もうすぐ10万アクセスになると気づいたのは3月半ば。

全然ブログも更新できなくて、焦って出した拍手再録のSSに気づいて、キリ番を狙ってくれた霜月さうら様。

1番違いと凄く惜しかったけど、それでもチャレンジしてくれた事が嬉しくて、ついお願いしてしまったリクエスト。

遅くなりましたが、やっとお話が仕上がりました!


が、当初話してたものとは全く別物になってしまいました…orz

そしてもう一つ、お話が仕上がってから気づきましたが、『カイセツでキスマークを絡めてもらえれば』のキスマークが絡んでないガーン


以前書いたお話が絡んでいたので、それで許していただけることを切に願いますm(_ _ )m


書き直しを!と言いたいところですが、もうこれでいっぱいいっぱいだったんですぅ~。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。


でも、もう一つは何とか絡めることができましたあせる


こんなものでもよかったら、貰ってやって下さい。


リクエストありがとうございました!




*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「敦賀さん、ここなんですが……」


「またその名前で呼ぶ!家では、名前で呼んでと言ってるだろ。」


「だって…やっぱり・・・恥しいです・・・/////」


「まだそんな事を言ってるの。」


「だってぇ~////」


「まっ、いいか。これでキョーコは罰ゲーム決定だからね。」


「えええ~~~~」


「約束しただろ。そうだなぁ・・・・・・・

あっ!これがいい!韓国で上演する「トラジックマーカー」の舞台挨拶で、またヒール兄妹をやるだろ。

その時にキョーコは、雪花として俺にいっぱい甘えること。わかったね?」


「そんなの罰ゲームになってません///」


「俺の願いを何でも一つだけ叶えるのが罰ゲームの内容だから、これでいいんだよ。

俺は、キョーコにいっぱい甘えて欲しいんだ。」


「蓮さん・・・はい////頑張って、努力します///」


「楽しみだな。」


「もう////」




~猫じゃらし~




「トラジック・マーカー」は、公開されると共に大反響を呼び、映画史に残る大ヒット作となった。

評判は海外にも広がり、今回韓国をはじめとするアジア各地での上演が新たに決定した。


そこで早速韓国サイドからのオファーで、主役はもちろん、カイン・ヒールも招待されたのだった。

まだカイン・ヒールの正体は明かされていなかったので、当然のごとく雪花もカインと共に韓国へ行く事が決まり、初海外のキョーコはパスポートをとったり、旅行の準備をしたりと大忙しだった。


そして、朝早くから舞台挨拶が続くため、前日早い時間に現地入りできた二人は、つかの間のオフを楽しんでいた。




うわぁ~ここが明洞なんだぁ~


噂通り、人がいっぱい・・・


大きな道には、人が溢れていて、道の中央部にはたくさんの露店が並んでいる。

飲食店に可愛らしい小物を売る雑貨店やブティックが軒を連ね、

シンデレラや白雪姫が使っていそうな可愛らしいコスメショップまである!


入りたい・・・


でも今は、セッちゃんだから無理よね~

こんな可愛いお店、アウトローのセッちゃんには不似合いだもん。


むしろ、向こうのシンプルなコスメショップの方がセッちゃん好みかしら。

スキンケアもおしゃれガールには重要だもんね。


まるでドールハウスのような外観に見惚れていると、いきなり腕を掴まれた。


「そこのいけてるお姉さん、おまけあげるから、中に入って。」


「へっ?」


いきなり手におまけのスキンマスクを持たされると、そのまま店の中へと引っ張り込まれる。

キョトンとしたままカインを見ると、クールな表情でついてきたが、目は確実に笑っていた。


私、おまぬけ?

セッちゃんらしくないですよね?

駄目出し決定・・・でも笑ってるから、これはこれでいいのかなぁ。


しかし、どうしよう・・・


せっかくこんな可愛いコスメ達に囲まれたのだから、ゆっくり見てみたいけど、私たちだけ非常に浮いてるし、さっさと出た方がいいかしら?

でも・・・やっぱり可愛い~~


白とピンクを基調としたこのお店は、外も中もメルヘンな雰囲気を醸し出していて、まるでおとぎの国にタイムスリップしたみたいだった。


ここで買い物してみたい・・・


今私がキョーコなら、絶対、店内くまなく見て廻り、ショッピングを楽しむだろう。


「セツ…せっかくいつもと違う雰囲気の店に入ったんだから、たまにはこんなのもいいんじゃないか?」


「えっ?そ・・そうね。たまにはいいかもね。」


唇に人差し指を当てて、小首を傾げニコッとするが、すでに足先はコスメ達の方へと向いている。

雰囲気はあくまでルーズな雰囲気で、ゆったりでないといけない。


でも心の中はビクトリー!


やったぁ~公然とこの可愛らしいコスメたちを拝めるわ♪


兄さんもああ言ってるんだから、買ってもいいよね。

だってお洒落を追求する為だもん。


早速、ラメの入ったお姫様コンパクトを手に取ると、すかさず兄さんが私の手をとり、ファンデーションを置いてみる。


「暗すぎる。セツにはもう少し明るめの方がよく似合う。」


「こっち?」


「ああ~こっちの方がお前の白い肌を引き立たせてていいいな。あとそうだなぁ・・・リップは、この色なんかどうだ?」


さりげなく腰に手を廻して、身体を密着させながら、次々とコスメをとっては、セツに合わせてみる。

さすが、モデルもしているせいか、選ぶ色もピッタリ自分の肌に合っていて、この人のセンスの良さはやっぱり凄い。


それにセツに似合うと言いながら、キョーコ好みの色ばかり選んでくれる気配りが嬉しくて、心が温かくなってくる。


以前、甘えるのが罰ゲームみたいに言ってたけど、これはやっぱりご褒美よね。

大好きなものに囲まれて、大好きな人と一緒にそれらを選ぶ。

この贅沢な時間に、キョーコはつい演技も忘れ、素の表情で蓮の胸に頭を寄せると、蓮も表情を和らげ、かするようなキスを落とした。


ひ・・・人前で・・・なんてことをするんですかぁ~~~


真っ赤になって、涙目で睨むと、しれっとした表情で、また違うコスメに手を伸ばす。


周りはこのバカップルぶりに呆れた視線を投げかけるが、

カインは全く気にすることなく、始めて体験する雰囲気の店を存分に楽しんでいた。


本当にこの店は、キョーコ好みの店だな・・・

必死でセツの仮面を取り繕ってはいるが、ちょこちょこキョーコが出てきては、そのままセツのように甘えてくれる。

キョーコは気づいていないようだが…ふふふっ・・・


予期せぬラッキーだ。


この店、何て名前だったかな?

ちゃんと覚えておこう。


あとさっき通りすがったあの店も、キョーコが好きそうだった・・・


歩いてても視線がずっとあの店を追っていたしな。


くくくっ・・・


本当に、恰好は必死でセツを演じていたが、おもちゃを前にした子猫みたいに目がキラキラしていて、凄く愛くるしい。


後で、あっちの店にも寄るか。


これなら、以前キョーコの誕生日に琴南さんが送ったコスメ達にも勝てるかもしれない。


セツが、楽しそうにコスメを手に取っているのをぼんやり見ていると、突然鼻先に甘ったるい匂いの何かが突きつけられた。


「甘っ!!なんだ、この超絶に甘ったるい匂いは!」


顔を顰めて、突きつけられたものを見ると、小さなチョコレートケーキ?


「リップバームよ。見た目だけではなく、匂いもチョコの匂いなのね。」


「こんなものをつけて喜ぶ奴の気持ちがわからん。甘すぎて気持ちが悪い。」


「ふふっ、兄さんには辛いでしょうね。」


楽しい~


こんな風に敦賀さんと、じゃれ合う日が来るなんて…


今なら、急に宇宙人が侵略してきて、すぐに地球が爆発しても悔いはないわ。


一人納得して、うんうんと頷いていると、兄さんが不審そうに尋ねた。


「セツ、どうかしたのか?」


「うう~ん、何でもない。

ふふっ・・・兄さんとこんなにゆっくり買い物ができるなんて、幸せだなぁと思ったの♪」


腕を絡めて、にっこりほほ笑むと、大きな手が頭を撫でる。


「そうか・・・最近忙しくて構ってやれなかったからな。今日は好きなだけ付き合ってやるよ。」


「嬉しい!!」


ぎゅっと兄さんの胸に抱きつくと、抱き返してくれて耳元でこっそり囁いてくる。


「俺も嬉しいよ。愛してる・・・・・・・キョーコ。」


いきなりの素に戻される台詞に真っ赤になって狼狽えていると、身体を離した兄さんがニヤリと笑みを浮かべて、頬に手を当てた。


「どうした?顔が赤いぞ?熱でも出てきたのか?」


シレっとした顔で聞いてくる兄さんに悔しさが込み上げてくる。


こんな風にしたのは敦賀さんでしょ!

悔しい~~

何とか一糸報いたい。

このまま振り回されているなんて絶対にいやっ!


「別に大丈夫よ。熱なんかないわ。それよりちょっと暑くない?そろそろ出ましょう。」


「ああ~そうだな。」


スマートに自分が持っていたカゴを取り去ると、さっさとレジへと歩いていく。

いつも思うけど、こういう所、本当に卒がない。


手慣れているみたいで、なんかヤダなぁ~


店を出て、手を差し出してくる兄さんに、プイっと顔を背けた。

本当はお礼を言って、また手を繋ぎたい所だが、ちょっと悔しくて、べぇーと舌を出して先を歩き出す。


「何を怒っている?」


「怒ってない。」


「怒ってるだろ。」


急いで追いかけてくる兄さんに、今はまだ捕まりたくなくて、早足で人ごみへと紛れていく。


「きゃっ!」


「危ねぇなぁ。気をつけろ!」

「あっ、すみま・・」


謝ろうと頭を下げたその手を連れの男が取って、顔を覗き込んできた。


「ヒゅ~~ゥゥ、上玉じゃん。あんた、日本人か?俺達といい事して遊ばない?」


「ちょっ!止めてよ!あんたらなんかと遊んでるほど、あたしは暇じゃないの!気安く触らないで!」


振り払おうとしたが、逆に引き寄せられ腰を抱かれてしまう。


「お~や、可愛い顔して、気が強いねぇ~。俺、そういうの結構好み。」


ニヤニヤと顔を近づけてくる男に、嫌悪感と恐怖で背中に嫌な汗が流れだし、掴まれた腕がじんじんと痛んでくる。


怖い・・・やだっ・・・助けて・・・兄さん・・・敦賀さん・・・助けて!!


叫びだしたい衝動を必死でおさえて、拘束から抜け出そうと身体をバタバタ動かしては拒絶の言葉を投げかける。

男たちは、そんな私の反応を楽しむかのように取り囲み、どこかへ連れて行こうと無理やり歩かされた。


やだっ・・・いやっ!


このままだと本当にどこかに連れ去られてしまう。

何とかして逃げないと。


両足を踏ん張って、掴まれた腕に力を入れてもう一度振り払おうとした時、急にふわっと腕が軽くなって、男の身体が離れていった。


「いたたたた・・・・・」


腕を掴まれそのまま背中の方に捻られ、苦痛に歪む男に底冷えのする視線が突き刺さる。




兄さん!



過去に何度か遭遇した冷たい闇が周囲を凍らせ、

まるで現実世界に降りてきた死神みたいな形相に、皆、恐怖で身をすくませる。


このまま視線だけで射殺してしまいそうな鋭い視線を男たちに向けると、ずりずりと後ずさりをして逃げる準備を始める。

腕を掴んでいた男を突き放して、低く唸るような声で言い放った。


「失せろ!」


この言葉に、身の危険を感じた男たちはそのままあたふたと逃げ去ってしまった。

すーっと空気は和らぎ、いつものカインの空気に変わっていく。


「セツ…大丈夫か?」


顔色を失くし立ち尽くしているキョーコを心配して、蓮が傍に歩いていくと、優しく抱きしめた。


「もう大丈夫だ。男たちは逃げて行った。」


その声音は、いつもの兄さんで闇に囚われていた頃とは違う。

ちゃんと切り替わっている。

そう思うと安心して、つい気が緩んでしまった。


カインの胸に手を置いて、ギュっと服を掴んで軽く睨む。


「来るのが遅いよ・・・」


「悪かった・・・」


「待ってたのに…」


「うん…間に合ってよかった。」


「ありがとう・・・兄さん。」


ニコリと笑ってお礼を言ったつもりが、どこか表情がぎこちなかったのか、心配そうに様子を窺ってくる。


「怖かったのか?」


「ううん…怖くなんてなかった。だって、絶対兄さんが助けに来てくれるって信じてたもん。」


首を振って、もう一度笑いかけると、今度は安心したように兄さんも笑いかけてくれた。


「そうか・・・じゃあ、行こうか。」


額にチュッとキスを落として、身体を離すと、今度は離れないように強く指を絡めた。


「何か食べに行くか?」


「うん。」


二人仲良く、賑わう人波へと消えていく。



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「兄さん!あれがいい!明日の試写会にはあれを着たいな。ねっ、買って。」


「駄目だ!あれは絶対に駄目!」


「ええ~~兄さんのケチっ!」


少しだけ焦る兄さんの顔を見て、やったぁ!と小さくガッツポーズを作った。

それは数十分前、食後にぶらぶら歩いている時に見かけた一軒のチャイナ服専門店。


1枚くらいこういうのを持ってても邪魔にならないだろう、と言われて入ったお店で私が選んだのは、真紅のシルク地に大きな花があしらわれ、そこに群がる一匹の蝶が刺繍されているものだった。


いいように兄さんの好きにされているのが悔しくて、やり返したいと思っていた私は、その店で一番大胆なデザインを選んで、兄さんに人前で着たいと強請ってみたのだ。


露出の高いこのチャイナは、ノースリーブで背中は大きく開き、胸元も谷間が見えてしまう程ぱっくり開いている。

その上、スリットは下着が見えるんじゃない?と思う位、深く入っていて、非常にセクシーなデザインとなっていた。


これを本当に着ろと言われたら、絶対に泣いて謝って許しを請うだろう…

さすがのセッちゃんでも着たことのないような露出の高さ。


でもちょっとだけ慌てて止める兄さんが見たくて、賭けに出てみた。


よかった・・・


以前みたいに、すんなりOKされたらどうしようかと思った。


なら、ここは拗ねた振りして兄さんに追いかけてもらおう♪


「プンっ、ならもういい。いらない。」


「こら、セツ!」


焦って追いかけてくるのも思惑通り。

少し前のカイン兄さんとは違うけど、これも嬉しい!


ついニタニタと顔がにやけている自分を、蓮がしっかり見ていたのは気づかなかった。




韓国での舞台挨拶も無事に終えて帰国後数週間、久しぶりに早く帰れた蓮と夕食をとった後、部屋で寛いでいた。


「あっそうだ。この前、キョーコが欲しがっていたもの届いたよ。」


「へっ、私、何も言ってませんよ。」


「言ってたじゃないか!明洞のブティックでこれが欲しいと、ごねてただろ。」


思い当たったものに、真っ赤になって口ごもっていると

蓮は嬉しそうに寝室から紙袋をとって来て、中から真紅のチャイナドレスを取り出した。


「本当、これ素敵だよね。この位開いてたら、着たままできるかな?

キョーコもそれがしたくて、欲しがったんでしょ?」


「違いますから!////」


首まで真っ赤にして、必死で否定するが、気にせず抱き寄せてくる敦賀さんの目はすでに夜の帝王の光をはらんでいた。


ゆっくりとブラウスのボタンに手をかけて、耳元で囁いてくる。


「着替えて、俺に見せて。見えちゃうから、下着は付けちゃあ駄目だよ。」


耳にかかる吐息が熱く、身体から力が抜けていく。


絶対に恥しくて着れないと思っていた服を、

敦賀さんの為に着替え、

敦賀さんの妖しい笑みと共に上で翻弄されていくのか・・・・


そしてこれから繰り広げられるであろう長い夜に、ふと眩暈を感じるのだった。




敦賀さんに一泡吹かせようなどという大それた考えは

今後一切!持たないでおこうとこの日、強く心に誓った。



おわり



タイトルの『猫じゃらし』は、カイン兄さんが猫じゃらし(ここではコスメ)を、猫(セッちゃん)の前でフリフリすると、思わずじゃれついてしまう感じを書きたくてつけました。

うまく伝わればいいのですが・・・


霜月さうら様!

こんなものができてしまいました。

力足らずで申し訳ございませんが、お持ち帰り頂けると幸いです。

m(_ _ )mm(_ _ )mm(_ _ )m




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