久しぶりのピッコロのブログ書きます。原竹志です。
今年のおでかけステージの台本・演出を担当しました。
劇団では『小さなエイヨルフ』の幕があけようとしています。怒濤のように公演を重ねていく劇団ですが、忘れてしまいそうなことだけでも、今年の小学校公演おでかけステージ『星のカンタータ』を振り返り書き留めておこうと思います。


1・構想



この企画はおよそ二年前に決定しました。
そのときはまだ笹嶋くんや嶺岸さんといった若手劇団員が在籍していました。若手と先輩とが半々くらいのまぜこぜの座組で劇作りをするイメージでした。若手のフレッシュなエネルギーと先輩の豊かな経験を絡ませて新しい今のピッコロ劇団の演劇を作ろうと。おそらくそこで先輩と後輩のあいだに共通言語が生まれる。その共通言語と経験が今後の劇団での芝居作りをより豊かなものにするだろう。若手が増えてきた今、そうやって自分たちの住む環境を整えよう、というのがこの企画のモチベーションでした。
私にとっての小学校公演は内部的な事情で劇作りすることがほとんどです。
それは内部の充実こそがお客様の観たいものだと信じているからです。
「あそこ、なにか面白そうなことやってるぞ」と人が集まる、観にくる。この考え方もピッコロで先輩に教わったことでした。


2・ささとミネカナ辞める



劇団というのは流動的なもので、この二年の間に、若い二人は退団し新しい道を進んでいきました。企画当時に考えていた構想はひとまずくずれた、というか保留になりました。しかし欠員が出れば募集しまた新しい役者が増えるのがピッコロ劇団です。今年になるまでに四人の若い劇団員が入団しました。今年の秋の本公演はイプセン、鵜山さん演出、小さなエイヨルフ。出演者が少ない骨太な芝居です。
だったら公演時期がやや重なるその裏で大所帯な座組にしてみようと思い立ったのでした。役はそんなにないけど。人がいるというのは素敵なことです。まだ役はそんなにないけど。小さなエイヨルフのキャストとすみわけしながら、13人の役者に出演してもらうことになりました。これがこの6月のことでした。


3・13人と1人と1人


13人のうち6名が小学校公演経験者、7名が小学校未経験者、うち4名がピッコロデビューという当初の構想よりもかなり若手中心の公演となりました。



杏華さんは小学校公演をやるにあたって私にはなくてはならない存在です。普段劇団では音響班の杏華さんですが、私の演出する小学校公演ではいつも衣装プランをしていただきます。今回の衣装も一新していただきました。想像を遥かに越えたものができました。私だけが見つけた杏華さんの才能なのです。



前回のカンタータにも出演している浜崎さんは今回も照明班のリーダーとして若手を引っ張ってくれました。回を重ねるごとに、芝居を楽しんでる感じが増していきました。浜ちゃんにとっては久しぶりの小学校公演、きっと子供と芝居するのが好きなんだなと思いながらみていました。



今仲さん(今っち)は今回の座組で最年長にして初めての小学校公演でした。そんなことは微塵も感じさせない、子供たちの前で演じる喜びをもった今っちが上演で輝いていました。仕込みばらし荷積みでも寡黙な仕事人の献身に何度も救われました。



野秋さんの初めての小学校公演はたしかピッコロ版・銀河鉄道の夜で「さそり」の役でした。いつもは後輩の立場が多い野秋さんもこの座組においては女性の先輩として若手を引っ張っていく立場でした。不慣れなこともあったでしょうが自分の立ち位置を確認できた公演であったことだとおもいます。



三坂くんも何度も小学校を経験してる役者の一人でした。いつもとは違う先輩としての顔を見れたりしました。わりと体力勝負な小学校公演、身体には気を付けて今後の活躍も期待したいです。



木之下さんは稽古場での飛び込みが異常におもしろくなっていました。そのおもしろさを鮮度そのままに子供たちの前に出すにはどうすればいいのか。こんな悩みが出てきたこと事態が成長ということではないでしょうか。今後も楽しみにします。



菅原くんは唯一の20代の男です。たくさんの情報の中からこれというものを選びだし、自分の中で処理するのが得意です。マイペースなところがありますが、子供たちにもらったたくさんのプレゼントを携えその意味を考え次の世代で旗をふってくれることを願います。まだ見ぬ後輩とともに。



堀江くんにはやや無理のあることをお願いしました。ですがその期待に応えてくれたように感じます。初めての小学校でしたが、苦労してしんどかった分、得たものも大きかったのではないでしょうか。千穐楽の芝居の導入は特にすばらしかったです。



木村さんとは初めてのお付き合いでした。知らない部分がたくさんあり、たくさんのつぼみを見つけました。自分で自分のことをよく知り使えるようになればたくさんの花が咲くと思います。そのために思いきってやってみる勇気!飛び込む元気!継続する根気!期待してます。



車さんは元気な飛び込みのよさが気持ちいいです。稽古場で失敗しても気持ちいい。稽古場は失敗をしてもいいところ。人と違う自分の部分は武器になるんだと信じて人と比べていたずらに傷つかずかといっておごらず自分の持ち味を磨いていってほしいです。



有川さんは長縄のダブルダッチが得意でした。
人にみられている自分と自分で思う自分とこうありたいと願う自分。その間で揺れ動く姿は若い魅力にあふれていました。大きな丸い目でこれから何をみますか?もっと大きな声出して頑張ってください。



金田さんは元気な日もありました。沈んだ日もありました。どんな日があってもLife goes onで稽古も続いていく。それが幸せなことなんだといつか気付く日が来ることを願ってます。芝居を簡単にしてしまわないで、まだ始まったばかりですからね。



田渕さん(うた)は矛盾する二つの事柄に引き裂かれながら立ち尽くす人。私はそれはそれでいいとおもいます。だから続けてください。演劇における矛盾を感じることを、それを引き受けることを。頭だけでなくすべての感覚を使って。うたがどんな風にピッコロを感じていくのかを見てみたいと思います。



13人と
そして、1人、政香さんに舞台監督をお願いしました。政香さんもピッコロ小学校公演、初めての舞台監督ということでかなりの負担をかけました。劇団のこと。芝居のこと。先輩としての在り方、後輩に伝えるべきこと。たくさんのことを稽古終わりに話しました。中でも政香さんの裏方としてのものの見方はさすがで、私とは全く違うものでそれには驚きました。



それともう1人、元劇団員の木下出さんに、音楽をお願いしました。わりと何度も一緒に芝居作りをしているので、お互い言いたいことをいい合いながら稽古させていただきました。

大体13人と1人と1人と私で過ごした稽古場の毎日でした。


4・このへんで



まだまだ書きたいことはあるのですが、この星のカンタータは来年もありますので、そのときまでおいておくことにします。
今回台本で、あるいは稽古場で、たくさんの<おもい>を言葉にしてきました。ことばの種、です。すぐに芽が出るものもあれば、時間がかかるものもある。芽が出ないものもあるでしょう。
その続きといいますか、経過観察といいますか、また来年出来るということは劇団にいる人間としては幸せなことなのだと感じます。


照明の南さんにはいつものようにお世話になりました。限られた時間の中でたくさんのご無理をきいていただきました。
音響の横田さんとは初めでしたが非常にスムーズにかつ的確なオペレーションをしていただきました。
ステージングでお世話になった福島さんにも作品のイメージを膨らませていただきました。
ありがとうございました。

制作の塩野さん河東さんも初めてのお仕事でしたが、ご対応ありがとうございました。


星のカンタータの作品については
また機会があれば!来年にでも!



関係者皆様、出会えた小学校のみんな
ありがとうございました!