またまた間が空いてしまいましたね。すみませんあせる

でもピコの夏休みの大きな企画も無事終了し、やっとこちらに集中できるかな?

う~ん、でも研究所の更新もあるし・・・

どうせ元より遅筆だし、のんびりマイペースで更新していきますww

あと最近、全然お礼が書けていませんが、週末まとめてUPします!



氷の仮面 ~消滅と誕生~ 14


彼女が暴漢に襲われた夜にかけた2本の電話は、社長とDr.高橋だった。

正直ドクターには頼りたくはなかったが、キョーコの主治医だし、何より彼女の精神状態が心配だったので、自分のちっぽけな嫉妬などに振り回される訳にはいかなかった。


実際彼は、深夜に連絡を入れたにも関わらず、俺が彼女を病院へ連れて行く前には全ての受け入れ態勢を整えてくれていた。


社長も普段は、派手で何を考えているのかわからない人だか、こういう時には本当に助けてくれる。

マスコミに漏れる事なく、迅速に事を進めてくれた。

制作サイドには事の詳細を知らせることなく、事故に遭って怪我をしたので、治療という名目で掛け合って、翌日の午前中には俺と二人、一週間の休みを調整してくれた。


この国では、駆け出しの新人である俺達は、代役を立てられても、文句は言えない立場だったが、そういう最悪な事態を避けられたのは、ひとえに社長の手腕といっても過言ではないだろう。


キョーコも最初休む事には難色を示していたが、怪我を0治療して撮影に復帰する事が制作サイドの意向だとわかると、おとなしくそれに従った。

この休みの一週間、レイナは表に姿を現さなくなり、代わりに幼いキョーコ・・・キョーコちゃんがずっと顔を出していた。

彼女…キョーコちゃんは、一人になるのを異様に怖がり、1日中俺の側についてまわった。


トイレとお風呂の時以外は、ずっと一緒だった。


本当はお風呂もキョーコちゃんは一緒に入りたがっていたが、さすがにそれは俺の理性が持ちそうになかったので、適当に理由を見つけて断った。


これほど誰かと長い間ずっと一緒にいたのは、俺の人生でも初めてかもしれない。

高橋は、いずれ負担と感じるかもしれないと言っていたが、それは杞憂だった。


いやむしろこのまま彼女が元に戻らなければ、仕事も何もかも捨てて、彼女を連れてどこか誰も知らない遠い所に逃げてしまおうか?などと出来もしない事まで、考えていたのだから笑える。


あの人達の重量級の愛情を受けて育った俺がキョーコに出会ったのは運命であり、彼女を救うのは俺の指命ではないか?とさえ思えてくるから不思議だ。


彼女は、俺が愛したキョーコとは違って、まだ人への気遣いはうまくできなかったが、その代わりに無邪気に甘えてくれて、彼女を世話する人たちみんなに振りまいた愛くるしい笑顔でキョーコちゃんは、たちまちナースや医師達のアイドルになっていった。


正直、そこはあまり俺としては面白くはなかった。

特にDr.高橋に一番懐いていたのも気に食わない。


でも、それ以上に俺にべったりで、他とは違った俺への態度に優越感も感じていたから、まだ少々の事は我慢できたのだが・・・


退院して家に戻ると、入院中に約束していた買い物に二人で出かけて、キョーコちゃんに合う明るい色の服を選んで彼女にプレゼントした。


キョーコちゃんは、すごく喜んで、帰るなりその服に着替えて、何度も姿見に自分を映してポーズをとっていた。そのあまりの可愛らしい仕草に俺はカメラを持ち出してシャッターを切ると、頬を染め恥じらいながらもカメラの前でポーズを撮ってくれた。

色んなポーズで一通り写真を撮ると、俺はキョーコちゃんを膝にのせ、彼女の頬に自分の頬を近づけてぴったり顔を寄せると、腕を伸ばしてカメラを出来るだけ離し、二人のツーショット写真もしっかりカメラに収めた。


普段のキョーコでは、絶対にありえない事もキョーコちゃんは、にこにこ微笑みながら俺の言う通りにしてくれる。


この写真を、もしも本当のキョーコが戻ってきた時に見たらどうなるだろう・・・


真っ赤になって、こんな事やってないです~とか言って、丸まってしまうかな?

それとも写真を奪い去って逃げてしまうかな?


どちらにしろ、きっと大いに恥ずかしがるんだろうな・・・

久しぶりに照れてバタバタするキョーコも見てみたい・・・


一人、遠くを見つめて、いなくなってしまった最愛の人を思い浮かべていると、彼女の一部でもあるキョーコちゃんが不思議そうに顔を覗き込んできた。


「ごめんね・・・ちょっとぼお~っとしてた。お腹すいたよね。そろそろ夕飯にしようか?」


キョーコちゃんの額にキスを落として、彼女を降ろしてキッチンに歩き出すと、彼女も慌てたように後をついてきた。


二人で一緒に料理をし、とはいっても俺は下ごしらえだけで、ほとんど彼女が作ってくれたのだが・・・

作った料理を食べながら、母親の愛情を確かめるかのように母親とのやり取りを俺に話してくれた。

俺もそれを聞きながら、「きっと忙しかったからキョーコちゃんの側にいてあげたかったけど、側にいれなかったんだろうね。」「キョーコちゃんを愛していたから、厳しくしたんだろうね。」など、母親の愛情を肯定するように相槌を打つと、彼女は心底安心したように微笑んで、その後は一切、母親の話をしなくなった。


また時には、長い夜を俺の膝の間で寛ぎながらDVD鑑賞をしたりして、穏やかな時を過ごした。


特に、キョーコは、夜になると一層一人になるのを怖がるので、早めにお風呂を済ませ食事も済ませて、できるだけ体を寄せ合うようにして夜は過ごした。


もちろん寝る時も一緒のベッドで眠っている。


これは、ちょっと俺にとっては大人の事情もあり、拷問でもあったが

俺の腕の中ですやすやと安らいでいる寝顔を見るだけで、煩悩も吹っ飛び幸せになれたから、相当俺も彼女にいかれてる。


そして・・・

彼女の傷跡もだいぶ薄らいできた頃、夢のようだった一週間の休みは終わり、またいつもの日常へと戻っていった。


撮影が始まると、あんなにいつも一緒にいたキョーコちゃんは姿を消してしまい、代りにレイナがまた表に現れてきた。


しかし以前とは違い、レイナは俺に気を許すようになり、二人の距離は確かに縮まっていた。

レイナに戻っても、自分の家に帰ることはせず、一緒に俺の家で暮らしている。


この一週間で随分スキンシップにもなれてしまった俺とキョーコちゃんは、レイナに代わっても、自然とお互いを受け入れていた。


まるでフランツとマリアが惹かれあうように俺たち二人も惹かれあっているのか?


それは望んだ事だったが、どこかで終焉の日が近づいている気がして、すっきりしないまま撮影はどんどんクライマックスへと近づいていった。



15へつづく



次回クオンはとうとうキョーコちゃんにあれをカミングアウト!

それを受けてキョーコちゃんも過去の傷を・・・


次回は、過去の傷自慢合戦!ですww

暗くはないですよ! まだ・・・( ̄▽+ ̄*)


web拍手をつけていますので、お気に召しましたら、是非ポチっと押してやってください ♪

ピコの元気の源ですww



web拍手 by FC2