これはフィクションであり登場人物と実在の人物は
全く関係はありません。
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ここは神田のフォーク酒場。
みきちゃんがくらちゃんに言う。
「ねえ、どうちゃんのお店行った?」
「いや、まだ行ってない。溝の口でしょ?帰るの遠いし」
「そうだよね~なんであんな場所に店作ったのかしらねえ」
くらちゃんは、スマホをいじりながら
いつものように柿の種を鼻につめた。
みきちゃんは続ける。
「そういえば、総理、どうちゃんの店に行ったあとで
ここにくるとか言ってたけど。。。ちょっと遅いねえ」
お店の時計は21時半を回っている。
「オレ行ったことないんだけど、どうちゃんの店、やばいみたいよ。
勝手に<ぴのきお>という名前の店にしたもんだから
ウォルトディズニー社から訴えを起こされているみたいでさ」
「まずいよね~勝手に名前使っちゃぁ」
「オレ、明日休みだから、遠回りになるけど、今日どうちゃんの店に
行ってこようかな」
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一方ここは溝の口駅前のオレ。
今日はもう無理だな。。これ以上チラシ配ってもお客さん来てくれそうもないし。
そろそろ店に戻ろうか。今日は早めに店を閉めるかぁ。。。。。
お店に向かって歩き始めた時、スマホが鳴る。
あっ、くらちゃんからだ。
「もしもし、くらちゃん?久しぶり」
「これからお店行っていい?席空いてる?」
「大丈夫!大丈夫!さっきまで満席だったけど、団体客が今、帰ったから
大丈夫だよ~」
何言ってんだか・・・・はぁ・・・ため息をついてスマホをポッケにしまう。
今夜はバカ警官とくらちゃんの二人だけかぁ。。。
やばいなぁ・・・・このままだとホントお店が続かなくなる。
対策を考えなきゃ。。。
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くらちゃんはスマホを切った。みきちゃんに言う。
「なんかさ、さっきまで満席だったみたいよ。今、席があいたんだって」
「ふ~ん。。なんかウソっぽい」
「じゃあ、おれ、おあいそ!」
「くらちゃん、鼻の中の柿の種!」
「えっ?これじゃ足りない?どうちゃんの店でウケをねらおうかと思って」
くらちゃんはそれぞれの鼻の中に柿の種を詰め込み、
両耳にはぽっぷこーんを1個ずつ詰めて笑って、お店をあとにした。
ママが言う。
「ねえ、みきちゃん、くらちゃんあのまま電車に乗るのかしら」
「そんなわけないですよ。この店出たらすぐ捨てますよ。バカじゃないんだから」


10分後の山手線の中、くらちゃんのまわりでざわめきが。

・・・みんな・・・ちかづくと・・・なんかやべえぞ・・・通報した方がいいんじゃないか。
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「みゆきちゃん、逮捕されるくらいだったら私、ここで死ぬわ。
この銃で私を撃って。さぁ・・・」
まっちゃんは拾い上げた拳銃を、みゆきの手に渡した。
まっちゃんは、ぼろぼろ泣き始め化粧もすべてその涙に流れ。。。
みゆきはその顔を見つめ
「だれ?」
総理の息が弱くなってきた。
「さあ、私を撃ちなさい。。あっ、顔は撃たないで一応女だから
きれいに死にたいの。心臓を撃ち抜いてちょうだい。」
「まっちゃん、何言ってんのよ!そんな事できるわけないじゃない」
「私は総理を殺したのよ!人殺しよ。。もう私は終わりよ」
「まだ総理は死んでないの!」
「もうこれから病院へ運んでも持たないわよ。死ぬのよ。きっと」

まっちゃんのその並々ならぬ決意にみゆきは意を決した。
「わかったわ。まっちゃん。撃つ前にその防弾ブラをはずしなさい」
「何?何?それ?防弾ブラって?」
「とぼけないの?この前の新年会で胸さわったときに、分厚いブラしてたわよね?
それって防弾でしょ?服の上からさわらせてもらったけどものすごい金属感を
感じたわよ」
「えっ?みゆきちゃん何言ってるの?ふつうのブラよ。ワコール!ワコール!
大丈夫。弾は貫通するから」
みゆきは目を閉じてゆっくりと、銃口をまっちゃんの胸に当てた。
「まっちゃん、ほんとにいいの?後悔しない?」
「大丈夫よ。。。これが私流の償いなの。。。さよなら、みゆきちゃん」
まっちゃんは、静かに目を閉じた。
凍てつく空気が店内に張りつめた。静寂に包まれた。
そしてみゆきは、ゆっくり引き金を引いた。

ばきゅーん!
カキン
うげぇ!

放たれた銃弾は、まっちゃんの胸で跳ね返り
総理の右足へ!

さっきまで虫の息だった総理が、息を吹き返し
その激痛で右に左にころがりまわる。

「ま、まっちゃん!あなた!もしかして!はかったわね~」
「何言ってるの?みゆきちゃん」
「やっぱり防弾ブラしてたんだ?」
「それより見なさいよ。。みゆきちゃんあなたは間接的だけど
総理を撃ったのよ。。。総理死ぬわよ。。。どうするの?」
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恵比寿駅の事務所内。
くらちゃんは駅員の足にしがみつきながら、号泣
「どうか、どうか、会社には連絡しないでください」

つづく。。。