今回、次回(限定記事)には、暴力的表現が含まれております。
苦手な方は、閲覧をお勧めできせん。
閲覧は、自己責任でお願いしますm(_ _ )m
氷の仮面 ~消滅と誕生~ 9
彼女にかけられた呪縛は想像以上に根の深いものだった。
もう少し早く彼女の孤独に気づく事ができたなら、2人の未来は違ったものになっていたのだろうか・・・
彼女をあんなにも苦しませずにすんだのだろうか・・・
自分の想いばかりを彼女にぶつけて、
彼女の苦しみに気づけなかった自分の不甲斐なさに反吐が出る。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
(シーン32 フランツとマリアのダンスシーン)
1か月後に迫ったパーティでワルツを踊る為、フランツは美しく着飾ったマリアとのダンスレッスンに必死になっていた。
運動神経の良さか、元からのセンスがあったせいか、マリアは見る見る上手になって、華麗にワルツをフランツのエスコートにより踊っていた。
黒い波打つような大胆なカットでフロント部分に大きくスリットの入った隙間から見える美脚を惜しげもなく晒して、フランツをパートナーに踊るマリアは、見るもの全てを魅了していき、妖艶な輝きを振りまいていた。
まるで『氷の女王』みたいだ・・・
冷たくて恐ろしい女・・・だが、何者にも変え難いほど美しく高貴なマリアに恋する男は、命の危険と背中合わせになる事もわかっていた。
けれど、目を離す事もできずに惹きつけられていく自分をフランツは感じていた。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆
「カット!!OKだ!レイナすごく良かったぞ!たった3日間でよくここまで仕上げてきたな。さすがだよ・・・
今日の撮影はここで終わりだ。上がっていいぞ。」
静かに頭を下げて、さっさとスタジオを出ていこうとするレイナを追いかけて、自分も帰ろうとした時、この前トマトをくれたスタッフに呼び止められて足を止めた。
もうこれで、クオンとは演技以外で関わる必要はない。
早く離れないと・・・声をかけられる・・・その前に帰らないと・・・
呼び止められたら、無視して帰る自信が今の私にはなかった。
スタッフの一人に呼び止められて、話しているクオンが視界の角に入って、急いでスタジオを出た。
今の隙に帰ろう・・・声をかけられるその前に・・・
逃げるように撮影所を出て、街灯が壊れた暗い夜道を一人、帰りを急いだ。
突然!何かに強い力で引っ張られて引きずられるように、無理やり路地に引っ張り込まれた。
後ろから羽交い絞めにされて声が出せないように口を押えつけられる。
怖い!逃げないと!
必死で抵抗して何とか逃げようと夢中で暴れるレイナに、冷たく光ったナイフが頬に当てられた。
*******
お礼を言って、すぐにかわすつもりだったが、なかなか彼女は解放してくれなかった。
新人としてはあまり無下に扱う訳にもいかず、適当に相槌を打っていると、どんどん他の子たちにも囲まれてしまい、輪から抜け出すのにひどく時間を食ってしまった。
もうレイナは帰ってしまったのだろうか・・・
彼女の控室に行ってノックをしても何も返ってはこない。
鍵がかかっていなかったので、そっと扉を開いてみたが、真っ暗で誰もいる様子はなかった。
遅かったか・・・
どうする?今日は諦めるか?
仕方なく自分の控え室に戻って、自分も帰るため身支度を整えた。
レイナも帰ってしまったし、久しぶりに買出しをして帰ろうか・・・
しかし、何だか嫌な予感がする。
やっぱり、彼女の後を追うことにして、控室を出ると
足早に撮影所の外へと出て行った。
まだそんなに先には行ってないだろうし、彼女はきっと寄り道はしないだろうから、上手くいけば追いつくかもしれない。もしも、追いつけなくても何か買って彼女の家に行けばいい。
********
「騒ぐんじゃない!静かにしないとその綺麗なお顔を無茶苦茶に切り裂いてやるぞ。」
必死で抵抗して、逃げようとするレイナに男は見せびらかすようにナイフを目の前にチラつかせる。
一瞬緩んだ手から顔を振って、必死で男に懇願した。
「止めて!お願い・・・顔だけは傷つけないで・・・お金ならここにあるから・・・全部持って行っても構わない!だから、もう許してえ!!」
震えて差し出されたバッグを開けさせて財布を取り出させると、男は拘束の手は緩めずに、もう片方の手で現金だけ抜き出して、財布は放り投げ、お札をポケットにねじ込んだ。
そしてブルブル震えているレイナの頬に再びナイフを押し付ける。
苦悶に歪むレイナの顔を男は舌なめずりして見下ろすと、ナイフの切っ先を青白い頬から透き通った細い首筋へと楽しむようにゆっくり這わしていく。
そして・・・
「きゃああああああ~~~~~っ」
10(限定)へつづく
web拍手をつけていますので、お気に召しましたら、是非ポチっと押してやってください ♪
ピコの元気の源ですww