皆さん、こんにちは!
ピッコロ劇団員の森万紀です。
娼婦の一人、ドリーとして、『三文オペラ』の世界に生きている毎日です。

ピッコロ劇団にとり、はじめてのブレヒト劇。
ヴァイルの音楽はやはり唯一無二。本当に魅力的で、おお、これぞ黄金の20年代!ワイマール文化!と、ゾクゾク。

私のドイツの友人は、ブレヒトの『三文オペラ』ではなく、ブレヒト/ヴァイルの『三文オペラ』と、わざわざ2人の名前を上げて呼んでいて、やはり巨星2人の作品なのだなあと思います。

今回は、音楽監督の斎藤歩さんの下、谷川千尋さんの生演奏のヴァイオリン、そして、さらには、役者による楽器の生演奏も加わり、ヴァイルの音楽が奏でられます!

写真は、客演の島田藍斗さんと宮﨑佳恋さんです!
ウクレレやコンサーティーナの演奏もご注目下さい!




演出の松本修さんは、話は非常にシンプルでわかりやすいと仰っています。

そのシンプルな中に、本当になんと変わらない人間の姿、社会の真理が描かれていることか。
ブレヒトが新しい演劇手法を打ち立てながら描いた20世紀のギリシャ神話のように思えます。

突き刺さる、ハッ!とする台詞が沢山あるのです。それらが耳に入ってきて、本当に日々、身につまされます。
皮肉たっぷりで、愛を嘲笑うようで、そのくせ愛しかない人間の…。
我こそは不幸!と自認する方には、是非観て体験していただきたいです。かく言う私も、そのひとり(笑)。

ブレヒトが打ち立てた異化効果とは…結局、舞台はファンタジーだ、で終わらせない手法といいましょうか。客席にいて、舞台を観ながら、度々、現実に立ち戻る。それは、通常の芝居以上に、日常と劇世界との無限の往復を可能にし、現実の壁を突破しようとする、ブレヒトの挑戦…"革命"だったように感じます。
ブレヒトは生涯で沢山の女性を愛したそうです。
この才能。確かに愛してしまうのはわかる気がします…!

演出の松本修さんのもとで、熱く、冷たく、生煮えのようで、もどかしくも狂うおしい、なんとも奇妙な『三文オペラ』が生まれるような期待でいっぱいです!
是非ご来場を!
劇場で、心からお待ちしております!




※写真は、ブレヒトが戦後、ベルリンで拠点としたベルリナー・アンサンブル。赤く丸く光っているのが、その劇場です。夜な夜なこの光に吸い寄せられてしまう、魅力的な劇場、劇団です!