偶然ログインできたこの隙に、昨日何度チャレンジしてもできなかった12話UPします。

ただ行間等おかしくても、今回はお許し下さいm(_ _ )m

直すとまたUPできなくても困るものであせる


でも、ピグには何故か普通にINできるので見かけたら、声をかけてくださいねニコニコ


今後ですが、どうしようかとまだ思案中・・・アメブロ恐怖症はまだ克服されていないものでしょぼん


決めたら、こちらのブログでお知らせします。

短い文章なら、携帯でも更新できるしww

最悪、携帯でこま切れ更新という手もあるかしら。

色々気持ちが浮上したら考えてみます。


では本文をお楽しみ下さい。



氷の仮面 ~消滅と誕生~ 12


湯船には、私の好きな花の香りの入浴剤が入れられていて、他人のお風呂なのに、何故か懐かしくて心が安らげた。身体の汚れを洗い流して、湯船につかる。

温かい…


さっきまで冷え切っていた身体に熱が戻ってくるのを感じる。


私…助かったんだよね?
・・・・よかった…
なんだか自分の事だけどおかしいな…
ずっと自分を汚いもののように思っていて、生きている価値のない人間…

死にたいとずっと思っていたのに、今、命が助かって喜んでいるなんて・・・

そういえば、誠一が以前に言ってくれた言葉があったな。

「生きている価値のない人間なんてこの世にはいない!みんな意味があってこの世に生を授かったんだ。だから、絶対に自分で命を絶ってはいけない。どんな事があろうと生きないと…」

私もそうなんだろうか?
また、誰かの側にいたいと思っても許されるのだろうか?

でもさっきは、どうして助けに来てくれたクオンの顔を敦賀さんと勘違いしちゃったのだろう?

以前にも、同じ事を思った時があったな…

優しい雰囲気が似ているのかな?

声もよく似ている気がする。

「でも彼は、敦賀さんではないんだ!」

(敦賀さんじゃない?ならば・・・彼となら一緒にいても許される?)

もう一人の私が、弱った私の心に囁きかける。

頬が熱を帯びて赤く染まっていくのを落ち着かせるよう、両手でお湯をすくって顔に近づけた。


「イタッ!」


指がさっきぶたれた頬に当たり、鈍い痛みが走る。

一気に先程の恐怖が蘇り、一人でいるのが怖くなったレイナは急いでお風呂を出た。

バスローブを羽織ってさっき脱ぎ捨てた服を拾おうとしたが、どこにもなくて不思議に思い、辺りをキョロキョロと探してみたが見つからなかった。


「おかしいなあ・・・確かにここに置いたんだけど・・・あまりにも汚かったから、クオンがどこかへ移動したのかな?まあいいか・・・あんな服、どうせすべて処分するつもりだったし、今はまだ見たくもなかったから、よかったのかも・・・」


レイナは服を探すのを諦め、クオンが待つリビングに戻っていった。

でも、クオンの姿はどこにもなかった。


「クオン?クオンどこにいるの」


どんどん不安になってきたレイナは、一人でいるのが怖くて、この家の全ての部屋の扉を開けてクオンを探し回った。


「嘘つき・・・ずっと傍にいてくれるってさっき約束してくれたのに、またあの人も私の母と同じように、私を置いていくんだ・・・やっぱり私は誰にも愛される資格のない人間なの?生まれてきちゃあいけない子だったの?」


大きな瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちてきて、その場に崩れるようにうずくまってしまった。


「カチャッ」


玄関の方から鍵を開ける音がして、紙袋を持ったクオンが戻ってきた。


「レイナ!そんな所で何やっているの?気分でも悪くなった?」


両手で顔を隠したまま黙って首をふる玄関の廊下で座り込んだまま動かないレイナを、クオンはそっと抱き上げてリビングのソファーに座らせた。


「帰りが遅くなってしまってごめんね。怖かった?

レイナがお風呂から出てくるまでに、帰ってくるつもりだったけど、店が閉まっていて、開いてる店を探すのに思いの外時間がかかって遅くなってしまった。」


「店?」

「うん・・・今日着ていた服は、もう全て処分したから、着替えを買いに行っていたんだ。ほらこれ。
あんな破れた服なんて、もうどうでもいいだろう。」



「うん・・・」




「傷の手当てが終わったら、着替えればいいよ。」


「ありがとう・・・」



紙袋を受取り、静かに微笑むレイナの隣に座り、肩を抱いて優しく語りかけた。


「あんまりいいものがなかったけど、今日はこれで我慢してね。

また今度2人でレイナの気に入ったものを買いに行こう。いいね?」



甘えるように自分の胸に頭を預けて、素直に頷くキョーコにどこか違和感を感じた。



レイナでもキョーコでもない…

どちらかと言えば幼い女の子のようだ。


さっき玄関で泣いていた姿もそれなら納得できる。


あんな酷い目にあったんだから仕方ない気もするが、心にひっかかる。


一過性のものならいいんだが…


明日の朝一番で高橋には予約をとっているので、彼に心の治療は任せて、俺は早く今夜の忌まわしい出来事を忘れられるよう、彼女を守り、傷を癒してやりたい。


立ち上がり、薬箱を取ってくると再び彼女の前に膝立ちになって、傷の手当てを始めた。

しかし、酷い傷だ。


今更ながらに犯人への憎悪が湧き上がる。


やはり、あのまま犯人を逃がしたのは、間違いだったのだろうか?

でも、捕まえて警察に突き出した所で、彼女の傷を深くするだけだろうし・・・


すっきりしない思いを晴らすように首を振り、できるだけ穏やかな笑顔を浮かべて彼女に微笑みかけた。


「さあ出来た!何もないけど、今朝作った野菜スープがあるから、今温めてくるね。

少しここで待っているんだよ。それから今夜はもう遅いし、うちに泊まっていったらいいからね。」


立ち上がり、キッチンの方へ行こうとすると、後ろを引っ張られた気がして振り向くと、レイナが服の裾を持って引っ張っていた。

不安げに見つめる彼女の手をとり、強く握り締めると「おいで」と言って、一緒にキッチンに歩いて行った。


*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



「疲れた~」


彼女が眠りについた後、自分もシャワーを浴びて、そのままソファーに倒れこんだ。
結局、その後も離れようとしない彼女の世話を焼いて、眠るまで、ベッドサイドで手を握っていたら、もうこんな時間だ。
あんな事があった後では、しょうがない気もするが、昔から彼女を知っている俺としては、不安になってくる。

我慢強くて、一人で何でも解決しようとしていた子だったのに、一体どうしてしまったのだろう?

このまま彼女が元に戻らなかったら、俺はどうすればいいんだ。

だが心の奥に潜む悪魔が俺に甘い囁きをしてくる。

(いいじゃないか…このままで…今の彼女はお前を信頼して頼りきっている。

チャンスだろう?このまま、家に閉じ込めて全てをお前のものにしてしまえばいいじゃないか。)


「できる訳ないだろう?彼女は、キョーコだ。早く傷を癒して元の姿に戻してやらないと!」


(なら、お前はあの時すぐに病院に連れて行かなかった?
純粋に彼女が心配なら、治療を優先させるのが普通だろう?)


「それは…」


事実をつかれて、言い返す言葉も見つからなかった。


(お前は、結局俺から逃れられないのだ。)


「違う!俺はもう二度とお前なんかに捕われない!」


飛び起きた俺の目の前に毛布を持って悲し気に立っているレイナの姿が飛びこんできた。


「どうしたの?眠れない?」


「横になって目を瞑るとあの男が出てくるの…私に覆いかぶさり、いやらしく笑っているの!」


「おいで。」


ソファーから立ち上がり大きく両手を広げた。
レイナはクオンに言われた通り近寄って、彼の胸の中へと顔を埋めた。
落ち着くまで彼女を優しく抱きしめた後、抱き抱えて、ラグにゆっくりと腰を下ろした。


「今日は、横にならずにこのまま二人で朝までここで過ごそう。」

毛布を彼女の背中にかけて二人で包まるとソファーに少しもたれるようにして目を瞑った。


「その体勢辛いでしょう?私・・・やっぱり・・・ベッドに戻って一人で眠るから、クオンも横になって。」


「俺のことは心配しなくてもいいから…本当はまだ怖いのでしょう?ほらレイナも目を瞑ってごらん。」


「うん…」


クオンの胸に顔を寄せて、静かに目を閉じた。


「まだあの男が出てくる?」


「ううん…多分…もう出てこないと思う。クオンの心臓の音が近くて、私を守ってくれるから、きっと大丈夫よ。」


顔をあげ、無邪気に微笑む笑顔は、ずっと俺が恋焦がれていたキョーコのキューティハニースマイルだった。


13へつづく




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