久しぶりの連載再開なので、今日も再UP致します。

次の『3』も0時にUP予定ですが、こちらは後半(Dr.の部分)だけ加筆訂正いたしました。


物語の展開上、もう少しDr.高橋を使いたくなったもので( ̄▽+ ̄*)

またピコのオリキャラ好きセンサーが動き出しました♪


うふっ・・・今後の展開をお楽しみにww



『氷の仮面』2は、side蓮で書いてます

今後このお話は、蓮(クオン)を活躍させていきたいと思ってます


闇に囚われた眠れるキョーコ姫をクオン王子が助けるみたいな感じ・・・

でもへたれ蓮が好きなピコにカッコいいクオンは果たして書けるのだろうか?


まあ、あくまで目標ですσ(^_^;)



氷の仮面 ~消滅と誕生~ 2


最初から気づいてたのかもしれない

彼女が俺の愛に戸惑っていることを・・・


でもわかりたくなかった

認めれば彼女を手離さなければいけないから・・・


きっかけは彼女から俺への告白だった


彼女はそれで終わらせてまた後輩の立場へと戻るつもりだったようだが

俺はそれを許さなかった


彼女の愛を受け入れ 交際と同時にむりやり同棲に持ち込んでしまった


一度でも手放したら終わってしまう気がしたから・・・


側にいてずっと愛を囁き続ければ

いつか彼女も俺の言葉を信じてくれると思っていたから


偽りの自分の上にいくらキョーコへの愛を重ねても無駄だった

ただの砂上の楼閣でしかなかったんだ


どうして俺はこんな簡単な事に今まで気づけなかったのだろうか?


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


「キョーコ?」


昨夜遅くに帰った時、キョーコはもう眠っていたのか部屋に声をかけても何も返事はかえってこなかった


疲れているのだろう?


あまり深く考えることもなく その夜は俺もシャワーを浴びてすぐに眠ってしまった

翌朝目が覚めて、寝室を出たときにこの家の異変に気付いた


焦ってキョーコの部屋となったゲストルームの扉を開いた


「嘘だろ・・・」


すべてが綺麗に片づけられていて人の気配もなく まるでこの部屋には最初から誰も住んでいなかったようだ


何が何だかわからないまま 彼女が普段使っているクローゼットを開いた


中はがらんとしていて、唯一俺が今までプレゼントしてきた物たちが箱に仕舞われて整然と積み上げられているだけだった

よろよろとリビングに戻り 彼女の痕跡がどこかに残っていないかと目を彷徨わしたが、手紙ひとつ残っていなかった


いったいどういう事だ?

なぜ彼女は俺に何も言わず出て行ってしまったんだ?

俺のどこが悪かったんだ・・・


食事?台所!?


急いで立ち上がり台所に向かったが、やはり彼女の痕跡となるものはなかった


ただテーブルには、俺の今日の朝食が置いてるだけで、冷蔵庫の中には1食ずつ丁寧に小分けして食べやすいように凍らした食事が入っていた


以前から計画されていた?


もうあまりにのショックに目の前が真っ暗になり

その場にずるずると座り込んでしまった


キョーコ・・・君は一体どこに行ってしまったんだ

どうして俺を一人置いていくんだ


どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして どうして


椹主任!


彼ならキョーコの今日のスケジュールが分かっている筈


もう手段なんて選んではいられない

仕事場にでも何でも駆け込んでキョーコを捕まえないと


藁にも縋る思いで 椹主任に電話をかけてキョーコの今日の仕事の予定を聞いた・・・そして愕然とした


昨日付けで辞めた?

一体どうなっているんだ?

俺は何も聞いていない・・・


真っ青な顔でブルブルと震える手でもう一つの可能性・・・

琴南さんに電話をした・・・・・・・・・・・・・・・・・


何も聞かされていなくて ひどく驚いた琴南さんに逆に質問攻めにされたが、俺は何一つ満足に答える事はできなかった


今も琴南さんの最後の言葉が俺の胸に突き刺さっている


「あなたそれでもキョーコの彼氏ですか?

この2年間貴方は一体何をしてたんですか?

キョーコをここまで追い詰めたのは貴方だったんじゃないですか!」


俺?俺が追い詰めた?

キョーコの気持ちも考えずにただ自分の身勝手な思いを押し付けてたから?


携帯を持ったまま床に崩れ落ち涙が幾筋も幾筋も零れ落ちる


ごめん キョーコ ごめん 何回でも謝るから お願いだ 戻ってくれ キョーコ


彼女のはにかんだ笑顔 俺を心配して本気で怒った顔

俺が囁いた愛の言葉に真っ赤になって恥ずかしがる彼女 

『愛してる』の言葉にどこか遠くを見つめるように寂しげに笑う彼女・・・


気づいていたのに・・・どうして俺はあの時ちゃんと聞かなかったんだ


キョーコを失った喪失感と自責の念にすべてを支配されてしまい

何もやる気がおこらず 家を出る時間が近づいても立ち上がる事すらできずにただその場に呆然と座り続けた


「蓮?」


チャイムを鳴らしても一向に出てくる気配のない蓮を心配して社は合鍵を使って

部屋に入り リビングで座り込んだままぼんやりと涙を流している蓮の姿を見て息を呑んだ


恐る恐る前に回りこんで自分も膝をついて蓮の顔を覗き込む


青白い・・・精気のない顔・・・この顔はどこかで見た事がある

確か・・・カースタントで事故を起こした時と同じ顔・・・


「蓮?どうしたんだ?何があった?」


呼び起こすように肩を激しく揺らして問いかけると 蓮の瞳が少し揺らいで社の方をみた


「社さん キョーコが・・・キョーコがいなくなったんです・・・

どこを探してもいないし・・・事務所もやめたっていうんです!

俺は何も聞いていない!知らなかったんです!!

どうしてですか!!!どうしてキョーコは俺に何も言わずに出ていったんですかああ!!!!」


腕を掴み最後には狂ったように悲痛な叫びを上げる蓮を何とか諌めて社長に連絡を取った


このままの状態では仕事に連れて行けるわけもなく

急病という事にして今日のすべての予定をキャンセルをして社長の邸宅へと蓮を連れて行った


壊れたおもちゃのように何も反応しなくなった蓮を見ても社長は驚きもせず

淡々とこれからの俺への指示を出すと蓮を連れて自室へと戻っていった


社長はすべてを分かっていたのか

こうなる事を分かって黙っていた?

でも何故?


湧き上がる不信感と憤りを必死で抑えながら社は社長の指示通りに動くのだった


゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


「どうした?しけた面して?最上君にでも振られたか?」


バスローブに身を包み朝からブランデーグラスを優雅に傾けているローリイは怪訝な顔で蓮を見た


「キョーコが出て行きました 俺には何も言わず黙って今朝いきなり姿を消したんです」


「やっぱりな・・・」


「やっぱりって・・・どういうことですか!!社長は何か知っていたんですね!

どうして俺に教えてくれなかったんですか!!!」


ローリィの胸倉を掴む勢いで詰め寄り一気にまくし立てた


「教えたらお前は彼女を止めることができたのか?」


ギロリとすべてを見透かしたような目でローリィは蓮を睨んだ


「それは・・・・・・」


「彼女に・・・キョーコくんに お前には自分で言うから黙っていてくれと頼まれたんだ

それよりもお前達はこの2年間何をやっていたんだ?

こんな事になる前に、お前は彼女の様子に何か違和感を感じなかったのか?

彼女とも相変らず上っ面だけの付き合いで本音を曝してこなかったせいでこうなったんじゃないのか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ローリィの核心をついた物言いに蓮は返す言葉もなく黙りこくっていた


「その様子じゃあ、お前の素性も未だ彼女には話してはいないんだな?」


「それは・・・いつか時期が来れば話すつもりでいました」


「時期ねえ~~2年も一緒にいたのに何甘えた事ぬかしてるんだ!馬鹿やろうが!!

そんなんだから彼女にも逃げられるんだ・・・まだ分からないのか!

本当のことをを隠したまま自分を受け入れてもらおうなんて甘い考えとっと捨てちまえ!

嘘の上に塗り固められた真実なんて

お前をちゃんと見ている奴らにはもろばれだ 何を信じろと言うんだ

お前ら2人で一生懸命積み上げてきたのは所詮・・・砂の城・・・

もろくて簡単に壊れてしまう・・・大体お前・・・本当に彼女から何も聞いてなかったのか?」


「はい・・・何も・・・

彼女はいつも俺の帰りをニコニコと迎えてくれて

いつも彼女とはその日にあった出来事や台本の読み合わせなどをして過ごしていました

俺は・・・彼女も幸せだと思っていたから・・・彼女がそんなにも追い詰められてるなんて気づきもしなかった・・・・・」


拳を握りしめ唇を強く噛んで悔しそうに俯く蓮にローリィは大きな溜息をついてゆっくりと話し始めた


「去年・・・彼女の20歳の誕生日を過ぎた頃だったか・・・彼女の母親が突然彼女に会いに来て、勘当を言い渡されたそうだ 『20歳を過ぎれば、親の扶養義務もなくなるから、もう自分は自由になれる ただ迷惑だから、事件だけは起こすな』 と言われたと・・・最上くん・・・寂しそうに笑って話してくれた」


「そんな・・・酷い言い草があるか!!仮にも自分のお腹を痛めて産んだ子に何が勘当だ!自由だ!迷惑だと!

あの人が今まで彼女に何をしたっていうんだ 今までだって放っておいたのに、何故今頃のこのことやってくるんだ キョーコがあまりにも可哀相過ぎる・・・」


顔を真っ赤にして激昂する蓮を冷めた眼で睨みつけるとローリィは言葉を続けた


「だが、彼女はお前にその事を何も言わなかった

お前達の関係はただそれだけの・・・薄っぺらい関係だったって事だ

最上君の事はもう諦めろ!お前には無理だったんだ」


「嫌です!諦め切れません!彼女がいないと俺はもう・・・俺でいられなくなる 駄目なんです!彼女でないと駄目なんです!どうかお願いです・・・彼女の居場所を・・・居場所を教えてください」


崩れるように床に座りこんで手をつき懇願する蓮の側によってローリィは優しく背中を撫で


「それはできない・・・お前には悪いが、今の状態で彼女に会わせるわけにはいかない 今のお前以上に、最上くんの精神は危うい状態だ そんな彼女に今更本当の姿を曝した所で何の解決にもならない いや・・・むしろ・・・更に彼女を追い詰めてしまうかもしれない 俺は事務所の社長として、親代わりとして、彼女を守る義務がある 諦めてくれ・・・蓮」


「分かりました では敦賀蓮を捨ててクオン・ヒズリとして彼女に会いに行きます

それならば文句はないでしょう」


「お前・・・本気か?日本に来て敦賀蓮として必死で生きてきた10年をたった一人の女の為に捨てるというのか?」


「本気です 彼女はたった一人ではなく唯一の俺が愛している女性ですから、彼女を取り戻す為なら何でもします お願いですから、『敦賀蓮』を辞めさせてください」


立ち上がり綺麗な姿勢で頭を下げる目の前の男はさっきまで座り込んで悲嘆にくれていた人物と同一人物とは思えないほど堂々としていてその目には一点の迷いも消え去っていた


「分かった・・・だが売れっ子のお前をいきなり解雇というわけにはいかない 

辞めるにしてもちゃんと筋道を立ててもらわないとな

すでに受けている仕事もあるし、それがすべて終わったら後は俺に任せろ

彼女への道だけは作ってやる・・・但しそれだけだ!後の事は何の手助けもしねえからお前が自分で考えて自分で行動しろ・・・いいな?」


「はい!ありがとうございます」


深々と頭を下げる蓮にローリィは目を細め優しい眼差しで語りかけた


「本当にお前も最上君も不器用なんだから・・・もう少しお互い器用だったら、こんなにもつれる事もなかったのかもな・・・蓮!しばらくは寝る間も無いほど忙しくなるから、覚悟しておけ 今日はもういい 帰ってゆっくり休め」


「はい 失礼します」


踵を返し颯爽と去っていく蓮の後姿を見つめてローリィは10年前を思い出していた


自分の犯した罪に震え縋るように俺に付いてきた日本で 無我夢中で敦賀蓮として生きてきた

それをこんな簡単にお前は捨てると言った

ただ一人の女の愛を取り戻す為に・・・


カッコいいじゃねえか・・・成長したな クオン お前はもう大丈夫だ


後は最上くん 彼女だけか・・・彼女の負った傷はあいつの何十倍も深い・・・

彼女には愛された記憶が無いんだから


だがそんな彼女を救えるのも愛・・・無償の愛だと俺は思っている


頼むぞ クオン 彼女を救ってくれ


:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


あれから半年の月日があっという間に過ぎ去っていった


寝る間も惜しんで仕事をこなしてやっと・・・『敦賀蓮』の仮面を外す日が来たんだ


ずっと親身になり付いてくれていた社さんには素性を明かしすべてを打ち明けて・・・そして謝った


今まで騙していた事を・・・『敦賀蓮』を辞める事を・・・


社さんは笑って許してくれた

何となく気づいていたと教えてくれた


俺をちゃんと見てくれている人には、俺の嘘はばれていたのかもしれない

だからキョーコも出て行ったのか・・・


だが俺にはもう後悔は無かった


望みはただ一つ・・・キョーコをもう一度この胸に抱くために・・・俺は社長の家へと急ぐのだった


3へつづく


少しだけ方向性を変えて希望の光を作ったら楽しくなってきたo(^▽^)o

でも、キョーコちゃんは真逆!別人格になってます(><;)



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ただお礼文はまだ書けていません・・・

お楽しみにしている方には、申し訳ございませんが、落ち着いたら何か書くつもりグッド!


今回は連載を進めることをメインに頑張ってますww





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