数奇にして模型 NUMERICAL MODELS S&M/講談社

¥価格不明
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私事ですが、
生活必需品ではない。壊れて買い換えるのでもない。
でもほしい。贅沢品だけど、ほしい。
そういうものを見つけたときは、衝動買いをしないように「半年経ってもまだほしかったら買う」というルールを設けています。
昨日、そのルールに従って半年待っていたものが解禁になりまして、早速ブックマークしておいた通販サイトに行ってみたんですね。

燦然と輝く『SOLD OUT<<この商品は廃番です>>』の文字

のどの奥から変な声が出ました。管理人です。

 さて、本日の本は森博嗣『数奇にして模型』です。
今日丁度ドラマで解決編をやっていたみたいです。予告編を見たのですが、武井咲さんのコスチューム姿とてもかわいかったですねぇ。なんていうんだろう、あのコスプレ慣れしてないオボコイ感じが良いじゃないの。

 M工業大学で上倉裕子という大学院生が扼殺されているのが見つかった。彼女は社会人大学生の寺林という男と待ち合わせをしていたと見られ、彼に真っ先に容疑がかかった。しかし、彼は少し離れた場所にある模型交換会の会場で頭部を殴られて気絶しているところを発見された。なんと、女性の首なし死体と一緒に!!!!

 以下ネタバレ

 不謹慎ですが、首なし死体ってミステリー好きは燃えますよね。
もちろん密室のハウダニットを考えるのも面白いんですけど、私は「なぜ首を持ち去る必要があったのか」という問いが大好きです。作者さんがどんな意外な理由をもって来るのかに興味があるから。身元発見を遅らせるため?死体をすりかえるため?頭部に特徴的な凶器の証拠が残っちゃった?ノンノンノンそんなのナンセンス!!!森さんが用意した理由は

「型がとりたかったから!!!!!」

 ぶっとんでるーーーー!!この犯人いっちゃってるいっちゃってるー!!!!

 私は500円のガンダムプラモデルすら満足に作れなかった模型とは無縁の人間なので、形と型、型をとることによって過去の仕事ぶりを体感するとか言われてもまったくわかりません!!!

 しかしながら、だんだん型そのものよりも、型を取ること自体に興味を持ち始めて、そのうち生と死の境界を越えてしまう瞬間を見るのが好きになって……という感情はちょっと分かる気がします。物語中に執拗に、一人とそれ以外の境界への考察や、単純化することで安心したい思考の話が出てきますが、このお話って境界が曖昧な人がなんか多くないですか……?めっちゃインパクトがある大御坊さんはいわゆるオネエ系で男女の区別があいまい、殺された筒見紀世都は女性のように美しい外見を持った青年……これは意図したキャスティングなんでしょうか。たまたま目に付いちゃっただけ?

 あとは犯人の主張が、美青年の首の型取りたい!!→たまたまあった美少女の死体で練習しよ!!→あっ、でもなんか人殺すほうが楽しいかも!!→萌絵も殺したい!!ってどんどんぶれていくので、あまり魅力的な人物ではないなぁと思いました。このぶれ加減が彼を形容しているのだという記述もあったんですが、ぶれることと模型の本質とが何かリンクしているの……?教えて模型好きの人!!

 ラストで犀川先生が「萌絵の代わりに俺の等身大フィギュアを作れ!!!(台詞はイメージです)」っていうところが最も鼻息が荒くなったポイントなんですけど、どうでしょうか。私が犯人なら間違いなく先生の模り始めちゃいますけど。

 気持ち悪い感想になりましたが、お話を重ねるごとにキャラクターに魅力が増してきて、シリーズものの醍醐味を味わっている気がします。次でドラマは最後だそうですね、残念。