドロップ振袖特典会 TIME SHARING 渋谷ワールド宇田川ビル 9F
04 1/15 宮前真樹 Birthday Live(松野有里巳(元ribbon)、今井佐知子(元Qlair)、森下純菜、中川雅子(元TPD DASH!!)、田中有紀美(元Melody)) 池袋Studio Mixa 
05 1/18 開歌CD発売イベント タワーレコード池袋店
06 1/20 琴平萌花路上ライブ 川崎駅前
07 1/21 セカイシティライブ 新宿club SCIENCE
08 1/28 マジカル・パンチラインイベント《第一部》 タワーレコード錦糸町パルコ店
09 1/28 マジカル・パンチラインイベント《第二部》 タワーレコード錦糸町パルコ店
10 1/29 アキバアイドル祭り! @昼の部(セカイシティ) 秋葉原ZEST
11 2/4  吉川茉絵バースデーライブ 渋谷7th Floor
12 2/5  透色ドロップ 梅野心春生誕祭 渋谷PLEASURE PLEASURE
13 2/6  映画「ぬけろ、メビウス!!」(坂ノ上茜) 新宿シネマカリテ
14 2/11 THIS is OUR HOME(セカイシティ、そあとあめーむ。、原宿学園 他) 渋谷RING
15 2/18 マジカル・パンチライン7周年記念ライブ 新宿ReNY
16 2/24 アップアップガールズ(2)CD発売イベント タワーレコード池袋店
17 3/4  川島海荷トークイベント 川崎 ラ チッタデッラ 中央噴水広場
18 3/4  SATURDAY iDOL MARCH(セカイシティ) 池袋リヴォイス
19 3/10 舞台「拝啓、ゴミの中の思想郷にて」(古澤志帆、本間理紗) 上野ストアハウス
20 3/11 イートインライブ 池袋ハレスタ
21 3/11 PANDAMICライブ 池袋ハレスタ
22 3/11 セカイシティライブ 池袋ハレスタ
23 3/11 開歌ライブ 池袋ハレスタ
24 3/14 映画「少女は卒業しない」(河合優実、小野莉奈 他) グランドシネマサンシャイン池袋
25 3/18 透色ドロップ単独公演 新宿BLAZE
26 3/19 マジカル・パンチラインイベント《第一部》 カメイドクロック カメクロステージ
27 3/19 マジカル・パンチラインイベント《第二部》 カメイドクロック カメクロステージ
  3/21 甘橙-アマダイダイ-(セカイシティ、PANDAMIC、イートイン、開歌) 恵比寿CreAto (配信視聴)
  3/25 開歌 南雲咲楽卒業公演 横浜みなとみらいブロンテ (配信視聴)
28 3/26 歌舞伎事変(セカイシティ、wqwwq) 歌舞伎町Sparkle
29 3/30 PANDAMIC CDリリースイベント タワーレコード錦糸町パルコ店
30 4/1  PANDAMIC CDリリースイベント タワーレコード池袋店
31 4/1  「宮益坂書店」(ゲスト:セカイシティ)番組観覧 渋谷クロスFM
32 4/6  琴平萌花路上ライブ 川崎駅前
33 4/8  フレスプ アルバム発売ライブ 渋谷LOFT HEAVEN
34 4/9  畑芽育写真集発売イベント SHIBUYA TSUTAYA
35 4/16 コウサツ(セカイシティ、PANDAMIC) 恵比寿CreAto
36 4/23 ラブライブ!シリーズのオールナイトニッポン公開収録(絵森彩) 日比谷公園
37 4/23 佐久間宣行のオールナイトニッポントークショー(あの、ラフ×ラフ) 日比谷公園
38 4/29 ときどき、カメラ部。写真展 in 石川(沖口優奈 他) FUJIFILM WONDER PHOTO SHOP
39 4/29 歌舞伎事変-2公演目-(PANDAMIC、うさぎのみみっく!!) 新宿HEIST
40 4/29 セカイシティワンマンライブ 新宿HEIST
41 5/3  セカイシティライブ 池袋リヴォイス
42 5/5  マジカル・パンチラインイベント タワーレコード錦糸町パルコ店
43 5/6  透色ドロップミュージックアワード2023 渋谷WOMB
  5/7  長野せりな芸能生活25周年イベント!!!《1部》 ロフトプラスワン(配信視聴)
44 5/11 映画「TOKYO MER~走る緊急救命室~」 TOHOシネマズ池袋
45 5/13 琴平萌花ワンマンライブ 池袋 Honey Beat Studio
46 5/14 マジカル・パンチラインイベント《1部》 渋谷MAG’s PARK
47 5/14 マジカル・パンチラインイベント《2部》 渋谷MAG’s PARK
48 5/16 映画「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」(松村沙友理) グランドシネマサンシャイン池袋
49 5/21 マジカル・パンチラインイベント《第一部》 カメイドクロック カメクロステージ
50 5/21 歌舞伎事変-2公演目-(セカイシティ、PANDAMIC) 歌舞伎町Sparkle
51 5/28 透色ドロップ 花咲りんか花咲りんか生誕祭 渋谷GRIT
52 6/4  PANDAMIC 辻村羽来生誕祭 恵比寿CreAto
53 6/10 マジカル・パンチライン定期公演 AKIBAカルチャーズ劇場
54 6/11 IDOL CONTENT EXPO(開歌、PANDAMIC) イオンモール幕張新都心
55 6/17 wqwq ここなこ生誕祭 新宿SAMURAI
56 6/18 透色ドロップライブ 名古屋 BM Theater
57 6/29 ときどき、カメラ部。写真展 in 石川(沖口優奈作品 他) 下北沢バロンデッセアートギャラリー
58 6/19 映画「異端の純愛」(中村有沙) シモキタエキマエシネマK2
59 6/24 notall9周年記念ライブ 神田スクエアホール
60 6/28 ッスッゴイライブ(透色ドロップ) 白金高輪SELENEb2 ※花咲りんかラストライブ
61 6/29 MOSAiC iDOL INFINITY - two two two -(セカイシティ) 下北沢MOSAiC
62 7/7  琴平萌花路上ライブ 川崎駅前
63 7/8  emoemoemoe×ソノウチ-DAY-(PANDAMIC、開歌) 下北沢ADRIFT
64 7/11 SharLie、wqwqイベント ソフマップAKIBA アミューズメント館
65 7/15 SDGs体験MATSURI(wqwq) 飛鳥山公園
66 7/15 マジカル・パンチライン定期公演(アプガ(2)) AKIBAカルチャーズ劇場
67 7/19 Hiroki ライブ Live&Bar Ruto
68 7/22 インテンシティ×ソノウチ(セカイシティ、PANDAMIC) 大塚Hearts+
69 7/22 酒井法子アルバム発売イベント タワーレコード新宿店
70 7/25 映画「神回」(坂ノ上茜) 新宿シネマカリテ
71 7/30 甘橙-アマダイダイ-(開歌、PANDAMIC、セカイシティ、yummy green) 恵比寿CreAto
     ※yummy green初お披露目
72 8/3  お台場冒険王アイドルステージ(アプガ(2)) フジテレビ本社屋
73 8/4  TOKYO IDOL FESTIVAL 2023《一日目》 お台場・青海周辺エリア
  8/5  TOKYO IDOL FESTIVAL 2023《二日目》 配信視聴
74 8/6  TOKYO IDOL FESTIVAL 2023《三日目》 お台場・青海周辺エリア
75 8/7  お台場冒険王ミュージックライブ(wqwq) フジテレビ本社屋
  8/13 水野あおいライブ 渋谷TAKE OFF7(配信視聴)
76 8/26 @JAM EXPO 2023《一日目》 横浜アリーナ
77 8/26 ケンケンライブ 早稲田RiNen
78 8/27 @JAM EXPO 2023《二日目》 横浜アリーナ
79 9/16 みんなのアイドルフェスティバルin UENO(wqwq) 上野恩賜公園野外ステージ
80 9/17 セカイシティpresents『旅行中』 日暮里プロモボックス!
81 9/18 マジカル・パンチラインイベント《2部》 渋谷MAG’s PARK
82 9/21 映画「ミステリと言う勿れ」(原菜乃華) TOHOシネマズ池袋
83 9/23 wqwq新曲&新衣装初披露ライブ 新宿SAMURAI
84 9/30 wqwq × SharLie合同イベント《1部》 イオンレイクタウンmori ヴィレッジヴァンガード+PLUS
85 9/30 wqwq × SharLie合同イベント《2部》 イオンレイクタウンmori ヴィレッジヴァンガード+PLUS
86 10/1 池袋解放区(セカイシティ) 池袋リヴォイス
87 10/6 映画「白鍵と黒鍵の間に」(日高ボブ美) テアトル新宿
88 10/6 琴平萌花路上ライブ 川崎駅前
89 10/8 マジカル・パンチラインイベント《1部》 渋谷MAG’s PARK
90 10/8 PANDAMIC4周年記念ライブ 渋谷DIVE
91 10/20 映画「キリエのうた」(アイナ・ジ・エンド、広瀬すず) 新宿バルト9
92 10/20 和智日菜子路上ライブ 新宿駅前
93 10/21 甘橙-アマダイダイ-(開歌、PANDAMIC、セカイシティ、yummy green) 池袋リヴォイス
94 10/30 ソワレ シャンソンコンサート(ケンケン、迷い道くね子 他) 新宿 Petit MOA
95 11/3 原菜乃華写真集発売イベント 渋谷 HMV&BOOKS
96 11/3 琴平萌花路上ライブ 川崎駅前
97 11/4 セカイシティワンマンライブ 新宿レッドクロス
98 11/5 秋のYOIMACHI DAY2(開歌、PANDAMIC) 大塚地区
99 11/6 SHAKE UP WALLOP(山口恋生、高見奈央) WALLOP 3F STUDIO
100 11/11 みんなのアイドルフェスティバルin UENO(wqwq) 上野恩賜公園野外ステージ
101 11/11 透色ドロップライブ 品川インターシティホール
102 11/12 池袋解放区 -FREE GIG-(セカイシティ) 池袋リヴォイス
103 11/15 アップアップガールズ(2)CD発売イベント タワーレコード池袋店
104 11/18 セカイシティpresents『旅行中』 日暮里プロモボックス!
105 11/18 マジカル・パンチラインイベント《2部》 渋谷MAG’s PARK
106 11/18 透色ドロップCD発売イベント 汐留シオサイト
107 11/19 水野あおいお誕生日コンサート 渋谷TAKE OFF7
108 11/25 一橋祭 IDOL STAGE(開歌) 一橋大学 国立キャンパス
109 11/30 Hirokiワンマンライブ 四谷ライブ&バーRuto
110 12/3  桜田ひより写真集発売記念イベント タワーレコード渋谷店
111 12/6  SharLie × wqwq 合同イベント 汐留シオサイト
112 12/9  つぼみ大革命ワンマンライブ 代々木山野ホール
113 12/10 琴平萌花生誕ライブ 渋谷gee-ge.
114 12/17 フジコーズ CD発売記念ミニライブ お台場フジテレビ本社
115 12/24 PANDAMIC単独公演 渋谷CLUB CRAWL
116 12/24 ユラメキ(セカイシティ、yummy green) 恵比寿CreAto
117 12/24 マジカル・パンチラインイベント《2部》 渋谷MAG’s PARK
118 12/25 wqwq × SharLieクリスマスライブ イオンレイクタウンmori ヴィレッジヴァンガード+PLUS
119 12/30 甘橙-アマダイダイ-(開歌、PANDAMIC、セカイシティ、yummy green)  下北沢ADRIFT

以上。来年もいい年でありますように❗

今年に入って何人か友だちができた。

「友だち」というのもおこがましいけど、約束はせずとも定期的に会うし、それなりに腹も割って話しているので、そう呼んでもいいかなと勝手に思っている。

きっかけは、ある喫茶店に出入りするようになったことだ。
そこで会う人と話をするうち、なんとなく打ち解けていった。
さらにそこのつながりで、人の輪が広まっていった感じだ。

性別も年齢もバラバラだけど、どこか同じような世界を生きてきた部分があって、話しをしていると不思議な共通点が見えてきたりするのが楽しい。

テレビ朝日系のドラマ「日曜の夜ぐらいは…」が終わった。
このドラマも、さまざまな事情を抱えた人たちが出会い、性別や年齢を超えて友情を育んでいく物語だ。

主人公は、岸田サチ。車椅子生活をする母と、団地に暮らす女性だ。
彼女は、母親の代理で、ラジオ番組のバスツアーに参加する。そこで出会ったのが、茨城のちくわぶ工場で働く若葉と、タクシー運転手をする翔子だった。

それぞれの事情や生きづらさを抱えた3人は、意気投合し、楽しいひとときを過ごす。
しかし、彼女たちはすぐに関係を築くことはしなかった。
「ライン交換しよう」、別れ際にそう言われたサチは答える。
「それはやめよう。最初は良くても、だんだん来なくなるの、私ダメだから。楽しかったから、このままで」

サチの言葉を聞いた2人もそれに納得し、その時限りの思い出として終わらせることにする。
彼女たちの、人生に対する諦念のようなものが感じられる。
私もなんとなくその気持はわかる。
その場の勢いで連絡先を交換したものの、結局やりとりがなくなるというようなことは、幾度も経験している。
何より、楽しい時間が終われば、また、気の遠くなるような時間を過ごすことになる“日常”が待っているのだ。
幸せな思い出は、そのままで大切にとっておいたほうがいい。

しかし、その後さまざまな偶然が重なり、3人は再会。そこにバスツアーの世話人だった青年、みね君も加わって、みんなで作るカフェの開店に向けて奔走することになる。

始まりの重苦しい設定から、物語は急展開、多少のつまずきはありながらも、確かな友情を築き上げ、新しい日常へと進む姿が描かれる。

多分、このドラマに出てくる人は、みんな少しだけ不器用なんだと思う。
自分を責めすぎてしまったり、どうしても譲れないものを持っていたり。
人との関係がうまくいかないのは、要領よく自分をごまかすことができないからだ。
でも、そんな不器用さが、どこか自分でも思い当たる部分があったりして、共感できたりもした。

もう一つ、このドラマで好感が持てたのは、変な恋愛要素がなかったことだ。
男性女性は出てくるが、あくまでも人と人との魅力でつながっていた。
もちろん、私は男なので、女性同士の友情がどんなものなのかはわからない。
でも、ここに描かれている友情は、素敵だなと思うし、憧れる。
作り物の世界であっても、それを信じたくなる力があった。

週を追う毎に物語は明るくなっていく。キラキラと世界が輝いていく。
夢物語? いいじゃない。それで。
だって一週間、全力で働いてきたんだよ。
明日からだって、ヘビーな世界で生きていくんだよ。
日曜の夜ぐらいはさ、こんな優しい物語の世界に身を委ねるのがいいよ。

最終話、無事にカフェは開店し、経営も軌道に乗る。
ラストシーン、サチは力強く自転車を漕いでいく。かつて、絶望の淵に立って、憂鬱な思いを抱えたまま走った道で、彼女は思う。「生まれ変わったとしても、私だね」と。

今の人生を肯定し、楽しむサチの姿に、心から「良かった」と思った。
実に清々しい、希望にあふれたラストだった。
本当に3ヶ月、とても気持ちの良いドラマを見せてもらったと思う。

私の方も、あいかわらずお店に通い、馴染みの人たちと他愛もない話しをして笑い合っている。
「友だち」なんて定義すること自体、あまり意味のないことかもしれない。ただ、好きなことを話して笑い合える人がいるというのはとても貴重なことなのだろう。

実際、そういう場があって、相手がいるということが、かなり嬉しく、ありがたいことなんですよ。
まあ、恥ずかしいんで、面と向かっては絶対に言わないですけどね。

 私は人が怖い。
 いい人が怖い。

 今まで生きてきた中での経験則のようなものではあるけれど、人間のいい面と悪い面は、どんな人でもほぼ同じ分量だけあると思っている。ただそれが、「見えている」か「見えていない」かの違いで。

 私のまわりには、欠点の目立つ人が多くいる。
  アイドルにガチ恋してしまう人、ムダ金ばかり使っている人、酒クズetc..
 私も人のことは言えないが、そんな人を見ていると、なぜか安心して付き合える。彼らの見えていないところには、いい部分、キレイな部分が隠れてような気がするから。

 そういう心持ちで接していると、不思議とその人の魅力的な部分が見えたりするものだ。

 姫乃たまが本書の中で述べている、「そこには無いものたち」。
 「目に見えないものに思いを馳せる」という点では、少し似ているかもしれない。

 姫乃たまを初めて知ったのは、古くからのヲタ友が書いていた、mixiの日記だった。
 いつの頃からか地下アイドルにハマった彼は、特典会での相手との会話まで細かく記録していた。それを読む中で出会ったのが、「゚*☆姫乃☆*゚」という名で活動していた姫乃たまだった。

 彼らの会話は、いわゆる「アイドルとファン」のものとしてはちょっと変わっていて、キツめのジョークであったり、少し下品なネタであったりが、そこここに出てきた。その頃、まだあまり地下アイドルの現場に行ったことがなかった私は、「地下とはこういうものなのか」と、少し怖さを覚えたものだ。

 そうして、存在を知った彼女は、やがて文章を書くようになった。
 元々興味を覚えていた相手だったので、twitterをフォローし、Webに連載されていた文章を読んだ。
 経験に基づいた地下アイドルの実態や、独自の視点で感じた日常、どこか自虐的に思いを吐露するようなツイート、それらの言葉に強く惹かれた。

 それから、彼女の出演するライブやイベントに足を運ぶようになる。
 実際に会って話した彼女は、驚くほどにナチュラルで、私も気負いなく話をすることができた。少しも怖くなかった。
 文章で弱い部分をさらけ出していた分、これから知るところは、彼女の美しい部分なのだろうなと思った。
 見えない部分が、少しずつ見え始めたのだ。

 この『永遠なるものたち』も、2017年からWebメディアで発表されたエッセイが元となっており、もちろん私もその連載を読んでいた。
 時折流れてくる彼女の告知ツイートからリンクをたどり、本文を読む。そこに描かれた、彼女の心象風景とも言える世界に触れる感覚。それは私に、不思議な安堵感と、心地よいざわつきを与えた。

 今回、一冊にまとめられたものを通して読んでみると、その安堵感の正体が少しわかった気がした。
 冒頭の文章で彼女は、「自分自身が欠けている」と書いている。それは、私自身も昔から感じていた感覚によく似ている。ココロの中に隙間があって、それを埋めるためにいろんな文章を読んだり、人と会ったりする。そうした中で、私はその隙間が埋められるような気持ちになっていた。姫乃たまが書いていたこの連載からも、その効用が感じられていたのだ。

 彼女が27歳の誕生日に、レズ風俗に行ったエピソードがある。
 この中で彼女は、昔から周囲の女性との関係に苦手意識を抱いていたことを吐露している。私が、人を怖いと思っていた感覚にも似ているかもしれない。
 主に思春期の頃、自分と、周囲の他の人たちとの違いになんとなく気づいてしまう。その“ずれ”は徐々に大きくなって、ある程度年齢を重ねると、まったく違う場所にたどり着いているような恐怖感があった。
 しかし、レズ風俗で「まこちゃん」とともに時間を過ごすうち、彼女の心と体は氷解し、それまでとは違った世界を見るようになる。
 この文章を読んで、彼女の思いを追体験することで、私たちも何か救いを得ることができる。

 セクシャルな交わりが、彼女にどんな変化をもたらしたのか。形は様々でも、誰もが経験するであろうできごとを、丁寧に言葉で綴っていく。それが、この本の本質であり、彼女に才能が与えられた意味なのだと思う。

 もうひとつ、「なくしもの」の話が好きだ。
 ある日彼女は、大切にしていたイヤリングをなくしてしまう。自身の不注意に対する後悔、無くなったものへの思慕。この一編では、「あるもの」と「無いもの」の不思議な概念が語られている。
 今までの人生の中で、私は…いや、別に私に限ったことではないが、みなたくさんのものをなくしているのだろう。しかし、形のあるものや、もしかしたら形になっていないものも含めて、それらは元々あったものではない。“ものをなくす”というのは、持っていなかった頃に戻るだけの話である。
 ただ、一度手にしたものについては、私たちの頭の中に「概念」として、それが出来上がる。無くなってしまえば、その概念の分だけぽっかりと穴が開くというわけだ。そして、時にはその穴は、痛みを伴うことがある。

 彼女は、そんな穴のようなものに、目を向ける。
 今まで無かったもの、見えなかったものに光を当て、名前を付けて命を与える。この連載の執筆によって姫乃たまが行っていたのは、そういう行為だ。
 それはともすれば、ひどく孤独で苦しい作業であったろう。
 しかし、意味を与えられた事象は、文章を通じて、私たち読者の元へと確実に届いている。
 そしてまた、私たちは、そのことの意義を知り、新たな「無いもの」へと目を向けていく。

 この本を読んで伝わってくる、彼女の中にある思い出、解釈、文章の力、そんな才能が、まぎれもなく私たちファンにとっての「永遠なるもの」であるのだ。

 なくしてしまったもの、目に見えないもの。本当は、そんなもののことは考えなくてもいいのかもしれない。
 喪失したものを見つめながら、あれこれと考えず。手に入れたら喜び、なくしたら悲しむ。そんなシンプルな生き方も幸せだと思う。そこをあえて考えるのは意味のないことだとも言える。

 ただ、意味のないことを切り捨てるのは、優しくないと思う。優しければいいのかという意見もあろうが、私は世界が優しい方が居心地がいい。

  何かが欠落した彼女の心には、同じような“欠落感”を持った人たちが集まってくる。多分、私もその一人だ。何度か彼女と「似ている」という表現を用いたが、それは容姿や状況ということではなく、欠落した心の形が似ているのだ。
 そうして、彼女の文章を読むことによって、その心の欠けた部分を重ね合わせると、なんだか少しずつ痛みが和らいでいくような気がする。それは“共感”と言ってもいいだろう。

 この本を読んで、共感を覚える私たちは、皆何かが欠けているのかもしれない。でも、欠けていなければ見えない世界があって、出会うことのできなかった人がいる。辛いことは多いけど、この形でなければ出会えなかった世界がきっとある。
 そんな、何かが欠けている世界は、とても美しく、暖かだ。