ただいまです(*^▽^*)
ピグライフのトイ・ストーリーイベントにつられて
フラフラと舞い戻ってきたピコですw
前回も、ディズニーネタで呼び寄せられた気もするけど
まっ欲求には素直にならなくちゃね~(*゚ー゚)ゞ
ピグともの皆様、またよろしくお願いします!

ということで、まずはリハビリがてら
以前書きかけのお話を仕上げてみました!


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「随分高くまで上がってきたね。」
「はい、でも頂上まではまだまだありますよ。」
「うん、そうだね。あれっ、あそこ、スカイツリーが見える。」
「えっ、どこですか?」

蓮が指差した方向に身を乗り出して、スカイツリーを探す。

「あ、見つけました。うわぁ、敦賀さん、こっちを見てください。川が青色に光ってます!」
「ああ、本当だ。スカイツリーの光が反射して凄く綺麗だね。」
「はい!」

窓に手をつけて他にも何か知ってる建物がないかと
周囲をキョロキョロと見回した。

「あれって、東京都庁ですよね?」

見つけた!と思い
窓から視線を外して声をかけたキョーコは
予想以上に近くにいた蓮にドキッとなった。
少し手を伸ばせば簡単に触れられるような距離まで
お互い顔を近づけて探していたなんて……

恥ずかしい……

気づかれないようにゆっくりと身体を離していく。

「うん、正解。あっちには羽田空港も見えるよ。」

指差した先は滑走路の侵入灯が等間隔に輝いていて
こちらの景色もうっとりするほど美しかった。

こんな高い所から東京の夜景を一望できる機会は滅多にない。
それも好きな人と人目も気にせず外で過ごせるなんて贅沢、もう二度と訪れないだろうが、意識してしまった以上、気持ちが落ち着かない。

このままでは自分の気持ちが抑えられない!

マズいと思っても
赤くなる頬は元に戻せないし、胸まで苦しくなってきた。
ドキドキしすぎて心臓が壊れそう!

今の自分は恋する乙女そのものだと感じたキョーコは
違う建物を探す振りをして振り向き
椅子に座り直すと背中を向けて表情を隠した。

向かいに座る蓮も同じように座り直す気配がしたが、
背中に視線を感じて、また一段と鼓動が早まる。


~恋愛ジンクス~


偶然出会ったテレビ局からの帰り道
送ってくれるという誘いを断りきれず
蓮の車に乗りこんだのは30分ほど前。
いつもならいる筈の社さんは別の用事で先に帰っていて
二人っきりでの帰宅となった。
恋心を認めてしまった今となっては
顔を見れて話せるのは嬉しいけど怖くもある。

リミッターを振り切って
気持ちが暴発してしまったら大変だからだ。

『自制心』と自分に言い聞かせても
話したい気持ちは抑えられない。

図々しくならないように気をつけながら夢中で喋り続けた。
時折入る相槌すら嬉しくて
頬が緩んでしまうのは恋する乙女としては仕方ない。

前を向いて運転に集中している蓮に安堵して
背中越しにじっと熱い視線を送るキョーコだった。

久しぶりの好きな人との逢瀬に浮かれていたキョーコは
サイドミラーに映った綺麗な横顔に見惚れてしまい
話すことも忘れて夢見心地な気分に浸っていた。

数秒?それとも何分も沈黙が続いたのだろうか?

ふと視線を感じて、現実に引き戻される。

フロントミラー越しに蓮がじっとこちらを見ていたのだ。
焦って視線を逸らし俯いたが後の祭り。

赤くなった阿呆顔はきっと見られている。

どうしよう……

急に黙りこんでしまったから、おかしいと思われたのだろうか?
でも今更、また話を続けるのも白々しい。

不自然にならないようにと景色を見るふりをして窓の外に視線を移す。

チラチラと後ろの様子を伺っていた蓮は
気まずい空気を変えようとラジオを流した。
DJの明るい声が流れ出し、
その軽妙なトークに思わずキョーコも笑みが零れる。

「このDJの人、トーク上手ですね。凄く面白いです。」
「ああ、それにテンポもいいね。」

また話すキッカケを掴めて、二人共ホッとしたのも束の間
聞きたくない名前に空気が凍った。

『次のリクエストはちょっと懐かしい曲です。
不破尚さんの『プリズナー』!!」

その名前を聞いた途端、一瞬肩を震わせた蓮は
黙ったまま淡々と運転を続ける。
その沈黙が不気味で
キョーコはショータローから意識を逸らしたかったが
何を言っても墓穴を掘りそうで上手く話せない。

二人の間に微妙な空気が再び流れて
後部座席に座るキョーコはモジモジと身体を動かして
落ち着かない。

ちょうどその時
視線の向こうに見えた観覧車に話題をふってしまった。

別に乗りたい訳ではない。

全然といえば嘘になるかもしれないが
あんな逃げ場所のない閉ざされた空間で
片想いの人と二人っきりだなんて
平静でいられる自信がなかったからだ。

なのにどうして…
こんな状況に追い詰められてしまったのか

キョーコにもわからなかった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ずっと後ろを向いたままのキョーコに蓮は話しかけた。

「ここの観覧車は日本で一番大きいそうだよ。知ってた?。」
「へぇ、そうなんですか。知りませんでした。
そっか・・・・日本一なんだ……」

しみじみと上の方を見上げると、頂上まではまだ少しかかりそうだ。

「一周の所要時間は17分ってここに書いてある。」
「えっ、そんなに!」
「クスッ、この美しい夜景を長い時間、楽しめるね。」
「そうですね……でも……」
「ん?」

前に向き直り、言いづらそうに言葉を濁すキョーコに
先を促す。

「密室ですよ。」
「うん…逃げ場はない、な……」

蓮は俯いたままのキョーコを注意深く見ていた。

「恋人同士なら無条件に楽しいと思いますが、どっちかの片思いの場合……二人っきりでいる時間としてはちょっと…長すぎませんか?」

こんな言い方をすれば自分が蓮に片思いしていると
言っているようなものだったが
テンパっているキョーコには、わからない。

「どうして?」
「だって…一緒にいるだけでもドキドキするのに、こんな長い時間近い距離で二人っきりだなんて、心臓が持ちませんよ!」

一気に言い切ったキョーコは
神々しい笑みを浮かべて見つめる蓮の視線と目が合い
やっと自分が何を口走ってしまったかを理解した。

(私、何て事を言ってしまったんだろう!
これじゃあ私が敦賀さんに片思いしてますって
宣言してるも同じじゃない!!)

穴があったら入りたい…
入って、地上に着くまで籠っていたい・・・・

まだ半分以上時間が残っているのに
私はどんな顔をしてここに座ればいいの!

居た堪れず肩を落として俯くキョーコを
何も言わずに蓮は見つめていた。

その時、突如吹いた強い風に観覧車が大きく揺れて
驚いたキョーコは小さく悲鳴を上げて頭を抱えこむ。

思ったよりも揺れはすぐに収まり
恐る恐る顔を上げると
蓮が揺れないように頭上で中を抑えてくれていたのだ。

「大丈夫?」
「はい、ちょっとびっくりしただけです。お手を煩わせてしまい、すみません。」
「ここまで高く上がると結構揺れるもんだね。まだ怖い?」

心配そうに顔を覗き込む蓮に、キョーコは首を横に振って
できるだけ明るい笑顔で笑い返した。

一瞬蓮の表情が無表情になって固まってしまった為
また何か怒らせるような事をしてしまったかと焦ったが
すぐにいつもの優しい顔に戻っていた。

「やっと、あと少しで頂上だ。」

自分たちが乗っているものより二つ先の観覧車が
ちょうどてっぺんまで昇りつめた所で
中の並んで座っていた人影が一つに重なるのが見えた。

「あっ!」

思わず漏れた叫びに、蓮も苦笑する。

「特別な場所だからね。こういう事もあるよね・・・」
「そ、そうですね///」

男の方も緊張してるんだろうな・・・

「ん?何か言いました?」
「いや、何も・・・・・・ねぇ、それより最上さんもやっぱり…あ・・・。」

言いかけて、はたと自分の失言に気づき焦って口を閉じる。
見つめ合ったまま逸らすこともできずに絡まる視線。

しかしキョーコには通じない。

言いかけた言葉の続きは何となく想像できると
キョーコはぼんやり思っていた。

でもここまで困惑した表情になるのだろうか?

メルヘン思考の私がロマンチックな夢を見るのはいつもの事だけど、この場合は誰だって夢見るはず!

『好きな人と観覧車の頂上でキスしたら、永遠の恋が叶う。』

恋人たちにとっては、定番のジンクスだもの。
この位、誰だって知っている。
恋人いなくても、夢見る位いいじゃない!
と心で叫んだ後、さっきの失言をはたと思い出した。

今ここで私が肯定してしまったら
敦賀さんと今キスがしたいと言ってるようなもの。
だから敦賀さんも途中で言うのを止めたんだ。

当たり前よね……

後輩としか思っていない女の子に
いきなりそんな事言われても困るに違いない。

でもなぜ?
そんな目で私を見るの?

幼い頃より人様の機嫌を瞬時に読み取ろうと培ってきた
観察眼と審美眼をフル活用して
蓮の表情の意味をもう一度考えてみる。

見つめ合ったまま、固まっている二人。

お互い心の中で、色んな気持ちと葛藤している間に
頂上の所まであと少しとなっていた。

「このまま……時間が止まってしまえばいいのに……」
「え?」

心で呟いた言葉が無意識に声となり、蓮の耳に届く。

「……離れたくないな…願いが叶うならやっぱり……
xx してほしい///」
「……」

頂上についたと同時に重なる影。
そっと触れた唇は温かくて
夢か現実かもわからないくらい
一瞬だった。

なんとか落ち着きを取り戻した時には
キョーコは蓮の腕の中にいた。

「てっぺん過ぎちゃったね。」

頭に降りかかる声は優しかったが
恥ずかしくてキョーコは顔を上げられない。

きっとさっきの独り言が聞こえてしまったんだ。
だから敦賀さんは、可哀想だと同情して
サービスのつもりでしてくれたんだ。

勘違いしてはいけない。

キョーコが必死で自分に言い聞かせているのも知らず
更に蓮は彼女の心に揺さぶりをかける。


「魔法とまではいかなくても、ジンクスが叶ったらいいね。」


ギュッと抱きしめる蓮の腕は力強く
今少しだけ勘違いしていようと思うキョーコだった。

もしもこの時

照れて耳まで真っ赤に染め上げた蓮を見ていたなら
結果は変わっていたかもしれない。


おわり


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