DTMにおいては既にソフト音源全盛の時代ですが、
Rolandのハード音源の総決算としてリリースされたIntegra-7を買いました。

Roland  Integra-7


既にたくさんの方が使い方やレビューなどを書かれていますが、
ちょっと使ってみて思ったことを書いてみたいと思います。


1.膨大な量の音色パッチ。

Integra-7はXV-5080、JUPITER-80、
そしてエキスパンションボードのSRXシリーズすべてを
搭載したモンスター音源で約6000種類の音色が搭載されています。

Roland  XV-5080

XV-5080は2000年頃に発売されたほとんど業務用と言って良いような
総合音源で、現在でもお仕事で使ってらっしゃる方が多いはず。


音の特徴としては高品質なリアルさを追求しているものの、
どこか柔らかいアニソンやアニメ・ゲームのBGMで聞えてくるような
音がたくさん収録されています。


これは完全に主観ですが、
純粋なリアルさなら昨今のソフト音源のほうが生楽器に肉薄するものが
たくさんありますが、ただひたすらリアルなだけだと
アニソンやアニメ・ゲームのBGMに合うような音にならないため、
XV音源やJV音源を使われる方も多いのではないかと思います。


リアル過ぎて可愛い感じにならず、
逆に曲調や雰囲気に合わないというケースが度々あるため、
XV音源やJV音源の柔らかさというか、丸みのある音源の音が
好ましい場合が実際には多々あります。


また音色目当てで狙っている方にとっておいしいのが
通常のXV-5080の音色に加えて、
追加でカードを差し込んで音色パッチを増やせるSRXシリーズで、
全12枚すべてがIntegra-7に搭載されています。
(同時にロードできるのは4枚まで)

SRXのデモサイト
http://www.roland.co.jp/synth/SRX_demo/index.html


拡張ボードのSRXシリーズ

この拡張ボードは私も非常にお世話になっており、
良い音がいっぱい入っています。


特にピアノやストリングスの音が気に入っていて、
良く使っています。


使うときはIntegra-7のバーチャルスロットにロードする。

エディター上のBANKから選べる。

わざわざロードするという形ではなく、
12枚全てを最初から使えるようにしてくれれば良かったのだが、
それはメモリーの関係で出来なかったらしいです。


しかし、XV-5080も一台に挿せるカード数は4枚なので、
そんなに不都合は感じていません。

4枚あれば実際の作曲ではほとんど困ることはないはず。


加えて個人的に目当てだったのが、
JUPITER-80のSuperNATURALサウンドで
これはシンセサウンドや生楽器などのリアルタイムで変化する振る舞いを
コントロールできるようにしたパッチです。


こちらのサイトが参考になります。

Roland公式
http://www.roland.co.jp/synth/integra/


島村楽器さんのブログ
http://shimamuramusic.hatenablog.com/entry/20121005/1349401423


要するにMIDI CCで各楽器のおいしいポイントを
リアルタイムで変化させることで
よりリアルに聴かせることが出来るという機能ですが、
個人的にはこの音源としての表現力が欲しくて買ったようなものでした。

SN-A、SN-S、SN-Dから選択。

おそらくSN-AはSuperNATURALのアナログの略、
SN-Sは
SuperNATURALのシンセの略、
SN-DはSuperNATURALドラムの略だと思いますが、
(実際にはパッチはその通り)
これらはMIDI CCを動かすことでかなり強力なツールとなり得ます。


前述の島村楽器さんのブログのような
使い方をすると非常に効果的です。
(これをやらないならXVとそんなに変わらないです。)


音も高品質で膨大、そしてSuperNATURALサウンドという
表現力の高い機能が付いているのが特徴です。


2.基本はDAWのエディタ上からコントロール。
*ABIRITYではエディタの保存、読み込みが正常に行われません。
 購入検討の方はお気をつけ下さい。


・integra-7エディタv1.20にてエディタで制作したデータを
一旦保存してから、また読み込むと保存前に使用していたMIDIトラックから
出したMIDI信号をintegra-7本体が全トラックで受信するようになってしまい、
保存前に未使用だったMIDIトラックはエディタから音そのものが出なくなります。


・通常の音色もABIRITYで入力したドラムインスト命令が無効になります。
*MSB、LSBを説明書通り入力しても駄目でした。


現状ABIRITYとintegra7の組み合わせは全く使えないわけではありませんが、
半分くらいの性能しか発揮出来ない状態です。

2014年11月1日現在(メーカーに問い合わせ中です)。

音源自体はハードですが、音色の設定やエフェクトなどは
専用のDAWで立ち上げるエディタ上から行えます。


エディタの全体図

私が使っているのはWIN版のVer.2ですが、
見た目がちょっと古くさいというか、
あまり制作に力が入っていない感じが強く、
まだまだこれから良くなる感じがします。


ただフリーズさえしなければ、
基本的にパッチを選び、エフェクトを掛けるだけなので、
これで十分です。

SSW(現ABIRITY)のトーンマップ。


私の場合はSRXのトーンマップを自分でエクセルで作って使っていたクチなので
あまり評判が宜しくないエディタも
自分でトーンマップを作る面倒くささに比べたらはるかに有り難いです。



3.エフェクト機能は全パートに使える。

Integra-7のエディタ上からサードパーティーのエフェクトプラグインを
用いることは不可能で、
元々Integra-7に搭載されているエフェクトしか使うことが出来ませんが、
最低限の機能は持っていると思います。


どのみち録音するときはすべてOFFにして書き出すので、
制作中におおよそのアタリを取っていくにはこれで十分であり、
パン、リバーブ、コーラス、あるいはディストーションやフェイザーなどの
一通りは揃っているので制作で困ることはないはず。


使って初めて気がついたのですが、
Integra-7のエフェクト機能は昔懐かしいSC-88proの
音源コントローラーがベースになっており、
それがバージョンアップしている感じでした。



懐かしい音源コントローラー(画像はステレオフランジャー)


Integra-7ではGUIがシンプルになっています。


GUIだけなら昔の音源コントローラーのほうが
見た目もいいし、直感的に使えるので便利かもしれないが、
やれること自体は同じです。


GUIは将来的にもっと良くなることを期待したいです。


エフェクトの内容は色々とバージョンアップしており、
旧音源コントローラーにはないビットクラッシャーなども追加されて
少しだけエフェクト数が増えていますが、
最大の違いはこのエフェクトを1パートずつ個別に自由に使える点です。


全パートに個別にエフェクトを掛けるというのは
今では当たり前のことですが、
SC-88proや8820でDTMをやっていた方にとっては
「これが出来たらどんなに良かったことか…」
と思いつつ当時作曲していた方は多いはず、


やっとそれが出来る時代になりました。
今ではたいしたことはありませんが…。

昔の音源コントローラー画面


昔はエフェクトを同時に1つしか使えなかったのです。
(裏技で2つ)


Integra-7のエフェクト設定は旧来の音源コントローラーまんまなので
ハード音源時代からDTMをやっている方にとっては
(特にRolandユーザー)非常に取っつきやすいはずです。


これもIntegra-7の強力なツールだと思います。



3.モーショナル・サラウンドコントロール

モーショナル・サラウンドコントロールの設定画面



通常のLRのパンだけではなく、
モーショナル・サラウンドコントロールという
音像コントローラーが付いています。

効果はこちらのサイトの下の方で確認できます。

基本ヘッドホンを想定したものらしいが、
スピーカーで使っても効果はあります。


同じことができるプラグインを持っているのですが、
あまり使っていないので
これは実際にどのくらいの有用性があるのかは
ちょっとまだ未知です。


しかし1次元ではなく2次元で音像をコントロールできるので、
大いに試して研究したい部分ではあります。


使い方に悩むような複雑さはなく、
非常に簡単に使える音源であり、
Rolandの総決算とも言える音源なので
Integraとは統合という意味です
もうこの先RolandからDTM専用のハード音源は出ないだろうと思い
買ってみました。


ライブ用のキーボードと音源の一体型はまだまだこの先
色々な商品がリリースされると思いますが、
DTM専用の音源という意味では
少なくともあと10年はこれ以上のものは出なさそうです。


ひょっとしたらハード音源としては
これ以上のものはもう発売されないかも?くらいに感じています。
 

これでソフト音源だったら個人的には最高だったのですが、
ライブで使う用途の方もいるでしょうし、
録音の手間も面倒ではありますが、
逆に考えれば録音時に一ひねり入れることも出来ますし、
それを超えて余りある高機能な音源なので、
個人的には非常に気に入っています。


使い込んで、色々と気づく点があれば
また書きたいと思います。

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