アメンバー様100名記念SS
アメンバー様100名記念に100番目の方に強奪リクをと思っていたのですが
残念ながら100番目の方に連絡が取れず、急遽101番目の彩様から強奪リク頂きました!
急なお願いにも快くリクエストいただきありがとうございます!
そして遅くなって申し訳ございません
リクエスト内容は、
『蓮キョで義姉弟の話が是非読んでみたいです。
養子で血の繋がっていない事を知らない姉キョーコを知っている弟蓮が如何にかして付き合おうとしている話なんてどうでしょうか? 』
というものだったんですが、ただ今切恋マイブームのピコが書くと切蓮になっちゃいました。
きっと彩様の思い浮かべたものと路線が変わってしまったと思います
その上二人の性格も違います。もはや名前だけ (x_x;)
申し訳ございません!
(スライディング土下座です。)
質より量ということでもう一つアナザーバージョンを近々更新予定です。
こちらは少しだけ設定を変えさせていただいて、
お互い血の繋がっていない事を知っている設定にして、もう少しさせる予定です。
その前に姫ちゃん書いてリハビリしようっと
笑ってごまかすしかないですよね・・・
(^▽^;)
空蝉の恋 -前編ー
雨が降ると思い出す・・・
両親に連れられ初めてこの家にやってきた姉さんを・・・
母に手を繋がれクマのぬいぐるみを抱きしめ小さく震えていたキョーコ・・・
俺が4歳、姉が8歳の時だった。
父から『お姉ちゃんのキョーコだよ』と紹介されて
戸惑ったが、近くによって『こんにちは』と挨拶した。
しかし俯いたまま表情一つ変えずに母の手をずっと握りしめているキョーコを
俺はなぜかこのお姉ちゃんを守らねばと幼心に思ってしまった。
あれから13年...俺の思いは変わらなかった。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
「蓮、帰りラーメン食っていかない。」
悪友の社が部活帰りに誘ってきた。
「うーん、どうしようか...」
「敦賀君、たまには行こうよ。」
マネージャーの瑠璃子が俺の手を取り猫撫で声で誘ってくる。
腕を取られて少し迷惑に思うも振り払うこともできず
視線を逸らしたその先にキョーコが知らない男と歩いていた。
「姉さん!」
俺は瑠璃子の手を振りほどきキョーコの側に走り寄った。
「蓮くん、今帰り?」
キョーコは蓮に気づいて足を止めた。
「ああ、今部活の帰りで社達と帰ってるところ。」
後ろの社達の方を振り向いてキョーコに合図する。
「姉さんこそ、こんなところでどうしたの?今日は遅くなるって言ってたじゃない?」
「うん、思ったより仕事が早く終わったので、今から石橋さんとどこか飲みに行こうかと話していたところなの。」
隣の石橋とかいう男に笑いかけるキョーコに少しむっとして俺はわざと疲れた顔をして寂しそうに答えた。
「ふーん・・俺今日は部活が筋トレの日で超ハードだったんだよなあ~
姉さん飲みに行くんだったら、お腹減ってるけど・・・仕方ないし・・・コンビニのおにぎりで我慢するか・・・」
しょぼんとして俯きながら上目づかいでキョーコの様子を窺い見る。
「駄目よ、蓮くん。育ち盛りの男の子がそんなバランスの悪い食事!
すぐに帰って用意してあげるから、一緒に帰りましょう。」
「本当に!」
俺の腕を取って困り顔で見上げるキョーコの鞄を持って
隣の石橋とかいう男に軽く会釈して社達の方にさっさと戻って行った。
「石橋さんごめんなさい。また誘ってください。」
綺麗なお辞儀をして謝り、急いで俺の後をついてくるキョーコを
男は返事をする事もできずに、ただボー然と見送っていた。
「倖一、悪い!俺帰るわ。ラーメンは瑠璃子と二人で行ってくれ。」
俺は二人に手を振って、追いかけてきたキョーコと手を繋いで悠然と立ち去って行った。
「蓮のシスコン!!」
背後で瑠璃子が怒って喚き散らしているが無視してニコニコと歩き続ける。
キョーコが心配そうに俺の顔と後ろを交互に見ながら尋ねてきた。
「友達を放っといてよかったの?」
「構わないよ。どうせ帰るつもりだったし。
それよりスーパー寄るでしょ?俺も一緒に行くよ。」
にっこり無邪気に微笑みかける蓮につられるようにキョーコも仕方なく笑った。
「今日の晩御飯何にしようか?蓮くんは何が食べたい・・・」
二人で仲良く会話をしながら歩く姿は、
傍から見ればまるで初々しい新婚夫婦のようで、
俺はまだこの仲のいい姉弟という関係に満足していた。
あいつが現れるまでは...
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
家に戻り夕食を済ませた後、リビングでソファーに座ってコーヒーを飲みながらくつろいでいた。
両親は、今この家にはいない。
父の転勤に母が一緒について行ってしまったので、俺とキョーコの二人だけで暮らしている。
しかし出発前の母のあの台詞は有り得ないだろう...
「蓮くん頑張るのよ!
今がチャンスなんだから押し倒しても何でもしてキョーコちゃんをものにするのよ!
でもちゃんと避妊はしてね。」
そういってスキンを箱ごと置いていった。
母さん・・・それができるぐらいなら今こんなに苦しんでいないでしょう。
13年前、キョーコは交通事故で両親と弟を一度に亡くして一人ぼっちになってしまった。
他に身寄りもなかったキョーコを彼女の父親と親友だった俺の親父が引き取ったそうだ。
この家に来た頃は、ショックで口も聞けず笑うことも忘れたお人形のような女の子だった。
俺は初めて会った時からなぜか懐かれていて、一人になることを恐れたキョーコはいつも4歳も下の俺にくっついて離れようとしなかった。
俺もそんなキョーコを小さいながらに精一杯守りたいと思ってたし、
何とかキョーコの笑顔が見たくて、
自分の宝物を見せたり、
庭に咲いている花を摘んでプレゼントしたり、
いろいろな事をしてキョーコを笑わせようとした。
キョーコはまだ持っているだろうか?
俺があげた青いスーパーボールを・・・
光に照らしてキラキラ光るあの青いスーパーボールを見て
キョーコはこの家に来て初めて笑った。
まるで空から降りてきた天使みたいな綺麗な笑顔で・・・
俺はあの時からずっと報われない恋をしている・・・
それからキョーコは言葉を取り戻すと同時に事故の前後の記憶を失った。
そして俺たちを本当の家族だと思っている...
多分それは幼かったキョーコが自分を守るためには仕方ないことだったんだろう。
でもキョーコを想っている俺にとって実の弟と思われてることは辛い事実でしかなかった。
幼かったけど俺は昔から一人の男として
キョーコの側に寄り添い守ってきたのだから・・・
好きだなんて言えるわけないじゃないか・・・
弟だと思われているのに・・・
いつかキョーコが他の男とこの家を出ていくのを
俺はただ・・・黙って見ているしかできないんだ。
いっそ血の繋がった本当の弟の方がどれだけ楽だっただろう・・・
大人になんてなりたくなかった。
ずっとあの幼い頃のように二人で寄り添い笑って暮らせれば
どんなに幸せだっただろう。
ぼーっとあの頃の事を思い出しながら、はあーっと大きくため息をついた。
「蓮くん!もう~聞いてる?」
「えっ・・ごめん。考え事していた・・何だったっけ?」
焦って少し膨れたキョーコに謝った。
「だから今日、私 貴島先輩に交際申し込まれたの。」
「貴島先輩って・・・姉さんが高校時代に憧れていた人?
でもあの人確かLME商事のNY支店に出向中じゃあなかった?」
「それが、この前日本に帰ってきたらしくて、
今日ね、久しぶりに取引先で再会したの!」
「それでいきなり告白?姉さん担がれてるんじゃないの。」
「やっぱりそうかな・・・貴島さんは、『学生時代から私が好きで忘れられなかった』と言ってたけど、ありえないよねえ~
こんな地味で色気のない女をあんな素敵な人が好きだったなんて・・・
昔から蓮くんと違って全然モテなかったし・・・」
「そんなことないよ!姉さんは可愛いし色気だってある!」
「ありがとう。そんなこと言ってくれるのは蓮くんだけね。
明日貴島さんともう一度話してみるわね。」
ふわっと微笑んで空いたコーヒーカップを持ってキッチンに消えていった。
キョーコはモテてたよ・・・昔から・・・
ただ俺がせっせと馬の骨退治していたので、キョーコには誰も近寄れなかっただけなんだ。
まあキョーコの元来の鈍感さも原因だとは思うが・・・
貴島先輩か・・・本気なんだろうか・・・
キョーコが本当に付き合うことになったら、俺はどうするんだろうか・・・
後編へつづく