ブログネタ:世界遺産、どこか行ったことある? 参加中
もう、十数年前のことになりますが、デンマークのHelsingør という街に行ったことがあります。
スウェーデンのHelsingborgという港町から、フェリーに乗って二十分程、岬の先端に、古城が見えてきました。
城の名は、クローンボー(Kronborg)。
『新版世界各国史 21 北欧史」(山川出版社、1998年)によると、デンマークとスウェーデン間の海峡エーアソン(ウーアソン)は、最も狭いところでわずか4km。
1429年に、デンマーク王エーリク(イーレク)七世は、この海峡を通るデンマーク以外の船舶に「海峡税」を課し、16世紀中葉からは、積荷にも課税するようになった。
この措置により、税収は一挙に三倍近くに増加し、海峡税取り立ての要塞となったクローンボーの建築費も、すべてこの税収で賄われた。
この時の王の名はフレゼリク(フレズレク)二世、クローンボーは1584年の完成だそうです。
船は、このクローンボーの沖合を廻り込むようにして、Helsingørの港に入ります。
下図は、Kort & Katrikelstyrelsenの1:25000の地形図「Helsingør 」。
現地の書店で当時、65デンマーク・クローネでした。
Helsingørのgørの発音は何度聞いてもわからなかったですが、新谷俊裕・大辺理恵・間瀬英夫編「デンマーク語固有名詞カナ表記小辞典」*によると、「ヘルスィングウーア」と表記するのが現地音に近いようです。
さて、港に着いたところで、歩いて、クローンボーに向かいました。
北方ルネサンス様式というらしいのですが、私には詳しいことはわかりません。
とにかく壮麗な大建築だったという印象です。
入場料は、30デンマーク・クローネ。
内部には博物館になっていたのですが、私は北欧史に関する知識が乏しく、また展示解説を理解できるだけの語学力にも欠けていて、残念ながらあまり記憶が残っていません。
では、なぜ行ったのかというと、この城がシェークスピアの名作『ハムレット』の舞台だったから。
例えば、第一幕第一場は「エルシノア城壁上の通路」**、第二場「城内の大広間」**と、物語は展開していきます。
国連教育科学文化機関(UNESCO)の「World Heritage Centre」のサイト「World Heritage List」で「Kronborg Castle」 を見ると、
It is world-renowned as Elsinore, the setting of Shakespeare's Hamlet.
と書かれていました。
クローンボーが世界文化遺産に登録されたのは、2000年11月のことだそうです。
上画像は、城壁にはめこまれていた石板。7行目に「HAMLETS」、8行目に「SHAKESPEARE」、下からに行目に「HELSINGøRS」との文字が見えます。
なお、「Danish Royal Palaces」のウェブページ「Kronborg castle」によれば、
This year marks the 400th anniversary of the death of William Shakespeare.
2016年は、ウィリアム・シェークスピア没後四百年、ということで、今日は、ハムレットゆかりのクローンボーについて、書いてみました。
*『北欧研究 別冊』第二号(大阪大学世界言語研究センター デンマーク語・スウェーデン語研究センター、2009年)
**『シェークスピア全集 ハムレット』小田島雄志訳(白水Uブックス、1983年)