【東南アジアでリアルサカつく!】⑥子供たちに希望のボールを~1チャイルド1ボールプロジェクト~
カンボジアンタイガーFCは、クラブ運営の他にも「1チャイルド1ボールプロジェクト」という活動を行っています。
皆さんご存知のとおり、カンボジアはかつてベトナム戦争や内戦の影響で国内の至る所に未だに地雷が埋まっている。
特に地方では何十年も前の内戦の影響は未だに残っており、特に子供たちは貧しい生活を強いられている。
もちろん、村や学校にサッカーボールはあるところもあるが、子供100人で一つのボールを使うなんてことはざらにある。
地方の草サッカーを見ていても何十人、何百人で試合しているのでほとんどの子供はボールを触る機会いがない。
こんな状況ではサッカー選手はおろか、サッカーが上手な子供が出てくるはずもない。
僕らカンボジアンタイガーFCの目標のひとつに「メッシを越えるようなアジア人選手の輩出」というのがある。
そこで地方でサッカー教室を行いながらボールをプレゼントする「1チャイルド1ボールプロジェクト」をすることで、少しでも多くの子供たちがボールに触れる機会を増やし、それが将来のカンボジアを代表するサッカー選手を輩出するきっかけとなれたらと思い、活動をしている。
開幕戦を直前に控えた6月末、僕たちはプノンペンからバスで2時間半の地方都市コンポンチャムへ向かった。
今回はJICAのメンバーとしてこの地に赴任している友人のツテで、かの地へ行けることになった。
コンポンチャムはプノンペン、バッタンバンに次いで、3番目に人口が多い都市だが、観光資源がないため,ここを訪れる旅行者は少ない。だが、市内にはフランス統治時代の町並みと建物が残っている。
午前中は、市内中心部から車で15分程の農村部にあるグラウンドでサッカー教室を行なうことになっていた。
着いてみると、僕らが想像していたよりもグラウンドは平地になっており、しっかりとしていた。
ここはグラウンドの端に何やら石碑のようなものを発見。どうやら、ここは関西の学生団体が作ったらしい。
JICAの方々が行っている学校の生徒を中心に3~40人ほどの子供たちが集まった。
今回のサッカー教室カンボジアンタイガーFCからは、カンボジア代表選出経験のあるGKマイ選手とペヤヤング選手が参加。(※焼きそばではありません)
選手たちもゲームに参加し、みんなで楽しくボールを蹴りました。
もちろん、女の子も何人か参加。ゲームに入れない女の子達を気遣って翔吾くんが相手をしてくれました。
最後はピンとのPK対決。カンボジアの地方の子供たちはサッカーを本格的にしたことがない。そんな中、マイは子供達に対して1人ずつ丁寧に正しい蹴り方を子供たちに直接指導し、子供たちの心をがっちり摑んだ。
マイの指導はこれだけにとどまらず、子供たちに対して自ら考えて練習方法を教えるなど、カンボジアの選手では珍しくスマートな選手。マイの隠れた才能を見ることができて僕達スタッフも嬉しかった。
最後にみんなで記念撮影し、午前の部は終了。参加してくれた子供たちにボールをプレゼントした。
その後、市内中心部でお昼ごはんを済ませ、午後の部まで時間があったので観光名所を案内してもらえることになった。
街のシンボルはメコン川を渡った中心部の対岸にあるフランス統治時代に建設されたこの塔。地元の人からは通称「ピンクの塔」と呼ばれている。
中を見たが、てっぺんに続く、階段は今にも崩れ落ちそうなくらい錆びていた。
僕らは意を決してこの螺旋階段を登って屋上まで行った。 ※かなり危険なので登らないでください
プノンペンタワー、東横インの屋上、プノンバケンと僕はこれまで比較的高い位置からカンボジアの地を見たことがある。だが、この日見た景色は、これまでカンボジア国内で見たどの景色よりも美しく、壮大だった。普段は汚いとしか思わずにいられなかったメコン川でさえ、愛おしく思えてくる。勇気を振り絞り、登ったかいがあった。
カンボジアの大地を東西に分断するように流れているメコン川。この川はかつてこの地域に暮らす生き物にとって母のような存在だった。だが、文明が発達していくにつれて、交通,物資輸送などの面で大きな障害となっていた。そして2001年、日本の無償資金協力により、長さ1360mの橋が完成した。
カンボジアで初めてメコン川に架けられたこの橋の名前は「きずな橋」と名付けられ、カンボジアの500リエル紙幣にも使用されている。
場所を移動し、午後は新しくできたフットサルコートでサッカー教室を開催することになった。男女合わせて4~50人程が参加。
今回はコンポンチャム市内の聴覚障害者の女子チームと、大学生の男子チームの皆さんも参加し、手話を交えて説明を受けていました。
聴覚障害者のサッカーといえば、6月上旬にタイガーFC主催で行われた「チバフットボール映画祭」で上映された「アイ・コンタクト~もう一つのなでしこ~」を思い出した。これは初めて世界大会に挑んだ、耳の聞こえないろう者の女子日本代表チームの物語。
今回、コンポンチャムで出会った彼女たちの姿を見ていたら、この映画の中に出てきた女子日本代表の選手達のことを思い出した。
プロ選手からの指導とあって、彼女たちは興奮気味。皆、笑顔が素敵で心の底からサッカーを楽しんでいるようだった。特に女子チーム同士の対戦では、白熱した試合を見せてくれて、見ている僕達も気がついたら彼女たちのプレーの虜になっていた。
また、ここで嬉しい出来事がもうひとつあった。
子供たちが準備運動している中心部にいたのはペヤヤング選手。
先ほどの午前中の部では、GKマイの見事な指導っぷりだけが目立ち、彼は完全に影に隠れてしまっていた。
それもそのはず、ゲーム中もずっとサイドに張っているだけでほぼほぼ動こうとしなかった。
カンボジアの選手は、子供の頃にしっかりとした指導を教えられていない。なので、どう接すればいいのかわからない。ペヤヤングも若いこともあり、かなり戸惑っていた。(※マイのような選手は本当に稀である)
そんなペヤヤングだが、午後の部では、マイがGK専門の指導をすることになり、自分1人で40人の子供たちの指導しなくてはいけない状況になった。
最初は僕らも不安そうにみていたが、なんと、ペヤヤング自ら声を出して(彼にかぎらずカンボジア人男性は声が小さい)、子供たちを指導しているではないか!それはストレッチ中にだけにとどまらず、トレーニングや試合中もしっかりと声を出して楽しく指導していた。
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僕はそんなペヤヤングの隠れた一面を発見することができて嬉しかった。
今回、午前のぶと午後の分で100人近くが集まってサッカー教室を行なうことができた。
この出会いを大切にしたい。
参加したタイガーFCのマイ、ペヤヤングの選手2人にとっても非常にいい機会になったと思う。
カンボジアの子供たちは本当に元気いっぱいだった。
彼らの置かれている状況は、決して満足できるものではない。
現在のカンボジアの社会には、お金を払えば、いい学校に入れて、犯罪ですらごまかせるような世界がまだ存在する。
なのでちゃんとした教育を受けないまま、努力をすることを知らないまま、大人になる人が多い。
僕たちはプロフサッカークラブであり、サッカーを通してしか貢献することはできない。
だが、この日プレゼントしたボールを使った子供たちの中でいつかはメッシのようなサッカー選手が誕生し、その選手を夢見て、今度は未来の子供たちが努力をするということを身につけてほしい。
最後に今回、この企画を実行するにあたり、コンポンチャムのJICAの隊員の皆さん、本当にありがとうございました。
サッカーを通して子供たちに元気を与えるために行きましたが、僕らの方こそ彼らに元気をもらい、本当に幸せな気持ちのまま、帰路につくことができました。
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そして、「1チャイルド1ボールプロジェクト」にて、ご支援してくださった世界中の皆様、本当にありがとうございます。
これからもカンボジアの子供たちを笑顔にすべく、全力で取り組んでいきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。
皆さんご存知のとおり、カンボジアはかつてベトナム戦争や内戦の影響で国内の至る所に未だに地雷が埋まっている。
特に地方では何十年も前の内戦の影響は未だに残っており、特に子供たちは貧しい生活を強いられている。
もちろん、村や学校にサッカーボールはあるところもあるが、子供100人で一つのボールを使うなんてことはざらにある。
地方の草サッカーを見ていても何十人、何百人で試合しているのでほとんどの子供はボールを触る機会いがない。
こんな状況ではサッカー選手はおろか、サッカーが上手な子供が出てくるはずもない。
僕らカンボジアンタイガーFCの目標のひとつに「メッシを越えるようなアジア人選手の輩出」というのがある。
そこで地方でサッカー教室を行いながらボールをプレゼントする「1チャイルド1ボールプロジェクト」をすることで、少しでも多くの子供たちがボールに触れる機会を増やし、それが将来のカンボジアを代表するサッカー選手を輩出するきっかけとなれたらと思い、活動をしている。
開幕戦を直前に控えた6月末、僕たちはプノンペンからバスで2時間半の地方都市コンポンチャムへ向かった。
今回はJICAのメンバーとしてこの地に赴任している友人のツテで、かの地へ行けることになった。
コンポンチャムはプノンペン、バッタンバンに次いで、3番目に人口が多い都市だが、観光資源がないため,ここを訪れる旅行者は少ない。だが、市内にはフランス統治時代の町並みと建物が残っている。
午前中は、市内中心部から車で15分程の農村部にあるグラウンドでサッカー教室を行なうことになっていた。
着いてみると、僕らが想像していたよりもグラウンドは平地になっており、しっかりとしていた。
ここはグラウンドの端に何やら石碑のようなものを発見。どうやら、ここは関西の学生団体が作ったらしい。
JICAの方々が行っている学校の生徒を中心に3~40人ほどの子供たちが集まった。
今回のサッカー教室カンボジアンタイガーFCからは、カンボジア代表選出経験のあるGKマイ選手とペヤヤング選手が参加。(※焼きそばではありません)
選手たちもゲームに参加し、みんなで楽しくボールを蹴りました。
もちろん、女の子も何人か参加。ゲームに入れない女の子達を気遣って翔吾くんが相手をしてくれました。
最後はピンとのPK対決。カンボジアの地方の子供たちはサッカーを本格的にしたことがない。そんな中、マイは子供達に対して1人ずつ丁寧に正しい蹴り方を子供たちに直接指導し、子供たちの心をがっちり摑んだ。
マイの指導はこれだけにとどまらず、子供たちに対して自ら考えて練習方法を教えるなど、カンボジアの選手では珍しくスマートな選手。マイの隠れた才能を見ることができて僕達スタッフも嬉しかった。
最後にみんなで記念撮影し、午前の部は終了。参加してくれた子供たちにボールをプレゼントした。
その後、市内中心部でお昼ごはんを済ませ、午後の部まで時間があったので観光名所を案内してもらえることになった。
街のシンボルはメコン川を渡った中心部の対岸にあるフランス統治時代に建設されたこの塔。地元の人からは通称「ピンクの塔」と呼ばれている。
中を見たが、てっぺんに続く、階段は今にも崩れ落ちそうなくらい錆びていた。
僕らは意を決してこの螺旋階段を登って屋上まで行った。 ※かなり危険なので登らないでください
プノンペンタワー、東横インの屋上、プノンバケンと僕はこれまで比較的高い位置からカンボジアの地を見たことがある。だが、この日見た景色は、これまでカンボジア国内で見たどの景色よりも美しく、壮大だった。普段は汚いとしか思わずにいられなかったメコン川でさえ、愛おしく思えてくる。勇気を振り絞り、登ったかいがあった。
カンボジアの大地を東西に分断するように流れているメコン川。この川はかつてこの地域に暮らす生き物にとって母のような存在だった。だが、文明が発達していくにつれて、交通,物資輸送などの面で大きな障害となっていた。そして2001年、日本の無償資金協力により、長さ1360mの橋が完成した。
カンボジアで初めてメコン川に架けられたこの橋の名前は「きずな橋」と名付けられ、カンボジアの500リエル紙幣にも使用されている。
場所を移動し、午後は新しくできたフットサルコートでサッカー教室を開催することになった。男女合わせて4~50人程が参加。
今回はコンポンチャム市内の聴覚障害者の女子チームと、大学生の男子チームの皆さんも参加し、手話を交えて説明を受けていました。
聴覚障害者のサッカーといえば、6月上旬にタイガーFC主催で行われた「チバフットボール映画祭」で上映された「アイ・コンタクト~もう一つのなでしこ~」を思い出した。これは初めて世界大会に挑んだ、耳の聞こえないろう者の女子日本代表チームの物語。
今回、コンポンチャムで出会った彼女たちの姿を見ていたら、この映画の中に出てきた女子日本代表の選手達のことを思い出した。
プロ選手からの指導とあって、彼女たちは興奮気味。皆、笑顔が素敵で心の底からサッカーを楽しんでいるようだった。特に女子チーム同士の対戦では、白熱した試合を見せてくれて、見ている僕達も気がついたら彼女たちのプレーの虜になっていた。
また、ここで嬉しい出来事がもうひとつあった。
子供たちが準備運動している中心部にいたのはペヤヤング選手。
先ほどの午前中の部では、GKマイの見事な指導っぷりだけが目立ち、彼は完全に影に隠れてしまっていた。
それもそのはず、ゲーム中もずっとサイドに張っているだけでほぼほぼ動こうとしなかった。
カンボジアの選手は、子供の頃にしっかりとした指導を教えられていない。なので、どう接すればいいのかわからない。ペヤヤングも若いこともあり、かなり戸惑っていた。(※マイのような選手は本当に稀である)
そんなペヤヤングだが、午後の部では、マイがGK専門の指導をすることになり、自分1人で40人の子供たちの指導しなくてはいけない状況になった。
最初は僕らも不安そうにみていたが、なんと、ペヤヤング自ら声を出して(彼にかぎらずカンボジア人男性は声が小さい)、子供たちを指導しているではないか!それはストレッチ中にだけにとどまらず、トレーニングや試合中もしっかりと声を出して楽しく指導していた。
image
僕はそんなペヤヤングの隠れた一面を発見することができて嬉しかった。
今回、午前のぶと午後の分で100人近くが集まってサッカー教室を行なうことができた。
この出会いを大切にしたい。
参加したタイガーFCのマイ、ペヤヤングの選手2人にとっても非常にいい機会になったと思う。
カンボジアの子供たちは本当に元気いっぱいだった。
彼らの置かれている状況は、決して満足できるものではない。
現在のカンボジアの社会には、お金を払えば、いい学校に入れて、犯罪ですらごまかせるような世界がまだ存在する。
なのでちゃんとした教育を受けないまま、努力をすることを知らないまま、大人になる人が多い。
僕たちはプロフサッカークラブであり、サッカーを通してしか貢献することはできない。
だが、この日プレゼントしたボールを使った子供たちの中でいつかはメッシのようなサッカー選手が誕生し、その選手を夢見て、今度は未来の子供たちが努力をするということを身につけてほしい。
最後に今回、この企画を実行するにあたり、コンポンチャムのJICAの隊員の皆さん、本当にありがとうございました。
サッカーを通して子供たちに元気を与えるために行きましたが、僕らの方こそ彼らに元気をもらい、本当に幸せな気持ちのまま、帰路につくことができました。
image
そして、「1チャイルド1ボールプロジェクト」にて、ご支援してくださった世界中の皆様、本当にありがとうございます。
これからもカンボジアの子供たちを笑顔にすべく、全力で取り組んでいきたいと思います。
今後とも宜しくお願い致します。