PIKA*Chuコラボリレー第1章2話目!今回もキョーコちゃんサイドです。

一話目は、こちら↓よりどうぞ。


Bubble Shower
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お話の中に、ネタバレ的要素が含まれておりますので、ネタバレNGの方はご注意ください。

(空白や↓では、味気がないので、ピコが今お気に入りの「幻想素材サイトFirst Moon」様のイラストを使わせて頂いて、ネタバレ注意のアイコンを作ってみました。※転載、再配布はご遠慮下さい。)

Bubble Shower


上のイラストは可愛いですが、お話の内容はどんどん切なくなってゆきます。

では、どうぞ続きをお楽しみください。



秘めやかな想い*cross heart* 2



矢沢さんは、本当にマネージャーにしておくには勿体ないほど素敵な人だ。

鼻筋の通った端正な顔立ちに、涼しげな瞳。

少し似ている気もするけど、敦賀さんの方が断然綺麗な顔をしているわ。

引き締まった身体は敦賀さんほどじゃないけど、それなりに筋肉もついていそう。

髪は敦賀さんのサラサラヘアーと違って、矢沢さんは少し硬そうかな。

でも緩くウェーブのかかった髪型は、矢沢さんによく似合っていて、セクシーだ。


元々モデルをやっていただけあって、立ち姿も綺麗だし
物腰も優しい・・・

こういう所は、少し敦賀さんに似ているかな…

あっ・・・駄目・・・


せっかく矢沢さんを思い浮かべていたのに、ちょっとでも敦賀さんの事を考えたら、すぐにあの人の笑顔に変わってしまう。


あの人を思い出すような事を考えてはいけないのに・・・


何やってるんだろう…私


やっぱり・・・ちょっと前までずっと傍にいたせいかしら?


敦賀さんの笑顔がとても近い。

手を伸ばしたら、また触れられそうで・・・


怖い。


この手にしっかり残った感触が、離れてもどんどん心を蝕んでゆく。


このままでは本当に敦賀さんに囚われたまま、後戻りできなくなりそう。


失望されたくない。


私はもう二度と、あの頃のような自分には戻りたくない。

これ以上病気が進行しないように今は、矢沢さんの事を考えないと。


まずは私の心をいっぱいにしているあの人と違う所を探して、否定する所から始めよう。



敦賀さんと違って、彼は普通にお腹を減らしている。
敦賀さんと違って、彼は料理がうまい。
敦賀さんと違って、彼は経済観念がしっかりしてる。
敦賀さんと違って、彼は私を叱らない。
敦賀さんと違って、彼は私を優しく見つめない。
敦賀さんと違って、彼は私を子供扱いしない。

敦賀さんと違って・・・・・敦賀さんと違って・・・・・敦賀さんと違って・・・・・


やだ・・・・

矢沢さんの事を考えたいのに、敦賀さんがどんどん溢れてきて、色んな表情が私の心を占領してゆく。


離れてくれない------------



激しく顔を横に振って、彼の影をかき消してしまおうと抵抗していたら、現実へと引き戻された。



「・・・・・・ちゃん 京子ちゃん、京子ちゃん・・・・起きてる?」

自分の名を呼ぶ声にはっとなって、顔をあげると自分の目の前で、手を振っている蒔野さんと目が合った。

そうだった。
今は、お昼の休憩でみんなとランチしながら、蒔野さんの友達の話をしていたんだ。

「えっ?あっ、はい!ごめんなさい、ちょっと、ぼ~っとしてました。」

「大丈夫?最近、忙しそうにしてるから、疲れがたまっておかしくなっちゃったのかと心配したわww

だって、急に赤くなったと思えば、壊れたおもちゃみたいに首振り出すんだもん。」

呆れた顔で見つめる3人に、もう一度謝って、再びさっきの話に戻って行った。


「・・・・・・でね、その子の彼氏が、実はとんでもない遊び人で、一度に5人の女と付き合ってたらしいの。」

「マジ!ムカぽよじゃん!」

「何それ?」

「ムカつくって言う意味。それより、相手の女もどうして今までそれに気づかなかったの?ちゃんと見ていれば、わかるでしょ?」

「まっ、そこが惚れた弱み。おかしいと思っても、見ないようにしてしまうのが、女心じゃないの?」


「ええ~~、絶対そんなの嫌よ!私なら絶対、真実を問いただすわ!それで駄目になっても、結局ここまでの人だったと、諦めるわ。」


「ちおりん、かっこいい~!

でも私は、そんな風に割り切るなんてできないな・・・

だって、本当に好きだったら、失いたくないでしょ…5人のうちの1人でもいいから、傍に居たいと思うな・・・」


「友加・・・それ、完全に遊ばれるパターンよ。もう少し自分を大切にした方がいいわ。」



遊び人か・・・・・・・


3人の話を、ぼんやり聞きながらキョーコは自分のマネージャーの行動を思い出していた。

そういえば、矢沢さんも遊び人ぽかったな。
毎日のように違う女性から、電話がかかってきて、しょっちゅう色んな女性と出かけているみたいだし、
いつも私の仕事をマネージングしながら、女の子との予定もマネージングしているものね・・・
その上、綺麗な女性に会うと、すぐに連絡先の交換もして、新規開拓にも余念がない。


あ~言う人をプレイボーイと呼ぶんだろうなぁ~


あれっ?じゃあ敦賀さんはどうなんだろう?



敦賀さんの食事のお世話をする為何度もお宅にお邪魔しても、一度も女性から電話がかかってきたことはないし、出かけている様子もない。
いつも遅くまで仕事をしているようだし、敦賀さんの携帯番号を知っている女性も、あまり聞いた事はない。

そういえば矢沢さん・・・


私と敦賀さんを見て、特定の人間と親しく会話してるの初めて見たとか言って驚いてたな。



もしかして、敦賀さんは私が思うほど遊んでない?

えっ!?いやいや!何安心してるの。


敦賀さんが、遊び人だろうとなかろうと、私には関係ないんだ。
私は彼にとっては、恋愛対象外の子供なんだから・・・



心に渦巻く黒い影に目を逸らして、聞いてもいない薪野さん達の話に相槌を打っていた。

「あっ!敦賀蓮よ!」

須藤さんが指差した方向に視線を移すと、平日のお昼にやっているトーク番組「達子の部屋」のゲストに敦賀さんが出演していた。

いつもテレビで見ている穏やかな笑顔を浮かべ、達子の話に丁寧に頷いている。

敦賀さん、少し痩せたかしら?

この前会った時より、顎のラインがすっきりしているわ。


まだ落ち着かないのかな・・・

目の下にクマもあるし、肌の色もくすんで見える。

ちゃんと栄養摂っているんですか!
またサプリメントとかで誤魔化して、お酒ばっかり、飲んでいるんじゃないでしょうね。

本当は、お食事を作りに行ってあげたいんだけど、あの人と二人っきりになる自信はまだない。

間違って自分の気持ちが敦賀さんに勘付かれでもしたら、すべてが終わりになってしまう。

絶対に気づかれたくない!


グルグル考えている間も、テレビの向こうの敦賀さんは、相変らず笑顔で司会者の達子と楽しそうに会話を続けていた。


「・・・・・・・・・・・・敦賀さんは、今年も抱かれたい男NO.1に輝かれましたが、そんなにカッコ良ければ女性にもオモテでしょう。恋人とか本当にいらっしゃらないんですか?」


達子が、ニコニコと微笑みながら問いかけると、蓮も馴れた口調で返事を返す。


「いませんよ。寂しいものです。それに忙しくて恋愛する暇も有りませんしね。」

「そうですか・・・じゃあ、気になる子ぐらい・・・いらっしゃるでしょう?」


なおも興味深げに聞いてくるのもいつもの事。

きっと敦賀さんは、いつものように似非紳士な笑顔と嫌味のない返事で、またお茶の間の女性たちの心を奪っていくんだろうな・・・・


ぼんやりと次に返って来るであろう返事を頭で再生しながら、答え合わせする為、蓮の答えを待っていた。


しかし・・・・

いつまでたっても返事はなかった。



(えっ?どうして?なぜ黙っているの?)



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

不自然な沈黙に不安が募る。



そして---------


不意に漏れた微笑は

妖しい夜の帝王!!

どうして今、この質問で、そんな艶やかに笑っているんですか?

早く否定しないと誤解されます。

あなたが教えてくれたんでしょ。
沈黙は肯定と同じだって


まさか---------------------------



受け入れたんですか!?

あの子への想いを・・・・・・・・・・・・

だから、否定しなかったんですか?




嘘っ!










いや・・・・だ…………





「うわっ!セクシー!何だかいつもの敦賀さんと違って、エロいね。」
「うんうん。下手な女性より、色気あるんじゃない。」


蒔野と千織が蓮が醸し出していた男の色気に感心していると、須藤が悲しそうに呟いた。


「敦賀さん・・・やっぱり、好きな人いるんだ・・・・・・・・・」

「あっ!?そういえば友加は、敦賀さんの事、好きだったんだよね?
まぁ、仕方ない!諦めなさい。あの人とは住む世界が違うんだから、私たちなんて本気で相手にされる訳ないわ。」

しょんぼり肩を落としている須藤の肩を叩いて蒔野が慰めると、彼女も寂しそうに笑って首を振った。

「私のは、ただの憧れだから・・・

ちょっとショックだけど、仕方ないもの・・・わかってる。
それより京子ちゃんの方が親しかったから、ビックリしたんじゃない?

敦賀さんから、何か聞いてた?」

須藤はキョーコの方に振り向いて、そのまま口を噤んでしまった。
蒔野も天宮もキョーコの顔を見つめたまま固まっている。

さっきまでは賑やかに喋っていた空間が、今は奇妙なまでに静まりかえり

自分たちの話し声で聞こえなかった周りの騒音がやけに耳につく。


「ちょ・・ちょっと、京子ちゃん大丈夫?」

「へっ?何がですか?」

「何がって…京子さん、わかってないんですか?今、京子さん----------

涙を流して・・・・ますよ。」

千織の言葉に、焦って両手で頬を抑えるとほんのり目頭が濡れていた。

私、泣いてるの?

どうして?

敦賀さんに好きな子がいるのは、前から知っていたし、私には関係ない。

私は、一生純潔を守りぬくと彼に誓ったんだから、毒感情すら敦賀さんに持ってはいけないの。

だから別に、役者として目指している敦賀さんが誰を好きになろうと関係ない。

もう恋に翻弄される愚かな自分には戻らない。
何としてもこの想いに鍵をかけ直して、閉じ込めてみせると誓っていたのに…



なのに-------------

もう-----------------------

鍵を閉める箱すら残ってなかった。


「そんなに落ち込まないでも、京子ちゃんならまだ間に合うかもしれないわよ。敦賀さんと仲良いんでしょう。」
「そうね。あのカースタントの事故の時だって、京子ちゃんに手を握られて、敦賀さん意識取り戻したんだから、私たちよりは特別に想われているんじゃない?頑張ってみなさいよ。」
「そうですね。思い切って告白すれば、意外と上手くいくかもしれませんよ。そうすれば、ラブミー部からも卒業できるし、一挙両得じゃないですか。」

「3人とも、何呆けた事言ってるんですか!私は敦賀さんにそんなおぞましい不埒な感情は、持ってません!ただ崇拝してるだけです!!!」

ダーン!とテーブルに両手をついて立ち上がると、一気に捲し立てた。

そして

メークを直してくると言って、化粧室へと足早に逃げ去った。
3人が呆気にとられているのを背中で感じながらも、振り返って誤魔化す余裕はなかった。

何か言えばまた泣いてしまう・・・

それよりも今は

ただ一人になりたかった。


(敦賀さんが、恋を認めた。)




私の居場所は、もう-------あそこにはないんだ。

これからあの人の隣には、彼の想い人「キョーコちゃん」が立つんだ。



あの包み込むような優しい笑顔も
心に安らぎを与えてくれる柔らかな香りも
あの暖かくて広い胸も

私が知っている敦賀さんは全部

誰か・・・・・他の女性(ひと)のものになるんだ。


本当に、遠い人になってしまうんですね。




また私は------------------------







置いてかれた。










3へつづく



キョーコちゃんが、どんどん思考のループに堕ちていってます!!

蓮さ~ん、早く助けてあげて~~


次回は27日月曜の23時、りかさん宅で蓮さんサイドをUPいたします。

どうぞお楽しみくださいませ。


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