少し12話から時間が空いてしまい、申し訳ございませんでした。

未だPCは調子が悪く、先週の日曜日に格安のPCをヤフオクで見つけるも、ぎりぎりで価格が上がってしまい買い損ねるというぐだぐだ感で何だかピコ自身のテンションもブラックです。

世の中そんなに甘くはないですねしょぼん


今回のお話には、少し心療内科でのカウンセリングについての表記がありますが、この部分はピコの妄想であって、事実とは一切異なるものですので予めご了承ください。

またピコが作り出したオリキャラDr.高橋とクオンとの会話がメインとなりますので、あまりオリキャラが好きでない人は、ここで引き返していただいた方がいいかも・・・


なんでもOKよ♪という方は、どうぞ13話をお楽しみくださいww

今回もクオン頑張りますニコニコ




氷の仮面 ~消滅と誕生~ 13

次の日の朝、キョーコを高橋が勤めている総合病院へ連れて行った。

そして今、薬によって病院のベッドで静かに眠っているキョーコの横で付き添っていたクオンは、さっき交わした高橋との会話を思い出していた。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


「怪我の具合は、大した事はないのですが、あなたのおっしゃってた話しが気になったので、催眠療法をつかい彼女と話してみました。結論から先に言いますとあなたが感じた幼い女の子は別人格ではなく幼い頃の彼女自身です。多分、あなたは、彼女が幼い時に母親に言ってほしかった言葉を言ったんだと思います。それが引き金になって、今まで蓄積してた思いが一気に噴き出して、彼女を幼児化させているのだと推測されます。」


「それは・・・どういう意味ですか?」


「あなたは、彼女の幼い頃の家庭環境をご存知ですか?」


「はい・・・多少は知っています。」


「では、彼女が母親から受けた仕打ちも聞いていますか?」


「はい・・・」


「そうですか・・・彼女は、母親からの仕打ちに酷く傷つき、心を閉ざしてしまいました。最上キョーコを手放し、唯一の心の支えとなった演技にこの半年間しがみついてきましたが、あなたに出会い、あなたの優しさに触れ、閉ざした心が少しずつ目覚めようとしています。貴方も感じているのではないですか?たまにレイナではなく、キョーコさんが現れてはいませんか?」


「やっぱり・・・そうだったんですね。もしやとは思っていましたが、貴方から『最上キョーコ』はもういないと聞いていましたので、期待はしないようにしていたんですが・・・キョーコ・・・キョーコは戻ってくるのですか!?」


「それは・・・今の段階では何とも言えません。確かに『最上キョーコ』は表に出てきてはいますが、彼女・・・レイナですが、彼女自身はまだそのことを認めようとはしていません。その上、今回の事件で余計に傷ついた彼女は、最上キョーコとも少し違う自分になって、癒しを求めています。」


「------?」


「あなたは、昨夜、彼女に何か言いましたか?」


「『怖い思いをさせてごめん』と謝って、それから・・・『俺がずっと側にいて、君を守る』と言いましたが、それが何か問題ありましたか?」


「多分、その言葉ですね。『ずっと側にいて、守る』 これは、ずっと一人ぼっちだった彼女が、誰かに言って欲しかった言葉なんですよ。そしてそれを一番言って欲しかったのは母親だったんだと思います。

だから彼女は、自分が一番母親に言って欲しかった言葉をくれた貴方に心を許したんですよ。キョーコさんは、幼い頃否定された愛情を貴方に求めることで、傷を癒そうとしているんです。恋愛感情とは全く異なったものですがね。あなたは、そんな彼女を受け入れる事はできますか?」


「もちろんです!その為にここまで来たんですから!」


「例えその結果、貴方が俳優を辞めざる負えなくなる状況に至っても同じ事が言えますか?」


「それは・・・」


「彼女は、今、母親の愛情を求めて泣くだけの幼い女の子と元の自己である最上キョーコ、そして今表に出ているレイナの3人が共存しています。それぞれに求めているものが違う3人が、貴方に違う形で想いを寄せ、彼女達はあなたの傍で、貪欲にあなたに愛される事を望むでしょう。
まあ当分の間は、レイナと幼いキョーコの2人が交互にでてくるでしょうがね・・・

彼女の傷を癒す最善の方法は、彼女を拒否することなく、彼女のどんな求めにも応じ、愛されてる事を実感させて心を落ち着かせる事ですが、現実にはなかなか難しくもあります。
それに、いつ彼女が元に戻るか、医者の私にも分かりませんし、もしかするとずっとこのままという事だって有り得るんですよ。あなたは、彼女の為に自分の生きがいである俳優を辞め、この先もずっと、このままかもしれないキョーコさんに貴方は愛情を注ぎ続けることはできるのですか?」


「はい!!俺は、彼女を取り戻す為・・・彼女を闇から救い出すために、覚悟を決めて『敦賀蓮』を捨てて、ここアメリカに戻ってきました。その時に、一度は『演技』を捨てています。再び、俳優を辞めざる負えなくなっても、キョーコが手に入るなら、惜しくはありません。俺は、昔、彼女に自分が持つ闇から救い出してもらいました。だから、今度は俺が彼女を救い出したいんです。それに重量級の愛情なら、俺はよく知っていますので、彼女にも与える自信はあります。必ずキョーコを元に戻して見せます!ですから、俺に彼女を任せてもらえないでしょうか・・・」


「わかりました・・・貴方に、お任せします。ただし、一つだけ条件があります!もしもあなたが、彼女の想いにこたえることができずに、彼女を否定したり、傷つけた時には、すぐに貴方から引き離します。2度と彼女にも会わせません!それでもいいですか?」


「・・・・・それは、キョーコの担当医としての発言ですか?それとも、一人の男としての発言ですか?」


静かな口調で問うクオンだったが、高橋を見つめる視線は射殺しそうなほど恐ろしいものだった。
高橋は、目を瞑り大きく深呼吸をすると表情を引き締め真剣なまなざしでクオンを見つめ返した。


「両方・・・といえば・・・ずるいですか?

私は彼女の担当医として、彼女の治療を優先し、最善の治療方法をとりたいと思っています。

しかしその反面、男としての自分は、他人になんか任したくない・・・彼女の心の傷は、自分が癒してあげたいとも思っていますよ。」


「あなたは正直な人ですね・・・」


「心療内科医としては、失格かもしれませんね。

自分でも驚いているんですよ。この仕事について、長くなりますが、患者にこんな感情を抱くのはタブーだと思っていましたし、有り得ないとも思っていました。

でも、彼女・・・キョーコさんに出逢って、最初はただ心配で少しでも心の傷を癒してあげたいとそれだけだったんですが・・・

キョーコさんは、不思議な人ですね。可愛い方ではありますが、際立って美人という程ではないのに、彼女を知れば知るほど彼女の魅力に引き込まれて引き返せなくなった自分に気づきました。

一度はまると抜け出せない・・・麻薬のような人ですね・・・彼女は・・・」


彼女が眠っているベッドの方を見て、静かに微笑みまた言葉を続ける。


「・・・私は、彼女を男として愛しています。

ですから、本音を言えば、貴方になんか任せたくない!

『最上キョーコ』に戻らなくてもいいから、早く貴方が彼女を手放してしまうのを・・・私は願ってもいます。」


「本当に正直だ・・・」


クオンは深くため息をついて、両手で顔を覆い隠して黙り込んでしまった。
高橋は、苦笑いをしてポケットから煙草を取り出し火をつけた。


「心療内科医としては、彼女の治癒を一番に願わねばいけないのに、ひどい主治医ですね。」


「いや・・・それは、仕方ないと思います。彼女は魅力的ですから・・・」


「フフフ・・・ありがとうございます。あなたも相当度量の大きい人間ですね。」


「それは違います。本当は、ムカついて今すぐあなたをぶん殴りたい衝動に駆られていますよ。でも、そんな事をしてもキョーコは元に戻らないし、今は何事よりも彼女を優先したいので、我慢しているだけです。」


「そうですか・・・ありがとうございます。」


「ところで、高橋先生は奥さんがいらっしゃった筈では?俺にはっきりと『キョーコを愛してる』なんて言っても構わないのですか?」


「ええ~、構いません。まだ形の上では夫婦ですが、もう何年も妻とは別居状態で今度やっと正式に離婚が決まりそうなんです。ただこの事と彼女とは全く関係ありませんがね。妻とはもうだいぶ前から終わっていましたし・・・」


「そうですか・・・立ち入った事を聞いて申し訳ございませんでした。」


立ち上がり、クオンは深く頭を下げ扉の方へと歩いて行った。
ドアノブを持ち、何かを決心したように振り向くと


「だからといって、俺はキョーコを手離す気は毛頭ありません!絶対に彼女を俺の愛で元に戻して見せます!申し訳ないけど、貴方の出番はありませんよ!!」


強い決意を秘めた目で高橋を見つめている久遠に、穏やかな笑顔で答えた。


「頼もしいですね・・・キョーコさんをよろしくお願いします。」


高橋も立ち上がり、深く頭を下げた。
何かに耐え、苦しそうな表情をしていたが、クオンはそれを振り切るように部屋を出て、キョーコが眠る病室へと戻って行った。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


「ウ・・・う~ん・・・・」


ゆっくり閉じていた瞼が開き、ぼんやりと周りを見回していると優しく微笑んでいるクオンが覗き込んできた。


「起きた?どこか痛い所はない?」


「ここは?」


「病院だよ。高橋先生と相談をして、様子を見るためにも、2~3日入院することになったんだ。まだ、身体辛いんじゃない?もう一度眠ったら・・・

ずっと、俺がそばについていてあげるから、安心して。」


「えっ?・・・駄目!3日も入院だなんて・・・そんな事したら、撮影はどうなるの?

明日も朝から、お互い撮影でしょう?」


「それは、心配しなくてもいいよ。高橋先生が君のエージェントに連絡をして、昨日事故にあって、怪我をしたから、1週間は休ませるようにと伝えて、もうすでに製作者側にも連絡済だから。

ほとんど君と一緒の撮影しかない俺も、自動的にお休み。ラッキーだねww

多分それまでには、レイナの傷跡も消えるだろうし、1週間、二人でのんびり休養しておこう。

どうせ休みが明けたら、眠る間なんてないくらい、忙しくなるんだから。」


「ごめんなさい・・・私の不注意で、レオンにまで迷惑かけてしまって・・・」


「気にすることなんてないよ!それにレイナは何も悪くないんだから、そんな風に思っては駄目だ!

それよりレイナ、ここを退院したら、しばらくの間、俺の部屋に引っ越しておいで。

一人じゃまだ心細いだろ?」


「でも・・・他人の貴方に、そこまで迷惑かけるわけにはいかないわ。」


クオンは起き上がったレイナの隣に腰かけて、遠慮するように俯く彼女の頭を何度も撫でた。


「気にしなくていいよ。それに昨日約束したろう。俺がずっと側にいて、君を守るってww」


しばらくの間、黙って俯いていたが、不意に顔をあげて無邪気な笑顔で聞き返してきた。


「・・・・////・・・本当に?」


それまで遠慮して困っていたレイナが引っ込んで、幼いキョーコちゃんが現れてきた。


「本当に?ずっと側にいてくれる?」


「ああ~もちろん。ずっと側にいるよ。」


「嬉しい!」


抱きついてきた彼女をギュッと抱き返して、膝にのせた。


「ここを退院したら、どこか美味しいものでも食べに行こうか?何が食べたい?

ハンバーグがいいかな?それともオムライス?」


「う~~ん、ビーフシチューが食べたい!昔、一度だけお母さんが作ってくれたことがあったの。すっごく美味しかったんだからww」


「へえ~、そうなんだ・・・

う~ん、でも、このへんでビーフシチューのお店ってあったかな?・・・いっそ、俺が作ろうか?」


「それは嫌!クオンの作った料理は、あんまり美味しくないもん!昨日の野菜スープだって、塩味ばっかりで辛かったし・・・まあ今朝のスクランブルエッグは、ケチャップかけたら美味しかったけどね。」


ぷくっと頬を膨らませてクオンの胸に頭を預けて、チラッとクオンの様子を窺っている。


「酷いなあ・・・確かに俺は、あんまり料理は得意じゃないけどね・・・

それと今朝のはスクランブルエッグじゃなくて、オムレツのつもりだったんだけどな・・・」


「ええ~~、あれが!原形とどめてなかったもん。あれじゃあわからないもん。

仕方ないから、今度は、私がお手伝いしてあげる。

これでも、私、お料理得意なんだよ。」


「それは、嬉しいな。じゃあ、これからは一緒に作ろうね。」


「うん!」


無邪気に微笑むキョーコの髪に軽くキスを落とすと抱き上げて、もう一度ベッドに横たわらせた。


「今日はもう少し眠りなさい。悪い夢を見ないように、ずっと手を繋いでいてあげるから、安心して目を瞑って。」


「うん・・・おやすみなさい」


キョーコは、クオンの手を強く握り返すと、目を閉じてまた眠りについていった。



14へつづく



この回、非常に難産でしたしょぼん

今の現状をクオンと高橋の会話で説明しようとしましたが、まわりくどいし、文字数多い!

読むの嫌になりませんでしたか?

わかりました?

申し訳ないです・・・


その上、「ビーフシチュー」の件は、完全にピコの想像です。

そんなエピソードは、原作にはない筈です!

ハンバーグもオムライスもワンパターンな気がして、勝手に作りました。

あのつんけんした冴菜さんなら、和食というより、洋食!それもお洒落なもの?と思い、『ビーフシチュー』を思い浮かべてみました。

でもきっとこれも、キョーコちゃんの為ではなく、ただ自分が食べたかっただけでしょうがね・・・


今回は、これからの展開の前振りのつもりで書いたので、やたら説明臭いですが、次回は、もう少し楽しくを目指して書きますww

レイナとクオンの距離も縮めますよラブラブ



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